
事件そのものはエグいし、それに絡む悪がベタ過ぎて気分が悪い
最後の事件は、武蔵野集団暴行事件。三枝健人(坂口健太郎)の兄・亮太(神尾楓珠)が主犯として逮捕されていた、因縁の事件だ。
1999年、10人以上の男に乱暴された女子高校生・井口奈々(山田愛奈)は、屋上から飛び降り自殺を図る。一命は取り留めたものの、パニック状態に。井口に勉強を教えるほど仲の良かった亮太は、犯行を行った男子生徒たちが口をそろえて亮太が主犯だと証言したため、捕まってしまう。証言した生徒の親は、全員武蔵野市最大の企業・小川都市開発に勤めていた。
10人以上からの婦女暴行、金によるえん罪なすりつけ、「シグナル」はクライマックスを迎えても相変わらず、暗い。これに、きな臭い雰囲気を隠そうともしない刑事部長・中本(渡部篤郎)や、他にも絶対に悪いことをしている衆議院議員・野沢義男(西岡徳馬)が、己の保身のために、今までドラマで1000回くらい見た、“根回し”というベタベタな悪の手口で絡んでくるのだから気分が悪い。
だが、これだけわかりやすい悪がいてくれるお陰で、7話のラストで殺された岩田(甲本雅裕)に、「そこそこ性格悪かったけど、こんな悪い2人に利用されて可哀想なヤツだったんだな」と味が出るのもの事実。“上司に逆らえない気弱な部下”ではなく、“絶対悪に身も心も支配された被害者”になれたのだ。
それにしても、野沢が言った「若者は元気が1番だ」というセリフ。15年位前にある議員の「集団レ○プする人は、まだ元気があるからいい」みたいな発言に似ているけど、その辺はどうなんだろう。
謎が多いのでまとめた
今夜放送の9話を含めて、残り2話。
・23時23分の謎
無線機がつながる時間帯。無線機がつながる理由自体はオカルトでいいが、この辺はスッキリしたい。
・亮太を陥れたのは誰?
野沢の確率が高そうだが、なぜ亮太なのか?本当に誰でも良かったのだとしたら胸糞悪すぎる。
・亮太はなぜ死んだのか?
少年院から出てすぐに自殺した亮太。理由もタイミングもよくわからない。
・岩田を殺したのは?
まぁ恐らくは中本と元暴力団員の岡本(高橋努)が関係しているのだろうが。
・岩田は大山をなぜ殺した?
中本が絡んでくるのは間違いないが、殺しまでする理由はなんだろう。娘さんの病気が鍵っぽい。
・井口さんの現在は?
井口さんが2018年に生きているのだろうか?ストーリー上、絶対に触れないと行けないわけではないが、触れてほしい。
・亮太、井口さんと仲良しだった斉藤裕也(瀬戸利樹)は?
1999年に取った行動も、2018年に何をしているのかも気になる。
・亡くなる前の岩田が御殿場にある岡本の別荘に行った理由
岩田が岡本の別荘に行ったことを知り、三枝と桜井(吉瀬美智子)はここで大山の白骨死体を発見。なぜ、岡本はわざわざ高速に乗って御殿場まで行ったのだろうか。
・現代はどうなるのだろうか?
最終回、過去で事件を解決したことで、現代はどういう変化があるのか?全員生き返るのもどうかと思うけど、生き返らせる努力を怠るのもどうかと思ってしまう。
他にも細かいのはたくさん。これだけたくさんの謎と伏線がゴッソリ回収されたらどれだけ気持ちいいだろう。願わくば、善人が救われるラストを見たい。
(沢野奈津夫)
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