
(これまでの木俣冬の朝ドラレビューはこちらから)
連続テレビ小説「スカーレット」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~
第1週「はじめまして信楽(しがらき)」1話(9月30日・月 放送 演出・中島由貴)
「毎日朝ドラレビュー 朝ドLIFE」はじめます
朝ドラこと連続テレビ小説の101作目「スカーレット」がはじまるにあたり、ヒロインのおとうさん役を演じる北村一輝がオーナーを務める赤坂の「マドラスカレー」でカレーを食べてきた。「小」でもボリュームありすぎでおなかいっぱい。
と言うわけで、はじめます。

『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)
北村一輝は第一話から魅力を発揮していた
滋賀県の誇り・琵琶湖に突き出た中洲を子供以上に嬉しそうにものすごい勢いで走る北村一輝。
喜美子がいじめられたらものすごい勢いで走って相手の家に怒鳴り込む北村一輝。
借金があっても「楽しいことだけ考える」「嫌なことは全部忘れる」と言う北村一輝。
戦時中、人助けしたことを自分からは言わない北村一輝。
と、ここまではいい人。でも、酒が好きで、借金があるけどやめられない。そこは、いわゆるちょっとダメな人。
借金は気になるが、関西弁がネイティブでとても安心。
冒頭は、いきなり「炎」
火事かと思って火を消そうとする母親・マツ(富田靖子)を主人公・川原喜美子(戸田恵梨香)は制し、さらに燃やそうとする。
もっともっと!と。
そこから時間が巻き戻り、昭和22年、春。
戦後、大阪から滋賀県は信楽へと家族で移住してきた川原家。荷車に荷物を乗せて。
明るく自由なおとうさん常治(北村一輝)、優しくしっかり者のお母さん(富田靖子)、長女・喜美子(子役・川島夕空)と次女・直子(やくわなつみ)、三女・百合子。
主題歌はSuperflyの「フレア」。
民放ドラマの押しの強い楽曲よりも優しげなトーンに乗せてくるくると陶芸のろくろが回るクレイアニメのオープニング。
本編は、田舎、一本桜、祠、鶯とある種の朝ドラらしい牧歌的ビジュアルに、ちょっと西部劇みたいな劇伴。
戦争の時、助けた人・大野(マギー)に頼ってきたおとうさん。まだ戦争の怖さを引きずっている直子。戦争が終わってけろっと生きているようで、ちょっと影も引きずっている。第一、一家は父の商売が失敗して貧しい。
色々失くした家族が新天地を求めて未知の土地へーーここから物語がはじまる。
いきなりクソッタレ
いきなり、朝ドラ父に注目してしまったが、ヒロインもなかなかクセがすごそう。
赤ちゃんをおんぶしてたら、近所の子たちに「クソッタレ」「クソッタレ」といじめられる。でも負けない。勝負を挑んで名誉の負傷。むしろ相手をボッコボコにして、ヒロインの負けん気を印象づけた。
女性スタッフが多い
脚本は2019年1月期の土曜ドラマ「みかづき」が好評だったベテラン水橋文美江。
制作統括は「カーネーション」「ごちそうさん」にも携わった内田ゆき。
チーフ演出は「ウェルかめ」に関わった中島由貴。
と、メインスタッフが女性ばかり。
音楽も冬野ユミとこれまた女性スタッフ。女性のドラマながら何かと男性社会で制作されている朝ドラにしては珍しい。
私が興味あるのは、内田と中島が「アシガール」に関わっていたこと。
「アシガール」のように、主人公と彼女を取り巻く人たちが生き生きとあったかく描かれたらいいなあと
期待している。
家族で月を見上げる場面は、湖を走るシーンに次いで素敵だった。
ある日、喜美子は本物の狸を追いかけて、アリスのように知らない道を分け入っていくと、そこに……と言うところで第一話は終わり。いいはじまりだった。はじまりはとにかく大事だから。
(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)
脚本:水橋文美枝
演出:中島由貴、左藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき