11月22日に放送されたテレビ東京系「孤独のグルメ Season8」第8話は、「鳥取出張編」。ドラマオリジナルのストーリーが多い同作だが、今回は漫画の第2巻からオマージュだ。
鳥取は原作作画の谷口ジローの出身地で、だからなのか、珍しく五郎さん(松重豊)の幼少時代の記憶も描かれた。
五郎さんの幼少時代も「孤独のグルメ」鉄板から直で「ホルモンそば」「オーカク」「サイコロステーキ」8話

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鳥取市役所名物、今はなきスラーメン


出張で鳥取砂丘を訪れた五郎さん。商談相手らしき男性(遠山俊也)に、うどんの汁にラーメンの麺を入れた鳥取市役所の名物"スラーメン"を薦められる。麺、出汁、天かす、コショウが交じり合って、ラーメンとうどんの間のような味わいらしい。

「これはラーメン。俺の脳、最後まで楽しく騙されている」

ちなみに、鳥取市役所新本庁舎への移転に伴い、10月25日をもって市役所の食堂は閉店している。新本庁舎では「すなば珈琲」というコーヒーショップが「香素(かす)ラーメン」というを提供しているらしい。
「すなば珈琲」、鳥取砂丘とスタバにあやかった店名に加え、さらにはスラーメンの力も使っているなんてたくましい。

五郎さん、酒を断れず泥酔。幼き日の夢を見る


五郎さんの下戸は、「孤独のグルメ」の肝だ。下戸ゆえに食にこだわるようになったのだろうし、下戸だから酒飲みの横で白飯を食らう姿が味わい深い。

居酒屋でも周りの目を気にせずにウーロン茶を頼む五郎さんだが、今回は、「私が作ったんです。ぜひ、飲んでみてください」という誘いを断れず、ワインを飲むことに。
たったの一杯で泥酔してしまった五郎さんは、幼少時代の夢を見た。ハットにスーツのダンディな父と鳥取砂丘を歩く幼い五郎さん。ちょっとの仕事とただ食べるだけの今作では珍しく、過去が描写されていた。

元祖ライブクッキング


泥酔して翌日のアポをすっ飛ばしてしまった五郎さんは、気を取り直して「腹が、減った」。繁華街を歩き回って、やっとの思いで見つけたのは鉄板焼きの「まつや」だ。女将(渡辺えり)が目の前の鉄板で調理する「砂かぶり席」に座った五郎さんは、名物の「オーカク」(ハラミ)と「ホルモンそば」とご飯を注文した。


「コテと鉄板の奏でる音楽がたまらない。立ち上がって踊りたい」

「おぉ〜、これはたまらん。鉄板にダイブしそうだ」

鉄板が大きすぎるのか、カウンターが狭すぎるのか、五郎さんに与えられたスペースはごくわずかだ。ご飯と漬物と水を置いたらもう一杯で、ネギ塩ダレで味付けされた「オーカク」は箸で鉄板から直接食べる。皿によそる概念がない

あれだけ鉄板が近かったら熱気もあるだろうし、テーブルも狭い。なのに、「オーカク」を食べるには理想の形に見える。
食事は、メニュー+環境だ。もしかしたら、仕事をすっ飛ばした背徳感も調味料になっているのかも知れない。

「はい。ホルモンそば」

女将は、出来上がったそばをコテで五郎さん側に寄せた。焼いているときと提供後で、そばが移動した距離は10数cmだ。料理は出来たてが一番うまいというが、こんなのほぼ調理中だ。
湯気の中からそばをすくうような状態。ホルモンダレを濃い目につけてご飯まで食べちゃう。

「すばらしいオカズそばだ。白飯に大変ようござんす」

調子に乗った五郎さんは、サイコロステーキも注文。すぐに焼きあがって、目の前の鉄板に、オーカク、ホルモンそば、サイコロステーキが並ぶ。最初にできあがったオーカクも、鉄板のおかげでまだまだ出来立てといった顔をしている。


別の客が注文したホルモンそばが焼かれているのを眺めながら、自分のオカズたちをわしわし食べる。白飯にホルモンダレをかけてホルモンそばと一緒に掻き込んだ。

「きっと鳥取君もやっているはずだ」

「こういう行儀ワル飯、大好き」

「ガキのグルメ。卒業せず」

最後に、残っていた漬物で口をリセットしてご馳走様。ライブクッキングの元祖みたいな食事を味わった五郎さんは、帰り道に今朝見た夢を思い出していた。
(沢野奈津夫)

・「孤独のグルメ Season8」
放送時間:金曜24時12分〜
出演:松重豊、遠山俊也、渡辺えり、伊藤修子
原作:原作/久住昌之・画/谷口ジロー
音楽:The Screen Tones
久住昌之、フクムラサトシ、Shake、河野文彦、栗木健
オープニングテーマ:「Goo,Goo,Goro!」
作曲:久住昌之
演奏:The Screen Tonesエンディングテーマ:「五郎の12PM」作曲:久住昌之歌:伝美脚本:田口佳宏 児玉頼子演出:井川尊史 北畑龍一 北尾賢人