ドラマイズム「左ききのエレン」(TBS毎週火曜日深夜1時28分 MBS毎週日曜日深夜0時50分)、今夜、最終話「天才になれなかった全ての人へ」。原作は、マンガ『左ききのエレン』

「左ききのエレン」才能のないヤツは才能のあるヤツの邪魔をするな9話

第9話「ヤツらの邪魔をするな」。
「必ず落とす」
「絶対に通す」
岸あかりがオーディション会場に乱入してきた。
今回の広告コンセプトは「憧れより共感」だから、「完璧」なトップモデル岸あかりを通すわけにはいかぬ。
だが、岸あかりの圧倒的な能力のまえに、全員が絶賛。
結局、岸あかりに決まってしまう。

圧倒的な才能の前に負けた形になってしまう光一。


しかも、岸あかりが裏で動いて、知らぬ間に、世界トップクラスのカメラマン佐久間威風(板橋駿谷)が撮影することになってしまった。
佐久間威風は、唯我独尊、横暴で知られている男。

もはや、光一たちでは現場をまとめられない状況になってきている。

正しいことを言う柳さん


広告業界にいなくても、こういう困難に合う人は多いだろう。
自分が回さなくてはいけない現場がどんどん手に負えない状況になっていく。

「凡人が怪物クリエイターとうまくやるにはひとつのことを守るしかない」
非情だが正しいことを言う柳さんが語る。
「ヤツらの邪魔をするな」

だが、邪魔をしなければ、コンセプトから外れたものができてしまう。


邪魔をせず、「なんとか終わらせよう」という空気になった現場で、光一はコンセプトを守れるのか。
凡人の光一は、巨大な才能のふたりを前に、何ができるのか。

光一がタバコを吸ってるうちに、佐久間威風が岸あかりを撮り始めた。
光一、なぜ、こんなときにタバコなんて吸ってた!?
もちろん、まだ撮影前。岸あかりの着替えもすんでいなかった。
ひとやすみして、体制を整えようとしたのかもしれない。

だが、自分の存在を無視するやりとり、場で勝手に盛り上がっている雰囲気、唯我独尊な天才たち、だ。
現場から外れて(しかも、けっこうな長時間)、ゆったりタバコを吸ってる場合じゃなかったのに。
そこが、凡人である光一の油断か(にしても! にしても!)。
絶体絶命のピンチに立たされた光一。

エレンと光一


一方エレンは、光一の作った看板広告に黒いスプレーで描きはじめた(ドラマではエレン側の活躍があまり描かれず落書きしかしてない人に見えちゃうんで、原作漫画で補完するが吉)。
が、まだふたり再会していない。


これだけ主人公のふたりが会わないドラマは、他にはないんじゃないか。
すれ違いどころか、まったく出会わない。
最初と、学生時代の回想でしか、ふたりは同じ場所にいない。
そして、最終回直前回でも、ふたりは会話を交わすこともなく、出会うこともない。

完璧な才能の山岸エレン。
凡人だが平凡な人生にあらがう朝倉光一。

才能を軸に、いつもふたりが対称的に配置され、描かれてきた。
最終回、ふたりは出会うだろう。

そこで、ふたりは、どういった答えを見つけるのか。
今夜、最終回。楽しみだ。
(テキスト:米光一成

【DATA】
原作 かっぴー/nifuni『左ききのエレン』(集英社「少年ジャンプ+」連載中) かっぴー『左ききのエレン』(cakes連載)
監督 後藤庸介 深迫康之 本間利幸
脚本 根本ノンジ 守口悠介 本田隆朗
制作 共同テレビジョン
製作 ドラマ「左ききのエレン」製作委員会・MBS

朝倉光一…神尾楓珠
山岸エレン…池田エライザ

神谷雄介…石崎ひゅーい
加藤さゆり…中村ゆりか
三橋由利奈…今泉佑唯
流川俊…吉村界人
朱音優子…田中真琴
園宮千晶…久保田紗友

岸あかり…八木アリサ
佐久間威風…板橋駿谷

柳 一…丸山智己
沢村考…村杉蝉之介
冬月慎太郎…阪田マサノブ

海堂…般若
古谷真治…堀部圭亮