A.B.C-Zが体を張り続ける『ABChanZOO』テレビ東京・小野裕之プロデューサーに訊く<前編>
『ABChanZOO』はテレビ東京ほかで毎週土曜日深夜1時20分に放送中

プロデューサーが語るA.B.C-Zの個性<インタビュー前編>

A.B.C-Zのメンバー全員が出演する体験型バラエティー番組『ABChanZOO』(テレビ東京)。2013年の放送開始から8年目を迎えてもなおチャレンジし続ける同番組のプロデューサーを務めるテレビ東京の小野裕之氏にインタビュー。番組、そしてA.B.C-Zのメンバーについて、さらには撮影の裏側についても訊く。


【インタビュー後編】NGナシのA.B.C-Zが新たに「地上波でできないようなことに挑戦」テレ東・小野Pに訊く

コンサートや音楽番組では見せない顔を

――2013年の放送開始から8年目を迎えました。小野さんは2019年から担当されていますが、小野さんから見たA.B.C-Zはどんなメンバーですか?

小野裕之氏(以下、小野):はっしー(橋本良亮)は、最初はツンツンしてるのかなって思ったんですけど、動物が好きで、ああ見えて優しいですね。カッコつけようとしているんですけど、実は家庭的で、優しい人柄が出ちゃう。あと、グループのリーダーとして、しっかりしなきゃっていうのがあるんじゃないかな。ロケの時には全力で取り組んでくれます。

戸塚(祥太)くんは、いわゆる芸術肌というか、絵がうまかったり本が好きだったり。ロケの中でもそういうところをなるべく出していきたいなと思っています。


塚田(僚一)くんは、見たらわかるんですけど、筋肉。身体能力が高いっていうとこですかね。河合(郁人)くんは、やっぱり気が利く。MCとして番組全体を見るのがうまいですね。河合くんは残りの4人の個性をどうやったら出せるかっていうことを常に考えていると思うんです。

五関(晃一)くんに関しては、ちょっとまだ謎なところが実は僕の中ではあるんだけど、シュールな感じのネタをすると、ハマることがけっこう多くて。
だからどっちかと言ったら、やらされている感じのほうが五関くんにはいいのかなって思います。自らやるというよりは、身を任せるっていうのが特徴かなと思います。

――音楽番組などに出演する時と、キャラクターはさほど変わらないんでしょうか。

小野:音楽番組だと基本的にカッコつけるじゃないですか。カッコつけないといけないと思いますし。この番組では、そうじゃないところがある、という部分を出してあげたいなと思っています。
普段見られない、コンサートとかではなかなか見せないメンバーそれぞれの特徴をなるべく出せていけたらと、企画も含めてそういう考え方で動いています。

毎回テーマがユニークで、バラエティに富んでいるのも『ABChanZOO』らしいところ

――番組の初回放送が2013年7月21日、今年で8年目を迎えました。番組の成長を小野さんはどのように見ていますか?

小野:僕は最初の方は関わっていないんですけど、やっぱり基本は「体を張る」。メンバーがとにかく汗かいて、苦労するなかで見つかるものというか、出来上がるものを軸に考えていて、それは今も変わっていません。

番組が始まったとき、最年少の橋本くんはまだ二十歳だったんですよね。今、橋本くんは27歳に、他のメンバーも30代になって。それでもやっぱり、いまだに体を張り続けるっていうのがいいのかな。
もう年は関係なく、とにかく昔と同じようにスタンスは変えない方向がいいなと思っています。

――以前、パルクールに挑戦していましたが(2020年3月7日OAの「移動の芸術“パルクール”をクールに決めろ!」)、まさに体を張ったチャレンジでしたね。

小野:そうですね。あれは塚田くんの持ち込み企画でした。メンバーが番組で何をやりたいのか軽く会話した上で、じゃあそれを企画にしてみようかって。

――そういう機会は多いんですか?

小野:まずは制作の会議で、こんなことをやったら面白そうだよねっていうのは考えるんですけど、「これ1回メンバーに当ててみようか」と、メンバーと一緒に考えることはありますね。


――塚田さんはじめ、メンバーの持ち込み企画でボツになった企画はありますか?

小野:今じゃないよね? っていう企画は過去に何回かありました。さすがにこれ、番組じゃできないよ! というのもけっこうありますけど(笑)。あとは、戸塚くんが急に舞台の演出をしたいって言ったときは、さすがに予算が追いつかなくて……。

――直近ですと、「オリジナル衣装を作ろう第二弾」(2020年11月7日OA)は冬服を作るテーマでした。番組冒頭で河合さんが「冬服を作ろうというところに誰も疑問は持たないんですね?」と言っていたように、メンバーのみなさんはいつも企画をすんなり受け入れている印象を受けます。「ちょっとこれは無理だよ」と言われた企画はありますか?

小野:無理だよっていうのは1回もないですね。
もう8年続いていて、たぶん(スタッフとの)信頼関係があるから、基本的には何をお願いしてもやってくれるとは思うんです。ていうか、メンバーも慣れちゃってるんですかね、ムチャクチャな企画に(笑)。何をやらされても、もう受け入れるしかないな、みたいな(笑)。

――小野さんや制作スタッフの方が企画を出すときは、「こういう企画をやったら、このメンバーのこういう面白い部分が出そうだ」とある程度方向を固めた目線で考えられるのですか?

小野:シンプルに、この企画をやってみたいなーっていう場合もありますし、やっぱり全員を目立たせたいので、持ち込み企画として、一人ずつ主人公を決めるパターンもありますね。

5人は互いにディスり合える良い関係

――番組公式サイトに「容赦なし、テレ東クオリティの企画が目白押し」と書かれてありますが、小野さんが思う「ここはテレ東クオリティだな」というのはどんな部分ですか?

小野:少ない予算で面白いものを作る、ということですかね。深夜番組なので、他の番組と比べても特に予算がないのですが、その中で企画を考えるっていうところが、良くも悪くもテレ東クオリティっていう表現になると思うんです。

たとえば、今は状況が状況なので、ロケにはなかなか出られない。なので会議室でほぼ完結させているんですけど、もうちょっと予算があったら別の場所を探したりもするんでしょうけど、時期も時期だし、会議室でも許されるでしょ、みたいな。そういう部分もあるのかもしれないですね。

――直近の放送ですと替え歌に挑戦されていましたが、即興とは思えないまとまり具合というか、仕上がりに驚きました。総じてみなさん器用なイメージがあるのですが、これまでに、スタッフさんが収録していて驚いたこと、意外な才能とか、想像をはるかに超えてきたと思ったシーンはどんな場面ですか?

小野:いろいろあるんですけど、まず塚田くんに関しては、自粛期間中に、家でトレーニングをして体を仕上げてきて、ストイックですね。どの企画においても、やっぱり体を見せたがるというか。たとえば、先ほど話題にあがった衣装の回。冬服って言ってるのに、穴を空けたり、腹筋とか肩が見えるようなものわざとやるじゃないですか。

――そうですね、冬服なのに切っちゃう(笑)。

小野:そこはやっぱり、プロだなって思いますね。筋肉キャラで、それが自分の持ち味だと、とにかく体を見せたがる。それで、やっぱり体つきがすごい。

とっつー(戸塚)は舞台経験があるし、やっぱり演技が上手だなと思っていて。先日、とっつーの持ち込み企画で替え歌を作って(2020年10月17日OAの「“替え歌”のテクニックを駆使して言葉あそび」、再現ドラマみたいなことをやったんですよ。当日、「ちょっとこういうことやるんだけどよろしく」って言ったら、最初は再現ドラマに関してすごく嫌がっていたんですけど、「じゃあ始めます」って言った途端にスイッチが入って、やっぱりすごい演技なんですよ。そういうところはさすがだなと思いましたね。急に言われても演技ができるっていう。

A.B.C-Zが体を張り続ける『ABChanZOO』テレビ東京・小野裕之プロデューサーに訊く<前編>
テレビ東京・小野裕之プロデューサー

橋本くんは、「話題の美人トレーナーAYAとエクササイズ動画を作ろう」(2020年7月18日OA)がすごかったですね。昔、「ビリーズブートキャンプ」ってあったじゃないですか。それのはっしーバージョンで、「ハッシーズブートキャンプ」っていうのをやったんですけど、いつもクールなはっしーが、自分がそのブートキャンプの隊長にならなきゃいけないってなると、一気にスイッチが入って。そこの切り替えには驚かされました。普段クールなキャラでやっていたら、切り替えって難しいと思うんですけど、そこはもう、バラエティだからと。実は、メンバーの中でいちばんバラエティが好きなのははっしーだと思うんですよ。

――意外ですね。

小野:意外ですよね。たぶん、バカなことをしたいってことだと思うんですけど。

――笑いを取りにいきたいと。

小野:そうみたいです(笑)。実際にそのハッシーズブートキャンプではだいぶ活躍してくれました。

五関くんは、漢字がすごく得意なんです。常識問題をやると、5人全員、正直…常識がなかったりするんですけど(笑)、「日本語常識クイズ選手権」(2020年8月22日OA)の時は、4人は漢字の書き順とかを全然できなかったんですが、五関くんだけよかったんです。全問正解して。おそらく、小学生の時にめちゃくちゃ勉強していたんじゃないですかね。

――それがいまも役に立っている。

小野:それはすごいなーと思って。あと、五関くんはたぶん瞬発力が高くて。何かを振られた時に、意外と面白いことをボソッと言えるんですよね。目立つタイプじゃないんですけど、自分のターンになったら、ぐっと出てこれるっていうところは最年長の余裕なんじゃないかと思います。

――番組を仕切っている河合くんはどうですか?

小野:河合くんはやっぱり、さっきも言いましたけれど、MCの能力っていうか、その場の空気を読む力が抜群だと思っています。どのネタでも河合くんがいると、なんとなくこっちの意図を汲んでくれて、毎回その企画ごとにちゃんと動いてくれる。

――密に打ち合わせをしなくても、汲んでくれる感じですか?

小野:実は河合くんに関しては、事前に5分ぐらい、内容の話をすることもあるんです。他の4人には内容を知らせないんですけど、河合くんにだけちょっと伝えたりすることもあって。

――それでも5分って短いですよね。

小野:そうですよね。それでも、すぐに内容を理解して、「はい」と、そのままぱっとロケ出て(撮影)、みたいな感じなんですよ。

――事前に内容をメンバーさんにお伝えしないのは、突然何かを与えたときに出てくる面白さを見せたいっていうことなんですか?

小野:そうですね。必要最低限しか伝えてないです。台本に関しても、制作用の台本とメンバーに渡す台本の内容が違うんですよ。メンバーに渡す分には必要最低限の情報しか入れていないんです。

――印象的だったのが、「知っていると恥をかかない“大人の作法”」(2020年10月31日OA)で、五関さんが弔辞を読むシーンがありました。河合さんに対してはすごく素の部分が出ていたというか、ぐっとくる内容だったんですけど、あれも、五関さんがその場で考えられたものなんでしょうか。

小野:はい、その場で、ですね。考えてましたね。

――ということは、本当にそう思っているってことなんでしょうね。

小野:そうだと思いますよ。メンバーが河合くんをいじることがあるんですけど、5人は仲が良いので、別に悪い意味じゃなくて、お互いディスり合える関係なんですよね。


Writer

柚月裕実


Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。

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@hiromin2013