自民党派閥の組織的な裏金づくりに関わり今回の衆院選挙では「非公認」になっている候補の支部にも自民党本部から政党助成金2000万円が振り込まれていると日本共産党機関誌「赤旗」が23日にスクープした。


赤旗入手資料では、森山裕自民党幹事長から支部会計責任者あて9日付けの「支部政党交付金支給通知書」文書には「この交付は政党助成金から支出していますので、使途に限定してご使用下さいますようお願い申し上げます」と記述。

内訳は「公認料500万円」「活動費1500万円」。振込日は「令和6年10月10日付け」「振込口座は『指定の政党助成金専用口座』」となっている。


 非公認候補の党支部会計責任者の話として、党本部からの13日付け文書には「公認料」の文言はなく、党勢拡大活動費として2000万円が振り込まれたという。赤旗の報道を受けて、毎日新聞も取材し、報道。党幹部が「公認料ではない」と説明したものの、2000万円の支払いについて認めたと報じている。


 中央大学法学部の中北浩爾教授はXで「非公認にした議員の選挙区支部に対して、自民党本部が政党交付金から支部交付金として2000万円を振り込んだとすれば、あってはならないことでしょう。10月9日といえば、自民党が選挙対策本部で第1次公認候補を決め、森山幹事長が12人の不記載議員を公認しないことを発表した日です。非公認の選挙区支部には13日付で文書が送られたようですが、これでは『偽装非公認』といわれかねません」と解説した。


 中北氏は「政治とカネの問題で強烈な批判に晒されているのに、自民党本部の感度の低さは目を覆いたくなるばかり。自ら墓穴を掘っているといわざるを得ません」と酷評した。


 日本若者協議会の室橋祐貴代表理事も「『偽装非公認』とは呆れますね。通常、支給額2000万円の内訳は『公認料』が500万円、『活動費』が1500万円となっているので、森山裕幹事長の『党勢拡大のため活動していただきたいという趣旨』は後者の『活動費』に当たり、2000万円支給している時点で、適当な嘘と理解するのが自然でしょう」と指摘。


 室橋氏は「誰が総裁や党幹部になっても(自民党は)変わらない、党の性質の問題ということがよくわかります。公約に『ルールを守る』と謳っていて、小学生かと突っ込まれていましたが、またもルールを守れませんでしたね」と発信。


 ネット上では「国民を舐めるのにも程があります。結局の所、選挙で過半数をとるためなら、なりふり構わず非公認議員も応援し、当選すれば追加公認し、無所属で立候補した裏金議員も復党させる魂胆は明白です。投票日には、こんな政党及び候補者には、はっきりと『NO』と投票します」。


 「非公認の候補に2000万円を支給なんて常軌を逸している。元々このお金は元をたどれば税金ですよね。そんなお金の使い方をしていたら自分たちの首を絞めることに気づかないところも凄い。不在者投票してきたけれど、自民に投票しなくて正解だな、とつくづくそう思います」と批判の声が相次いでいる。


 今回の選挙には裏金に関わった議員や支部長が46人立候補している。そもそも、コロナ禍で銀座クラブに深夜までいたという3議員に「離党勧告」し、離党させた処分に比べ、「裏金づくり」という、さらに悪質な議員らに離党勧告は2人のみ、あとは党役職停止1年~6か月(13人)戒告(9人)幹事長注意(22人)となんとも甘々の党処分でしかなかった。


 国民の批判を受け非公認や重複立候補を認めない対応をしたと思えば、実態が『偽装非公認』だったとは。

甘々の党内処分に対して、国民は「投票」で意思表示するほかないのだろう。怒りを共有する有権者は確実に増えそう。(編集担当:森高龍二)

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