日本の21年度の防衛費は算定基準をNATO基準に合わせ、主要装備品新規購入費など補正予算額を合わせると「対GDP比1.24%」と既に1%超になっている。


 岸信夫防衛大臣は24日の記者会見で、この点について「わが国はNATOの加盟国ではありません」としたうえで「NATO定義に基づいて所要の経費を整理していない」とした。


また岸大臣は「運用は各国一律ではない」とも語り「防衛当局以外の省庁が所管する予算をどこまで防衛費に含めるかについては様々な議論があると承知している。その範囲を確定させることは困難」と述べた。


 そのうえで「このようなことを踏まえ、令和4年版防衛白書においてはNATO定義を参考にわが国の予算を計算した上で、対GDPというものは記載していない。防衛省としては、厳しさを増す安全保障環境の下で、わが国を守っていくために必要な取組みについて、国民の皆さまに理解を得られるように引き続き説明を行っていく」と語った。


 この日、記者団から「防衛白書は防衛費に関して21年度対GDP比は0.95%と記述しているが、NATO基準に含まれる『退役軍人の恩給費』や『海上保安庁の予算』などのほか、主要装備品の新規購入費等で7700億円を計上した補正予算を加えると、日本の対GDP比は1.24%になる。防衛白書にはこうした説明がなく、0.95%という数字だけを見ると日本の防衛費は各国より低い印象を国民に与えることになる。国民への説明責任という観点から問題ないのか。NATO基準では1.24%になるという試算を白書に書かなくてもいいと判断した理由を」と問われて答えた。(編集担当:森高龍二)

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