ボクサー時代に“浪速のロッキー”として活躍し、俳優としてデビューしてからは31年間にわたって様々な話題作に出演してきた赤井英和。現在、妻の佳子さんのTwitterアカウント「赤井英和の嫁」にて、赤井の赤裸々な私生活やシュールなコメントが日々投稿され、SNS上で大きな話題となっている。


そんな赤井英和主演の最新映画『ねばぎば 新世界』が、7月10日(土)より新宿K’s cinema他にて順次全国公開される。若い頃にヤンチャをしていた主人公たちが、おじさんになってから再び立ち上がる物語だ。インタビュー後編では赤井に若い頃とおじさんになった今、変わったことと変わらないことを聞いた。(同席していた奥様も登場、微笑ましいやり取りを繰り広げます!)

【前編はこちら】赤井英和の最新映画は第2の『どついたるねん』!?「リアル実家で撮影、地元の後輩も出演させた」

【写真】俳優として活躍する“浪速のロッキー”赤井英和

──映画『ねばぎば 新世界』は、若い頃にタッグを組んでいた2人が中年になって再び立ち上がる内容となっています。赤井さんも20代の頃と61歳の現在では様々なことが変わったと思うのですが。

赤井 そりゃそうですよ。変わらなかったら逆におかしいですしね。特に健康のことは、いろいろ気を使うようになったと思う。

──では1項目ずつ「若い頃」と「現在」を比較してほしいのですが、まず【お酒】に関してはいかがですか?

赤井 そりゃまぁ若い頃は腹いっぱい飲んでいましたよ。高校の同級生2~3人と「酒だったらなんでもいいから持ってこい!」とかやって、ビールからウイスキーまでスナックの店の酒を全部飲み干したこともあるしね。それでも足りないということで、そのまま二次会、三次会に突入ですよ。そんな飲み方をするのが日常茶飯事だったから、気づいたらふとんの中で「あれ? 俺、いつ帰ったんだ?」と茫然とすることがよくありました。


──さすがに豪快ですね。

赤井 それが今ではおとなしくなったものですよ。ほら、やっぱり家では嫁さんの目もありますし……(※取材部屋にいた奥様のほうをチラリと見る)。

奥様 何言ってるの! つい最近の60歳までは若い頃と同じように飲んでいたじゃない(笑)。

赤井 正月になると、毎年うちでは餅つき大会をやるんです。大阪から仲間80人くらいがやってくる、かなり大掛かりな餅つきなんですわ。電撃ネットワークの南部虎弾さんは近所に住んでいるから寄ってくれたり、葉加瀬太郎さんがバイオリンを演奏してくれたりしてね。出たり入ったりで合計150人くらいの大宴会になるんですけど、そうすると巨大なビールの生樽が10個くらい空きますからね。最後は残った人たちで雑魚寝したものですよ。

──過去形になっているということは、現在は餅つき宴会も卒業した?

赤井 嫁さんに酒を止められていますからね。今はビール350ccを3本。それプラス、麦焼酎をジョッキに1杯だけチビチビ飲む。
これが今の私の生活です。休肝日こそないですが、かつての自分から比べたら断酒しているも同然。飲んだうちに入らない。

──かしこまりました(笑)。次は【ケンカ】です。若い頃の武勇伝はよく聞きますが、さすがに最近は暴れたりしないですよね?

赤井 当然じゃないですか! まったくケンカなんて無縁ですよ。

──逆に若い頃は、なぜトラブルに巻き込まれていたんですか?

奥様 自分から絡んでいったんでしょ?

赤井 どうだろう……。でも、酒を飲んでケンカするということはあまりないと思うけどな。高校の頃はひどかったけど、それは若気の至りというか(笑)。自分はケンカなんてやらなくなって久しいけど、夜の街ではいまだに揉めている場面を目撃したりすることも多いじゃないですか。あるいは新聞で凄惨な傷害事件が報じられていたりとか。人間同士なんだから、きちんと紳士的に話し合いで解決していただきたいと私なんかは考えてしまいますよね。


奥様 どの口が言うんだか(笑)。

赤井 でも、この考え方の変化も嫁さんによる教育の成果ですよ。人間としての正しい在り方を教えられているうちに私も更生することができました。なにせ毎日ビール3本の生活ですから(苦笑)。

――【恋愛観】って変化しました?

赤井 変わらないと思う。「相手のことを真剣に考えて、思いやる」というのが恋愛においては一番大事だし、そこが試されるわけですよ。まぁ俺の場合、佳子さんで頭の中はいっぱいやけどな(※取材に同席している奥様を見つめながら)。

奥様 そんな社交辞令はいらないから! 今は取材中でしょ!

赤井 そうか(笑)。でも人を好きになるっていうのは人間として本質的なことだから、変わりようがないと思いますね。恋愛のやり方は若干変わるかもだけど、恋愛観というのは昔も今も同じでしょう。

──赤井さんの場合、交友関係も人一倍広いと思います。友人関係を長続きさせるコツはありますか?

赤井 自分の周りには仲間がいるということを常に意識していますからね。
感謝しているし、おそらく相手も感謝している。そんな感じだから「集まれ」って電話で声をかけたら、バーッと何十人も集結してメシ食ったりするんです。ひょっとしたら今どき電話というのが逆にいいのかもしれないですね。いかんせん機械音痴なので、スマホとかよくわからんのですわ。

──では最後に【モチベーション】は昔と今で変わりましたか?

赤井 ちょっと臭い言い方ですけど、「輝く自分でありたい」という想いは若い頃から変わっていないと思う。ボクサー時代の目的はひとつだけで、それは世界チャンピオンになるということ。練習も減量も死ぬほど苦しかったけど、「世界一強い男になりたい」という考えがあったから耐え抜くことができたんです。

──役者となった現在は?

赤井 とにかく観ている方に作品を楽しんでもらいたいというのが最大のモチベーション。画面に映っているのは俺かもしれないけど、その裏には演出スタッフ、撮影スタッフ、衣装スタッフ、車両部スタッフ……すごく大勢の人が関わっているわけです。映画とかドラマというのは共同作品なんですよ。多くの人に支えられながら画面に出ることができるのだから、すごくやりがいのある仕事だと考えています。

──現在の赤井さんにとって、夢や野望はありますか?

赤井 夢か……。
子供たちも大きくなったし、もう孫ができてもおかしく年齢ですからね。最近、長男がプロボクサーに転向したんですよ。階級は自分のときより上のミドル級。小さい頃から「ボクシングだけはやらない」と口にする子供だったんですけどね。それでボクシングを20歳で始めた。今、ボクシングの世界は小中学生で始めるのが当たり前になっているから、かなり遅いスタートではあるんだけど、持ち前の気持ちの強さで頑張っていますね。彼の活躍を見届けたいというのが、目下、私にとって最大の夢であり希望ですね。
▽映画『ねばぎば 新世界』
主演:赤井英和
監督・脚本・プロデューサー:上西雄大
7月10日(土)より新宿K’s cinema他にて順次全国公開

大阪新世界を舞台に、かつての大映映画、勝新太郎田宮二郎の『悪名』シリーズを彷彿とさせる痛快アクションドラマ。新世界・西成に棲む人間味溢れる個性と、今も残る浪速の人情を織り交ぜ、社会の明と暗、善と悪、表と裏の世界観の中、展開する。主演は「どついたるねん」の赤井英和と、上西雄大のW主演。その他、小沢仁志西岡德馬有森也実菅田俊田中要次堀田眞三、徳竹未夏、古川藍、神戸浩、坂田聡など豪華キャストが集結した。
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