Berryz工房の無期限活動停止まで、いよいよ残り40日をきった。10年以上続いてきたグループの活動が停止してしまうことにまだ実感が湧かないけれど、ベストアルバム『完熟Berryz工房 The Final Completion Box』も発売され、少しずつ寂しさを感じるようになってきた。
 ハロー!プロジェクトにさまざまなグループがいる中で、最もユニークなグループがBerryz工房だと思う。メンバーそれぞれの個性が本当に豊かなのだ。  得意のダンスでファンを魅了し、女っぷりをメキメキあげている清水佐紀。“ももち”としてバラエティで大活躍の嗣永桃子は、Berryz工房にいるときが本当に楽しそうに見える。「ずっとふざけていたい」と話した徳永千奈美は、Berryz工房らしさを体現していると言っても過言ではないと思う。  大胆さでどんなこともドンと受け止める須藤茉麻は、冷静に優しくグループを見ている。安定の歌唱力を持つ夏焼雅はクールな印象が強いが、ダンスや仕草のアイドルらしさは随一。アイドル界一番の身長の高さ、そして変わらないマイペースさで歩み続ける熊井友理奈。そして最近ますます可憐な美貌に磨きがかかる、かわいい末っ子の菅谷梨沙子。中身も見た目も個性的すぎる7人が集まった、最強のグループなのだ。  Berryz工房は、ただ立っているだけでカッコいい。正義の味方というか、例えば『アベンジャーズ』のようにヒーローが集まっているような感じ。
あの存在感は、普通の20代前半の女の子に身につけられるものではない。  年頃の女の子が集まれば、女子特有の湿っぽさがあるものだが、彼女たちにはあまりそれが感じられない。お互いに関わりすぎず、それぞれが自分らしくいられることを大事にしているように見える。特に、同じハロー!プロジェクト・キッズとして過ごしてきた℃-uteがいるから、それぞれのグループ内の関係性が違っていて、その対比も面白い。  そうやってサバサバしていても、見ている側からはBerryz工房は仲良しだと思う。特に面白いことをやろうとするときの一致団結力は素晴らしい。彼女たちが自分たちを表すのに使うのが「真面目にふざける」「真剣にふざける」という言葉。全員が全力でふざけるのがBerryz工房だ。  おなじみの黄色いTシャツを着てハロプロ研修生に混じってパフォーマンスをしたり、鯛の着ぐるみを着たり、集合写真で“すしざんまい”の広告を真似してみたりと、クスっと笑えるネタを仕込んでくる。そしてそれを、ちゃんと面白くできる力を持っている。中途半端にしても面白くないことを分かっているから、一度やったら最後までやり通す。これはきっと最初からできたわけじゃなくて、10年以上の月日が作り上げた彼女たちらしさ。
真似しようと思っても出来るものではない。 次ページは、他のグループと違うBerryz工房のライブの面白さBerryz工房が持つ自分たちが楽しみ、見る人も楽しませる力  そしてBerryz工房はライブが楽しい。彼女たちのライブを見ると、アイドルにとって歌やダンスはもちろん大事だけれど、見る人を楽しませるにはいくらでも方法があるんだな、と気づかされる。その曲に合わせて振り以外の演出を加えたり、ライブのコンセプトに合わせた映像を用意したり。どこまで彼女たち自身が関わっているのかは分からないが、彼女たちのライブにはそういったこだわりが見られる。  10年以上活動を続けてきて、彼女たちはファンがどんなことを面白いと思うのか、そして自分たちもどうしたら楽しめるかということを考え、知っているのだろう。ファンとしては、彼女たちが楽しんでいる姿を見られることが一番嬉しい。彼女たちはそれを内輪ウケでないように、ちゃんと見せるものとして成立させている。ライブをパフォーマンスを発表する場としてでなく、エンターテイメントとして見せてくれるのだ。  そういったライブを作るのはきっと簡単なことではない。ライブというものは盛り上がる曲を並べれば楽しくなるだろうけど、曲の繋げ方や演出に意味があるとより面白くなる。ただ曲を並べるのではなくて、曲を繋げていくことでそのグループらしいライブが見えてくるのだと思う。
そういったことを、他のグループよりもしっかりやっているのがBerryz工房だ。  Berryz工房は無期限活動停止となってしまうけれど、ライブの見せ方や見る人を楽しませる気持ちを、ハロプロの若いメンバーたちに繋いでもらいたい。Berryz工房もここまでたどり着くのに10年以上かかったのだから簡単なことではないけれど、「真剣にふざける」という精神はハロプロに絶対、必要だ。Berryz工房の楽曲と一緒に、その精神も確実に受け継いでいってほしい。  これから3月3日の武道館まで残りわずか。彼女たちのようなユニークなグループの活動を見れなくなると思うとすごく寂しい。『1億3千万総ダイエット王国』のような曲を、カッコよく歌えるのはBerryz工房だけだと思うし、お祭りのようなライブができるのもBerrzy工房だけだ。こうやってBerryz工房との「最高に幸せな時間」を知ってしまっているからどうしても悲しいけれど、「それぞれの道に向かっていく」彼女たちも、しっかり応援していきたい。  そして最後にどんな楽しいライブを見せてくれるのか。Berryz工房の最高のライブ、一緒に真剣にふざけたいと思います!東海林その子 メジャーどころを中心に、女子アイドルを追いかけています。女の子が変化する一瞬一瞬を見逃したくないです。
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