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まず『オトナプリキュア』は文字通り、2007年から放送された『Yes!プリキュア5』と、その続編である『Yes!プリキュア5GoGo!』(いずれもテレビ朝日系)に登場したキャラクターたちの大人の姿を描いた作品。やはり特徴としては、子どもだった“あの頃”と違い、大人ならではのシビアな問題が物語の題材として扱われているところだろう。
中でも話題になったのは、『Yes!プリキュア5GoGo!』に登場した“ミルキィローズ”こと美々野くるみの境遇。彼女は人間ではなく「ミルク」というパルミエ王国の妖精なのだが、戦いが終わった後も故郷には戻らず人間界に定住し、派遣の社長秘書として日々仕事に勤しんでいた。
ただ、そこで描かれたのはキラキラとした秘書生活ではなく、残業やパワハラといった大人社会の闇。同じように社会の荒波に揉まれている大きいお友達のあいだでは、共感できるという意見が少なくない。
しかしその一方、あまりに生々しい現実を見せ付けられることに対して、「見ていてつらい……」といった感想も。かつて夢や希望を与えてくれたヒロインたちを通して、わざわざ現実を見たくないという人は一定数いるようだ。
『プリキュア』だけでなく『デジモンアドベンチャー』シリーズでも、大人になった主人公たちの物語が作られるようになってきた。
2020年に公開された映画『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』では、初代シリーズの八神太一たちが大人になって登場。そして今年も10月27日に『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』が公開され、そこでは02世代の本宮大輔をはじめとする「選ばれし子どもたち」の10年後の姿が描かれている。
ネット上の評判はやはり賛否両論で、登場人物たちの成長や大人になってからの関係性が見れて「良かった」と思う人もいれば、かつて憧れていたアニメキャラが大人になったことに「切なさ」を感じてしまった人も多々見受けられた。
ただ『プリキュア』シリーズにも言えることだが、大人がターゲットであるからこその物語を描けるのは、“成長後の物語”の利点と言えるだろう。
例えば昨年7月に公開された映画『ゆるキャン△』でも、作中キャラクターたちの大人になった姿が描かれている。だがこちらは『プリキュア』や『デジモン』と違い、そもそも原作の対象年齢が高め。そのため「子どもの頃に憧れたキャラの成長した姿を見る作品」というよりは、単純に「『ゆるキャン△』の登場人物たちはどのような大人になるのか」を見て楽しむ外伝的な要素がより色濃くなっている印象だ。
大人になったことで“女子高生が限られた財力で頑張ってアウトドアする”という原作特有の要素は薄まるものの、その分、リアリティラインが上がったことでより大人世代に響く物語となったことは間違いない。
現実では大人でも夢があったり、逆に子どもでもシビアな社会があったりするものだが、物語となるとどうしても「夢(子ども)」か「現実(大人)」かの構造になりがち。それが悪いということではなく、結局のところはジャンルとして“どっちが刺さるか”という問題なのだろう。
子どもの頃に憧れたヒーローヒロインの大人になった姿、あなたは見たい? それとも見たくない?
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