今回はアニメ化記念と題して、原作者の平尾先生と、現在まさに日本武道館への道をひた走るアイドルグループ・虹のコンキスタドール、でんぱ組.incの二次元&美少女大好きメンバー、根本凪によるスペシャル対談が開かれた。原作・アニメ共に推す根本による『推し武道』愛を、平尾先生は果たして受け止めきれるのだろうか!?(2回連載の1回目)
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──『推し武道』は虹コンさんはモチロン、Maison book girlの和田輪さんも大推薦と、アイドルさんが注目している作品です。根本さんはアニメをご覧になられての感想は?
根本 まず、原作も愛読している身として、アウリ先生の絵の繊細さが完全に再現されていて、とにかくスゲーッ!!!て感動しちゃいました。えりぴよさん動きまくり、ChamJamちゃんゴリゴリに踊りまくり! 中でもくまささんの再現度の高さに感動。
──根本さんから見てもくまささんは、理想のオタクですか?
根本 はい。えりぴよさんも基さんも非常にステキなオタクライフを送っているのですが、くまささんの(五十嵐)れおちゃんを、必死にひたむきに支える姿がとてもキラキラしているなぁって。あまり自己主張はしないのに、イベントで固定ポーズをもらった時に静かに感激する姿を見ると、なんとも尊いなぁって感動しちゃいます。アイドルとして『推し武道』を観ていると、どんどん「ファンのみんな、尊い!」っていう感情が湧いてくるんですよね。
平尾 ちゃんと観てくださって、嬉しいですね。
根本 えりぴよさんたちが炎天下の中待っていたり、舞菜ちゃんが出るかどうか分からないフェスに希望を持ってチケットを買う姿を見ると、私たちのファンの方もきっと同じように、私たちが見えていないところでたくさんの努力をされているんだと思ったら、ファンのみんなへの愛が深まりましたよ。改めて気づかせてくれて『推し武道』にメチャ感謝です!
平尾 現役アイドルの方にここまで言ってもらえるとは……って、こんなことしか言えなくてゴメンなさい。先ほどからずっと「お顔が可愛いなぁ」と思いながら話を聞いており……顔に夢中になるあまり、お話が入ってきていませんでした(苦笑)。
根本 ありがてぇお言葉、いただきました!!
──原作を読まれて根本さんは『推し武道』でグッときた場面はどこでした?
根本 色々とありすぎます。まず、お正月におせちを作っているお母さんに、えりぴよさんが「ガチ恋口上」で応援するところ、メッチャ笑いつつイイ話だなぁ!って。あとはやはり、人気投票でのれおちゃんとくまささんの絆の深さ。
平尾 (ニコニコ)
根本 ……はっ!? 作者さんを目の前にこんなにはしゃぎ、しかも語彙力が全くなくて申し訳ないです(土下座する勢い)! けど、このステキな関係性を築くのが難しいと思うんです。アイドルさんがいるだけファンの方の応援の形があって、中には計算が働く関係もあるかもしれない。ここまで互いを信頼し合えるってスゴイ。新しいカップリングの形を見た気がします。
──根本さんから見て『推し武道』のようなアイドルとオタクの関係性で、これはある!と思った部分や、これは新鮮だなと思った部分は?
根本 握手列を何とか途切れさせないようにとループし続ける方の熱量はものすごくリンクします。本当に列って無くなる時はなくなるんですよ(苦笑)。えりぴよさんが舞菜ちゃんのためにループする姿、心が温かくなります。
平尾 やはり握手列が無くなるのは気がかりになるんですね。
根本 メチャ気になります! 目の前にポッカリ空間が空く分けですから。
──根本さんとしては列を切らさないように! という何かしらの意識はありますか? 作中でも優佳は列が途切れると「空いてますよ~!」とアピールしたりしています。
根本 強烈に意識することはないのですが、「この前も、来てくれたよね?」と、自分から会話をして距離を縮めようとは意識しています。
──平尾先生は自分がこういう対応をされると嬉しいというのはありますか?
平尾 「次も来てね」って言われるのが嬉しいですね。「ありがとう」で終わると、もう次は来なくていいってこと? と思っちゃって。この場だけの「ありがとう」よりも、次に繋がる一言をもらえると、もっと頑張りたいなと思えるんですよね。
根本 なぁるほど、ものすごく勉強になります。
──アイドルを題材にした作品を手掛けようと、いつ頃から考えられていたのですか?
平尾 全然考えていなかったです。
──とは言え、ネームにあるということは、脳の片隅には「アイドルとオタク」という題材が強くあったということかと。
平尾 実はこの題材、ずっと避けていたんですよ。私の趣味がアイドルなので、趣味は趣味として仕事とは分けたかったんですよね。
根本 分かる(深く頷く)。私もずっとでんぱ組.incのことがすごく好きで。それが今はでんぱ組.incの一員になり、今もメッチャ好きなのは変わりありませんが、その「好き」は今までの感覚とはちょっと変わってきています。
平尾 ですよね。担当さんがこのネタで行きましょうと言われた時には、マジで頭抱えましたよ。まぁ、どうせ売れないし別にいいか! って切り替わりましたけどね。まさかここまで長く続くとは……(苦笑)。
根本 ネガティヴすぎますよ(笑)!
──(笑)。今作、『武道館』を冠したのには理由があるのですか?
平尾 このタイトルは担当の方との話し合いをしている時「アイドルにはどこに行ってもらいたいですか?」と聞かれたので、パッと思い浮かんだのが武道館で。ドームとかアリーナではなく、なぜか「武道館だな」と思ったんですよ。
根本 分かります。私もどこでライブしたいかと聞かれてパッと思い浮かぶのが武道館。なんと言いますか、神々しい場所ですよね。
平尾 そうそう! 私、今までの推しが武道館に辿りつく前に辞めてしまっていて。ファンにとって「武道館に行く」というのは、一つの大きな願いなんですよ。
根本 ファンの方もアイドルさんも、武道館に対してすごく特別な想いを抱いていますよね。けど、なんで、みんな武道館を目指したがるんでしょうね?
──昨年末堂々と「武道館を目指す」宣言をされたのに、そこに今立ち返るんですか(笑)?
根本 ただ、神々しいというだけで、そのワケを深く考えたことがなかったです(笑)。
平尾 「日本武道館」という言葉の響きがいいでしょうかね?
根本 私個人の考えで恐縮なのですが、でんぱ組.incが2012年に、恵比寿LIQUIDROOMでのライブで、(古川)未鈴さんが「私たちは武道館に立ちます!」と宣言したんですよ。その後2年という時間をかけて本当に武道館に立つという夢を叶えて、想いがキレイに叶っていくまでのストーリーにすごく感動したんですよ。その美しい印象があるから、私は武道館を神々しく感じているのかもしれないです。カッコイイ先輩方が立った場所に、私たちも立ちたいという想い、その一心なんだと思います。
平尾 なるほど、物語とか個人の夢が詰まっている場所か。
<後編「オタクが嫌われる描写だけは描きたくなかった」に続く>
▽TVアニメ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』
<STAFF>
原作:平尾アウリ(徳間書店 リュウコミックス)
監督:山本裕介
シリーズ構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン:下谷智之/米澤優
CGディレクター:生原雄次
色彩設計:藤木由香里
美術監督:益田健太
美術設定:藤瀬智康
撮影監督:浅村徹
編集 :内田恵
音響監督:明田川仁
音響効果:上野励
音楽 :日向萌
アニメーション制作:エイトビット
OPテーマ ChamJam『Clover wish』
EDテーマ えりぴよ(CV:ファイルーズあい)『△桃色片想い△』(※△はハート記号)
劇中歌「ずっとChamJam」(歌:ChamJam)
MV:https://www.youtube.com/watch?v=F3iaZO0RV1c
<CAST>
えりぴよ:ファイルーズあい 市井舞菜:立花日菜
五十嵐れお:本渡 楓 松山空音:長谷川育美 伯方眞妃:榎吉麻弥 水守ゆめ莉:石原夏織 寺本優佳:和多田美咲 横田 文:伊藤麻菜美
くまさ:前野智昭 基:山谷祥生 玲奈:市ノ瀬加那
<ON AIR>
TBS:毎週木曜日 深夜1:28~放送中
BS-TBS:毎週土曜日 深夜2:00~放送中
<配信情報>
TVアニメ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」FOD独占配信
毎週金曜日6時最新話配信 第1話無料配信中
https://fod.fujitv.co.jp/s/genre/anime/ser5a87/
<COMICS>
「推しが武道館いってくれたら死ぬ」は『COMICリュウweb』(徳間書店)にて連載中。
第1巻~第6巻が現在発売中。
▽虹のコンキスタドール
https://2zicon.tokyo/
▽でんぱ組.inc
https://dempagumi.tokyo/
▽根本凪 Twitter
https://twitter.com/nemoto_nagi
(c)平尾アウリ・徳間書店/推し武道製作委員会