新日本プロレス所属プロレスラーで、すべてが謎に包まれた正体不明のマスクマン、エル・デスペラード選手。アニメ、漫画、ゲーム、音楽などにも造詣の深いデスペラード選手に、アニメと漫画の出会いや、プロレスラーとしての原点を聞いた。
(前後編の前編)

【写真】新日本プロレス所属エル・デスペラードの撮り下ろしカット【13点】

――アニメや漫画に造詣の深いデスペラード選手ですが、興味を持ったきっかけから教えてください。

デスペラード ビックリマンチョコってあるじゃないですか。爆発的なブームは僕らよりも上の世代ですが、知識としては知っていて、お兄ちゃんがいる同級生の家に行くと、ブリキのゴミ箱にビックリマンシールがしこたま貼ってあって羨ましかったんです。そしたらアニメの『ビックリマン』が始まって、それが言葉こそ知らなかったもののメディアミックスとの出会いで、いろんなものに興味が出てきました。それと前後して、無印の『ドラゴンボール』が再放送していて、まだ子どもだった頃の悟空がドラゴンボールを探しているアドベンチャーの話が大好きだったんです。恐竜が出てきたり、でっかい魚を尻尾で釣ったり、あのワクワク感は今でも忘れられないですね。

――その頃から漫画も身近だったんですか。

デスペラード 親父が寿司屋をやっていたんですが、町の居酒屋みたいなお店だったので、『週刊少年ジャンプ』と『月刊少年ジャンプ』がだいたい置いてあったので、自然と漫画も読むようになりました。

――初めて自分で買ったコミックスは覚えていますか。

デスペラード 1993年に『GS美神 極楽大作戦!!』のアニメが始まって、主人公・横島忠夫の声がベジータと同じ堀川りょうさんで、それが声優さんに興味を持つきっかけでもあったんですが、作品としても面白かったので、初めて自分の意志でコミックスを買いました。たまたま行った書店に1・2巻が売ってなかったので、いきなり3巻を買ったんですが(笑)。

――プロレスに興味は持ったのは、同じくらいの時期ですか。


デスペラード もっと早かったです。保育園の頃にはプロレスラーになろうと思っていました。

――そんなに早くからプロレスラーを目指していたんですか! プロレスを観始めたのは誰かの影響ですか。

デスペラード 親父の寿司屋は月曜日が定休日だったので、なかなか日中は一緒にいられる時間がなかったのですが、お客さんがいなければ22時くらいにお店をあがるんです。当時、僕の地元では深夜に全日本プロレスを中継していて、親父が帰ってくる時間に起きると、一緒に観ることができたんですよね。だから幼少期の記憶として、親父と一緒にプロレスを観る時間は貴いんですよね。

――そこから、どういう経緯でプロレスラーを目指したんですか。

デスペラード その後、親父と、親戚の兄ちゃんと3人で初めて全日本プロレスを観に行ったときに、スタン・ハンセンの入場時に、僕はテンションが上がって近づいていったんです。そしたらスタン・ハンセンはめちゃめちゃ目が悪かったらしくて、間違えてぶっ飛ばされたんですよ。めっちゃギャン泣きして、「俺はこいつを殺さなきゃいけない」と思ったのが、プロレスを始めようと思ったきっかけです(笑)。それを機に、プロレスはやりたいものであって、観たいものではないと気づいて、そこまで熱心にプロレスを観なくなったんですよね。それでプロレスをやるために高校からレスリングを始めたんです。


――レスリングを始めてからも、プロレスを観ることはなかったんですか。

デスペラード 1個上の先輩がプロレス大好きな人で、FMWのビデオを貸してくれたんですよ。それまで観たことのあるプロレスよりもゴツゴツしていて、ハードコアもあって。竹刀をテーブルに叩きつけたり、敗者にドッグフードを食わせたり……。「人前でここまでやっていいんだ!」という驚きがあって、プロレスという表現の幅が、「アニメや漫画とほぼイコールじゃん! すげえ!」と思ったのを覚えています。FMWは時代が早すぎましたよね。

――かねてから好きな作品に挙げている『キン肉マン』との出会いも教えてください。

デスペラード 確か親戚の兄ちゃんにもらったと思うんですが、鳩サブレーの黄色い缶の中にキン消しが山ほど入っていたんですよ。中でも目を惹いたのがスニゲーターで、正体はティラノサウルスの足じゃないですか。他の超人は人っぽい形なのに、スニゲーターだけ中指に顔があるのが衝撃で。それがキン肉マンの入り口で、日曜日の昼間にやっていたアニメの再放送を中学・高校と観ていたんですが、コミックで全巻読んだのは大学生のときです。ちょうど大学生の頃は『週刊プレイボーイ』で『キン肉マンII世』が連載していたんですが、今、新日本プロレスにいるオーストラリア出身のロビー・イーグルスは、『キン肉マンII世 ULTIMATE MUSCLE』という『キン肉マンII世』のアニメから入っているんですよ。
そうやって世代も人種も超えて、キン肉マンは受け継がれているんですね。もちろん今も『キン肉マン』の連載は読んでいます。

――キン肉マンで推しのキャラクターは?

デスペラード なんだかんだ言って、スーパー・フェニックスが好きですね。僕は主人公の対極にいるキャラクターが好きなんですよ。仮面ライダーでも、『仮面ライダーBLACK』のシャドームーンが好きですからね。

――デスペラード選手はロボットアニメ好きでも知られていて、昨年は髙木三四郎選手のトークイベント「プロレスラーがロボットアニメとプロレスについて語る会」にゲスト出演しました。ちなみに『新世紀エヴァンゲリオン』はお好きですか?

デスペラード 大好きですし、本放送はリアルタイムで観ていました。ちょうど碇シンジくんと同じくらいの年齢だったので、すごく影響を受けた世代です。前半は『機動戦士ガンダム』と一緒で、ネクラな主人公が成長していく物語なので共感したんですよね。終盤の「おめでとう」はおいてけぼりでしたけど……。でもずっと追い続けて、同級生と一緒に、初めて自分のお小遣いで映画館まで観に行った映画が『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(97)だったんですよ。帰りのバスの中は全員黙ったまま考え込んで、何も解決しないまま家に帰ったのを覚えているのですが、今思えば得難い体験でしたね。


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【後編】新日本プロレス エル・デスペラード「マスクをしている時だけ、かっこつけられる」音楽と創作が広げた世界
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