エクスペディアグループが日本に参入して、今年で20周年を迎える。米国発のオンライン旅行会社として世界最大級の規模を誇る同社の日本事業を率いるのが、エクスペディアホールディングス(株)代表取締役で、エクスペディア・グループ リテール日本統括ディレクターの木村奈津子氏だ。
参入初期のスタートアップフェーズにマーケティング責任者として加わり、18年にわたり日本事業の拡大に携わってきた。キャリアの原点は「たまたま」の連続だったと語る木村氏に、これまでの歩みと日本の旅行市場の展望、そしてゴールデンウィークを前にした旅のヒントを聞いた。
○偶然の連続が、自分の軸をつくっていった
――まずは、これまでのご経歴を教えてください。エクスペディアには2007年頃から在籍されているとのことで、非常に長いですね。
木村氏:はい。エクスペディアが日本に参入して今年で20周年ですが、私はそのうち18年在籍しています。かなり初期のタイミングで、マーケティング責任者として入りました。当時は、まだ10人くらいの規模でしたね。マーケティングは私1人で、そこから人数を増やしていきました。
その後、日本のマーケティングからアジア各地域のブランドマーケティング責任者になり、韓国、香港、台湾と担当範囲を広げていきました。さらにエクスペディアがバケーションレンタルのHomeAwayを買収した際に、日本法人の社長として物件の仕入れとマーケティングを統括する立場に就きました。4~5年ほど経験を積んだ後、コロナを経て組織が再編され、今はBtoC全体を見るポジションにいます。
――最初からマーケティング畑だったのですか。
木村氏:いえ、全然違います。最初のi2では、企業向けソフトウェアのプリセールスをしていました。マーケティングに転身したのはソニー時代です。「需要を喚起する仕事に関わりたい」と手を挙げたら、経験がなくても異動させてくれたんです。やりたいと言えばチャンスをくれる土壌がありました。外資系だとスペシャリストが求められるので、どこかで転身しないとずっとそのままです。その意味で、ソニーでの方向転換は自分にとって非常に大きかったですね。
――キャリアの出発点もかなりユニークだったそうですね。
木村氏:実は、新卒の就職活動ができなかったんです。大学の交換留学制度で3年から4年にかけて留学していて、4年で帰国した頃にはみんな内定が出ている状態でした。
そんな中で出会ったのがi2テクノロジーズです。NASDAQに上場するアメリカ企業ですが、日本ではまだ30人くらいの規模でした。当時の社長の思いつきで「女性の新卒を5人だけ採ってみよう」と。最初で最後の試みだったらしいのですが、たまたまその秋募集に引っかかったんです。
実はそのとき、もうひとつ政府系の機関にも受かっていて、親からは安定したそちらを強く勧められました。でも私は、よくわからないけど面白そうだという"心が動くほう"を選んだんです。その判断が自分のキャリアの出発点になったと思っています。
最初の会社は、社員にインド人やアメリカ人も大勢いて多国籍。サプライチェーンという新しいコンセプトを日本の製造業に売り込む仕事で、非常に刺激的でした。世界と日本の間に立つことの面白さ、異文化の人たちと働く楽しさ、そうした自分の基盤がすべてそこでできました。新卒の自分がそういう方々と共に働けた経験は今でも土台になっています。
振り返ると、転職の際に大切にしてきた軸が三つあります。日本と世界のブリッジになること、新しいコンセプトやテクノロジーに関わること、そして消費者としてその商品やサービスにパッションを持てること。エクスペディアに入ってこれほど長くいることになったのは、三つ目の「旅行が大好き」というパッションからだと思います。
○不安こそが成長のサイン
――キャリアの中で、特に大きな転機になった出来事は何でしょうか。
木村氏:エクスペディアがHomeAwayを買収して、日本法人の社長を打診されたときですね。長くマーケティング畑でやってきて、将来的にはもっと広い視野で事業全体を見たいという気持ちはあったのですが、なかなかその機会が来なかった。そんなとき、元上司がHomeAwayに転職していて、買収を機に直接電話をくれたんです。「日本で新しい組織を作るから、社長をやらないか」と。
正直、すごく躊躇しました。民泊事業のスタートアップとして、一番の優先事項は物件を仕入れることなのですが、営業経験はほぼゼロ。いろんな不安が山ほどありました。ちょうど結婚前で、責任ある仕事を引き受けたらプライベートが遠のくのではないかとか。
そんなときに相談したのが、当時のメンターです。「とりあえず飛び込みなさい。やって駄目だったらまたやり直せばいい」と背中を押してくれて。実際に引き受けてみたら、仕事の幅も視野も大きく広がりました。PL全体を見る経験ができたことで、マーケティングのエキスパートから事業リーダーへと自分が変わる転機になったんです。
――その経験は、リーダーとしての考え方にもつながっていますか。
木村氏:はい。社内の経営陣もよく言うのですが、自分がすごく心地いいと思えるポジションにとどまるのは成長につながりません。ちょっと不安だな、やったことがないけれど大丈夫かなと感じるくらいのポジションを目指さないといけない。不安こそが自分の成長のサインだと思っています。経験ゼロでも、自分がすべてを背負う必要はなくて、専門知識を持つ人たちをうまく巻き込みながら進めていけばいい。そういうやり方を学んだ経験でもありましたね。
もうひとつ大きかったのは、多国籍な環境で長く働く中で「オープンでいること」の大切さを学んだことです。日本では意見の対立が、そのまま人間関係の摩擦に見えてしまうことがありますよね。会議で「I disagree」と言われると、この人は私のことが嫌いなんだと感じてしまいます。でも海外のチームでは、意見への反対と相手への否定はまったく別のもの。実際、会議でバチバチやり合った後に「ランチ行こうよ」と誘われて、さっきあれだけ反対してきたのにランチ?って驚いたこともあります(笑)。そこを切り分けて考えられるようになったのは、自分にとって大きな成長でした。
○グローバルの強みを日本市場に根づかせるローカライゼーション
――日本の旅行市場におけるエクスペディアの強みは、どこにあるのでしょうか。
木村氏:グローバルの強みは大きく二つあります。一つは、世界中で展開しているので、ホテルの在庫も世界中に広がっており、航空券やホテルの選択肢が世界中で豊富にあるということ。もう一つが、テクノロジーの強さ。エクスペディアはもともとマイクロソフトからスピンアウトした会社で、テクノロジーカンパニーでもあるんです。
今はAIへの投資が非常に活発で、航空券やホテルの価格変動をAIでトラッキングしてアラートしてくれる機能や、Instagramのリールをもとに旅先や旅程案を提案するAI機能『トリップマッチング』のような新しい試みも登場しています。
ただ、グローバルの強みをそのまま持ってきても日本では成功できません。日本はかなり難しいマーケットで、参入してすぐに撤退した外資系企業も少なくないですから。
――日本で20年続いてこられた理由は、どこにあるとお考えですか。
木村氏:やはりローカライゼーションに重きを置いてきたことだと思います。たとえば、アメリカで誰もが知っているエクスペディアと、日本で当初まったく無名だったエクスペディアでは、必要なブランディング戦略がまるで違います。
最初は「アメリカのCMをそのまま日本語にしなさい」と言われましたが、「そもそもエクスペディアが何なのかを伝えるところから始めないと駄目でしょう」と。
UIの好みも日米で異なりますし、カスタマーサポートの位置づけも違う。アメリカではコストと見なされがちですが、日本では信頼構築に不可欠です。特に外資はここを疎かにすると不信感を抱かれてしまうので、24時間日本語で電話対応できる体制を整えるなど、信頼性の担保にはかなり力を入れてきました。
一方で、グローバル企業はスケーラビリティを重視しますから、「日本だけのためにそんなカスタマイズはできない」と言われることもあります。だからこそ、感覚ではなくデータとロジックで説得することが重要です。これをやれば売上がどう伸びるか、顧客満足がどう上がるか。地道ですが、そういった積み重ねが日本での成長を支えてきたと思います。
これは日本企業が海外に出ていくときにも同じことが言えます。ソニー時代の経験からも感じますが、やはり現地の人に意思決定を任せることが成功の秘訣です。日本のやり方をそのまま押し付けるのではなく、現地のことは現地の人が決める。逆に言えば、アメリカ企業が日本で展開するなら、最終的には日本人が意思決定するのが大事。その考え方は今も変わりません。
○インバウンドとアウトバウンドのバランスが鍵を握る
――日本の旅行市場の現状をどのように見ていますか。
木村氏:旅行市場はインバウンド、アウトバウンド、国内旅行の三つに分けて見る必要があります。まずインバウンドは、昨年の訪日外国人旅行者数が過去最高の4,200万人超を達成し、政府が掲げる6,000万人というビジョンに向けて追い風が吹いています。ただし、日本のインバウンドの約7割は東アジアからで、ゴールデンルートと呼ばれる東京・京都・大阪への一極集中が課題です。
エクスペディアはアメリカ企業として欧米豪に非常に強いシェアを持っています。そうした強みを生かし、欧米豪の旅行者をもっと日本に呼び込み、さらにリピーターには地方へ足を延ばしてもらう形で需要の分散に貢献できると考えています。自治体とも連携し、西日本ルートや奈良、山口など、まだ知られていない地域の認知拡大から誘客まで一気通貫で取り組んできました。
アウトバウンドは、円安が大きな足かせになっていますが、市場ではコロナ前の7割程度まで回復しています。特徴的なのは、目的を明確に持った旅行が堅調だということ。K-POPのライブを観に韓国へ、大谷翔平選手やドジャースの試合を観にロサンゼルスへ、といった推し活は円安でもお金を惜しまない人が多いです。
国内旅行については、インバウンドの好調で都市部ではホテル単価がかなり上がっています。その結果、混雑して高くなった人気観光地を避けて、青森や三重といった比較的知名度の低い地域に国内旅行者が流れる傾向が顕著になっています。
――今後の展望についてはいかがでしょうか。
木村氏:為替の影響が非常に大きいので短期的な予測は難しいですが、長期的に見ればインバウンドもアウトバウンドも伸び続けなければいけないと思っています。私が特に重要だと感じているのは、インバウンドとアウトバウンドのバランスです。今は入ってくる人が出ていく人の約2.5~3倍で、かなりインバウンド偏重になっています。
でも、本来インバウンドを伸ばしたいならアウトバウンドも伸ばさないといけないんです。海外を知らない人が外国人旅行者への対応やインバウンド戦略を立てるのは難しいからです。自分たちが海外に出て異文化を経験してこそ、外国から来る人たちの気持ちもわかるし、受け入れの許容範囲も広がる。観光庁もそうした考え方で動かれていると聞いていますし、私もその方向性に強く共感しています。
特に若い人にはもっと海外に出てほしいです。インバウンドで日本にたくさんの外国人が来ている今こそ、逆に自分たちも外に出て文化を学び、新しい視野を持って帰ってくることが大切だと思います。
○GWは「ちょいずらし」で、知られざる魅力に出会う旅を
――ゴールデンウィークが近づいていますが、おすすめの過ごし方はありますか。
木村氏:今年のGWは、4日間休みを取れば最大12連休になる非常に長い休暇が取れる年で、旅行にはぴったりです。ただし5月初旬は、中国の労働節連休やベトナムの連休なども重なり、アジア全体で移動需要が高まります。そのため国内外ともにものすごく混み合い、価格も高騰します。ですから、時期を前半か後半にずらすこと、できれば1日だけでも「ちょいずらし」することをおすすめしています。海外旅行なら後半、5月6日以降がいいですね。
行き先にも同じ発想が使えます。韓国ならソウルではなく釜山やインチョン。インチョンは最近リゾート開発が進んでいて、かなり楽しめます。台湾なら台北ではなく高雄や台南。ベトナムのダナンも日本から直行便が出ていて約6時間で行けるので穴場です。国内も京都ではなく奈良、那覇ではなく宮古島、福岡ではなく長崎といった具合に、第二・第三の都市を選ぶとゆったり楽しめると思います。
――個人的に行きたい場所はありますか。
木村氏:台湾の高雄や台南にはまだ行ったことがないので、ぜひ行きたいですね。釜山もリベンジしたいと思っています。実は以前クルーズ旅行で寄港したとき、下船に時間がかかりすぎて、釜山ではトイレにしか行けなかったんです(笑)。子どもがまだ小さいのでアジア圏がちょうどいいかなと。
あと、個人的に最近ハマっているのが九州です。福岡以外でも、長崎のハウステンボスが意外と空いていて良かったし、別府や湯布院も素晴らしかった。福岡まで行ってしまえば電車であちこち回れますし、食べ物も美味しいです。
――最後に、読者に向けて旅の楽しみ方のヒントをお願いします。
木村氏:旅の醍醐味は、美味しいものを食べたり観光地を見たりするだけでなく、その土地の文化を知り、現地の人たちの暮らしに触れることだと思うんです。私が必ずやるのは、現地のスーパーマーケットに行くこと。海外では現地のジムやヨガスタジオにドロップインで参加することもあります。ガイドブックに載っていない、地元の人が通うカフェやレストランに行ってみると、英語表記がなかったり、ハングルだけだったりして、ワクワクします。ちょっとチャレンジングですが、翻訳ツールもある時代ですし、そこにこそリアルな発見があるんです。
オーバーツーリズムが問題になっている今だからこそ、あえて観光化されすぎていない場所に目を向けてみてほしいですね。まだ観光地として整備されていない場所には、現地の生活感や文化がそのまま残っていて、それが個人旅行の本当の醍醐味だと思います。今年のGWはぜひ、時期も場所も「ちょいずらし」で、知られざる魅力に出会う旅を楽しんでいただければと思います。
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