この連載では、投資にまつわる疑問・お悩みに、SBIネオトレード証券の担当者が答えます。今回取り上げるのは「株式投資をしている人が亡くなった場合、相続はどうなる?」です。

○証券会社への連絡から始まる相続手続きの流れ

――株式や投資信託を保有している人が亡くなった場合、一般的にどのような流れで相続手続きが進むのでしょうか?

まずは、お亡くなりになられた方の証券口座がある金融機関に、相続人の代表者が連絡をします。当社では、お亡くなりになられたことを証明する死亡診断書等の書類をご提出いただきます。
○残高証明書の取得と必要書類の準備

当社口座が確認できた場合は、現金や株式、投資信託等の残高が記載された書面(残高証明書)を、お亡くなりになられた方のご住所へ郵送いたします。ただし、該当のご住所が既に引き払われている場合や相続人が遠方に住んでいる場合などは、お亡くなりになられた方と、相続人の関係性がわかる書類や相続人の本人確認書類などを別途ご用意いただく必要があります。
○「現物で相続」か「売却して分割」かを決める

残高証明書が届きましたら、相続の権利がある皆様でご確認いただき、どういった形で相続を行うかを決定いたします。現物株や投資信託をそのまま相続することも可能ですし、全てを売却して現金化してから分割協議をすることもできます。
○手続き完了までの期間と流れ

相続方針に基づいて作成された遺産分割協議書等のご提出をいただいた後、当社側でご意向に沿った相続手続きを進めます。手続き期間は、書類をご提出いただいてから書類精査等もございますので、おおむね2~3週間程度かかります。
○相続人全員の同意が必要になる点に注意

――現物株や投資信託を相続する際に、特に注意すべき点はありますか?

相続の手続きを進めるにあたり、相続の権利がある方全員の同意が必要なことには注意が必要です。特に、株式投資をされたことのない方にとって、手続きが完了するまでの間に相続財産の価値が変動することは理解されていないことが考えられますので、相続人の代表者が相続人全員に説明をされておくことは、後々の揉め事を回避する上で重要です。
○公的書類の有効期限と再提出リスク

また、ご提出いただく公的書類は、当社では発行から6カ月を有効期限としております。ご提出された後、期限までに書類の不足等で相続手続きが完了できない場合は、書類の再提出が必要となる場合がございますので、事前に相続人全員での方針はブレが無いようにしておいてから手続きを進められることをお勧めいたします。

○信用取引は相続できず「強制的に現金化」される

――信用取引をしている状態で亡くなった場合、現物株とは扱いが変わるのでしょうか?相続人はどのようなリスクや注意点を理解しておく必要がありますか?

信用取引で保有している建玉(株式)は、相続することができません。そのため、反対売買を行い現金化することになります。ただし、現金化を行うにあたり相続人全員が同意したうえで、署名・捺印をいただく必要がありますので、相続人が多い場合は実施までに時間を要する場合もございます。
○手続き中も続く価格変動と損失リスク

その間も保有している建玉は、株価の変動により資産価値も変わってきます。さらに、建玉の含み損が多い場合は、お預りしている資金以上の損失が発生する場合もあります。また、制度信用取引の場合は、新規建てから6カ月経過するまでに反対売買で建玉を解消する必要がありますので、相続の協議を進めている間に現金化されてしまう場合もあります。
○生前からのリスク管理の重要性

信用取引をされている場合は、万が一に備えて保有建玉に対して逆指値注文を発注しておくといった日常からの管理が重要なことがわかります。
○家族に「投資している事実」を共有しておく

――株式投資をしている人が、相続に備えて事前にやっておいた方がいいことはありますか?

ご自身が株式投資をされているかどうかをご家族にお伝えいただくのが望ましいです。

特に銀行口座や証券口座などは、日常的にご家族との会話に出てくる機会もありません。実際に、当社にも口座の有無について確認をしたいとのご連絡をご遺族からいただくこともありますが、証券口座は特にご家族が全くご存じなく、遺産整理をする中で初めて知るといったことも少なくないようです。

「付き合いがある」程度でも構いませんので、ご家族に認識しておいていただくことは重要です。
○口座情報や連絡先をまとめておく

万が一に備えて、保有されている口座や担当者の連絡先などをまとめておくことで、残されたご遺族が問い合わせ窓口を探すといった負担も軽くなります。

○遺言や生前贈与の活用も選択肢

銀行預金などの現金と異なり、価格が日々変動する株式は、そのまま株式として相続をしたいご意向があったとしても、時価が常に変わるため、相続人だけで決めようとしても、なかなかすんなりとはいきません。

株式の相続では故人が最も株式に詳しいケースも多いですので、事前に相続する株式を相続人毎に決めておき、均等に分割が難しいものは現金化で分散するといった相続方法をとられる方もいらっしゃいます。

ただし、生前に口約束で相続人が相続株式を聞いていたとしていても、遺言などの証跡が無い限りは、手続きが取れないため、結局、株式を売却して現金化をしてから相続をする結果になってしまいます。また、遺言書を作成される場合は、公証役場等で公正証書としての記録を残しておくことができれば、より確実性が高まります。

なお、相続は死亡後に実施すると、相続税が発生しますが、生前贈与を利用することで年間110万円までは非課税で贈与することができますので、そういった仕組みも利用しながら節税することも中長期では重要です。
○家族で話しておくべき最低限のポイント

――ゴールデンウィークなど家族が集まるタイミングで、投資や相続についてどんなことを話しておくとよいでしょうか?

お取引の詳細まで話される必要はないかと思いますが、株式投資をされていることを共有されておくほか、遺言書の有無や金融資産情報の管理方法なども、話しておかれるのが望ましいです。
○信用取引の有無は必ず共有しておく

特に信用取引では、さきほどご説明した通り、お亡くなりになられてから資産価値が大きく変動する可能性がありますので、利用しているかどうかだけでもお伝えしておくことをおすすめいたします。
○株主優待を通じて理解を深めるという選択肢

GWはこどもの日がありますので、お孫さんと過ごされる機会も普段に比べて多くなるのではないでしょうか。そういった時に、株主優待などを利用することで、ご家族の株式投資への理解も進むかもしれません。

また、バンダイ・ナムコHD(7832)や、タカラトミー(7867)、ハピネット(7552)といった子供向けの株主優待に強みのある銘柄や、オリエンタルランド(4661・東京ディズニーリゾート)、サンリオHD(8139・サンリオ・ピューロランド)、東京都競馬(9672・東京サマーランド)などの施設招待券がもらえるものなどもありますので、ぜひこういった機会に株主優待で銘柄選びをしてみてはいかがでしょうか?

○回答者:SBIネオトレード証券 カスタマーサポート課 山下さん 

カスタマーサポート課の中でもお客様対応経験が豊富な現場たたき上げのエース。現在は課員のサポートをしながら、新サービスの開発にもチャレンジ中。お客様の問い合わせを先読みして、かゆいところに手が届くきめ細やかなサービス提供が信条。
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