電気自動車(EV)の中古車市場が未成熟である最大の理由は、バッテリー評価の難しさです。バッテリー交換の費用負担を恐れて、購入に二の足を踏む人もいます。
どのような充電習慣がEVのバッテリーを保護し、売却時の評価を最大化させるのでしょうか。2026年時点での最新の査定知識を解説します。

中古EV購入者が恐れる”リスク”とは

新車のEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)市場が拡大を続けるのに対し、今ひとつ盛り上がりにかけているのが中古EV市場です。2020年初頭にEV販売が急増したことから、2025年以降に中古EVの供給が増えていますが、購入をためらう方も少なくありません。

最大の理由はバッテリーの劣化です。バッテリーが劣化したEVは、走行可能距離が短くなります。バッテリーを交換する場合、100万円以上の高額な費用がかかることもあります。

さらに、購入補助金を活用できないなど、中古EVには新車より不利な面が他にもあります。
2026年最新・バッテリー評価基準

中古EVを少しでも高く売却するなら、バッテリーを劣化させないための対策が必要です。

バッテリーの健康度をチェックするにはSOH(State of Health)の確認が必要で、この結果が悪いと査定に大きく響く可能性が高いです。
○SOHとは

EVの駆動用バッテリーがどれだけ健全なのかを示す指標です。新品の状態を100%とし、現在どれだけの性能(容量)をキープできているかをパーセンテージで示します。
バッテリーの劣化具合を判断するのに重要な指標です。

よく似た言葉に「SOC」がありますが、こちらは充電残量のことです。意味はまったく異なりますので、混同しないよう注意しましょう。
○売却時のSOHの目安

EVの売却において、SOHは査定額を左右する重要な指標であり、一般的に85~95%程度が望ましいとされています。高く売却するには、ディーラーの診断を受けてSOHを可視化することが必要です。
SOHを確認する方法

SOHを自分で直接確認する方法をメーカー別に解説します。
○日産EVの場合

日産自動車の「サクラ」「アリア」「リーフ」の場合、ハンドル前方のディスプレイでSOHを確認可能です。左側のボタンを押すとEV情報に切り替えることができ、さらに項目をスクロールすると「バッテリー容量計」が表示されます。
○マツダEVの場合

マツダのEV(MX-30 MODEL/ROTARY-EV)では、センターディスプレイで確認できます。「情報」→「車両ステータスモニター」→「メンテナンス詳細情報」からSOHを見ることが可能です。
○トヨタEVは直接確認できない

トヨタ自動車製EVの多くのモデルでは、ユーザーが直接SOHを確認できる機能は搭載されていません。正確に確認するには、ディーラーの診断を受ける必要があります。

バッテリー劣化をできるだけ防ぐための工夫

中古EVを高く売却するため、バッテリーの劣化を防ぐ方法を解説します。
○急速充電の回数を減らす

急速充電は大きな電流を流すため、バッテリー温度が上がりやすく、劣化につながります。普通充電を中心に利用し、急速充電はどうしても必要なときだけに留めましょう。

バッテリー劣化を防ぐためには、急速充電の回数は月5~10回程度、年間100回までが目安です。

○完全充電・完全放電をしない

完全充電は100%まで充電すること、完全放電は逆にバッテリーを0%まで使い切ってしまうことを意味します。EVのバッテリー劣化を遅らせるには、完全充電・完全放電のどちらもできるだけ回避することが大切です。

もし100%まで充電したらすぐに使い始め、100%の状態で長期保管することは避けましょう。
○長時間の駐車では50~60%で保管

1週間以上車を運転しない場合、フル充電ではなく、50~60%程度の状態で保管しましょう。長期的な容量の低下を抑えることが可能です。
○なめらかな運転を心がける

急加速・急減速を繰り返すと、バッテリーに大きな負荷がかかります。穏やかでなめらかな運転を日常的に心がけるようにしましょう。
○炎天下で放置しない

バッテリーは高温に弱く、炎天下で放置すると劣化スピードが加速してしまいます。
高温の日は青空駐車を避け、日陰のある車庫や駐車場を活用するのが望ましいです。
○定期的にディーラーの診断を受ける

ディーラーでのバッテリー診断を受けると、SOHの数値、急速充電の回数、フル充電時の走行可能距離などの項目を把握できます。

劣化の兆候を早期に発見できるため、年1回あるいは車検時に点検しましょう。

安藤真一郎 あんどうしんいちろう マーケティング会社に勤務した後、フリーランスのライターに転身。 多種多様なジャンルの記事を執筆するなかで、金融リテラシーを高めることや情報発信の重要性に気づき、現在はマネー系ジャンルを中心に執筆している。 ライターとして、知識のない人でも理解しやすいよう、かみくだいた文章にすることが信条。 ファイナンシャルプランニング技能士2級、日商簿記検定2級取得。 この著者の記事一覧はこちら
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