起業志願者が投資家に事業をプレゼンするYouTube番組『令和の虎』。『令和の虎』では、同じように夢を語っていても、志願者たちは「応援される人」と「炎上する人」に分かれる。
その差はどうやって生まれるのか。本記事では、『令和の虎』チャンネルの創設メンバー・竹内亢一氏にインタビュー。番組の舞台裏や、虎たちが志願者を見極める視点について話を聞く。

差が出るのは、結局「準備の量」

『令和の虎』では、同じように夢を語り、人生を懸けて挑戦しているはずなのに、視聴者の反応が真逆に分かれることがあります。

僕がまず大きいと思うのは、下準備ができているかどうか。

『令和の虎』は、その場でうまく話せるかどうかを競う番組ではありません。むしろ本番までにどれだけ考え抜いてきたかが出ます。こういう質問をされるだろう、ここは突っ込まれるだろう、市場はこう説明しよう、数字はこう答えよう。そういう準備を重ねてきた人は、プレゼンが多少不器用でも「本当にやりたいんだな」というのが伝わる。

逆に炎上しやすい人は、業界理解が浅いまま来たり、数字を雰囲気で話したりする。「5年後に100億円いきます」と威勢のいいことを言うのに、その根拠を聞かれると答えられない。夢を語ること自体は悪くない。
でも夢と妄想は違う。そこを詰められたときに崩れてしまうと、視聴者は一気に冷めます。

つまり、応援されるために必要なのは「事業内容 × 事前準備 × 本人の熱意」。事業そのものに可能性があり、それを語るための準備があり、最後に本人の「どうしてもやり切りたい」という熱がある。この3つが揃って初めて、虎にも視聴者にも「応援したい」と思ってもらえるのではないでしょうか。

応援される人は「自責」で立てる

もう一つ大きいのは、自責か他責かですかね。

虎に指摘されたときに、「確かにそこは甘かったです」「そこは自分の責任です」と受け止められる人は、やはり応援されやすい。反対に、「でも」「だって」「環境が」と言い始めると、一気に空気が変わります。視聴者が見ているのは、完璧さより責任の引き受け方。

事業計画書が最初から100点なんてことはほとんどありません。大事なのは、荒さがあっても改善できる素直さがあるか、伸びしろがあるかです。結局、投資判断は「何をやるか」だけではなく、「誰がやるか」に行き着く。
僕自身も、ビジネスとしてまだ荒くても「こいつならやり切るな」と思える人には惹かれます。辛い時期をどう乗り越えてきたか、どんな行動を積み上げてきたか。そこに人間性が出ます。

それに、応援される人は弱みの出し方がうまいように思います。正確には、弱みを隠し切ろうとしない。背伸びして自分をよく見せようとする人より、自分の弱点を理解して出せる人のほうが愛嬌があるし、一緒にやりたいと思わせる。これは能力ではなく人間性の話です。
「誰のためか」で熱量の見え方は変わる

さらに言えば、その挑戦が誰のためのものかも大きいと思います。

「俺が俺が」という人は、やはり応援されにくい。自分が儲かればいい、自分が有名になれればいい、そういう匂いが言葉の端々に出ると、「なんでこの人にお金を出さなきゃいけないんだろう」と感じさせてしまいます。逆に、世のため、人のため、誰かを救いたい、業界を変えたいという思いが見える人には、自然とBETしたくなる。

僕は、人は自分のためだけでは100%の力を出し切れないと思っています。
だからこそ、誰かのために戦っている人は強いし、応援される。しかも、最初から順風満帆な人より、一度へこんだり、マイナスから立ち上がろうとしている人のほうが、見ている側は感情移入しやすい。「この人は転んでもまた立ち上がるな」と思えると、応援したくなるんです。

虎も視聴者も、志願者の人間性とストーリーを見ています。なぜこの人がやるのか。どれだけ考え、悩み、それでも前に進もうとしているのか。そこが見えたときに、ただの志願者ではなく、「応援したい挑戦者」になるのだと思います。
応援の本質は「裏切らないこと」

応援される人の本質を一言で表すと何か。僕は「裏切らない人」だと思います。

応援とは、「この人はやり切る」と信じてもらうこと。途中で簡単に諦めない、苦しくなった瞬間に守りに入らない、言葉だけで終わらせない。詰められるとトーンダウンして言い訳モードに入り、挑戦の場なのに守りに回ってしまう人は、そこで信頼を失います。


その意味で、応援される人は「言葉」より先に「行動」があります。やっているつもり、頑張っているつもりではなく、周りから見ても分かるだけの行動をしている。世の中に成功事例も失敗事例もあるのに、それを学ばずに我流でもがくのは、泳ぎ方を知らないままプールに飛び込むようなものです。本人は必死でも、周りから見れば溺れているだけに見える。だからこそ、学び、準備し、動いている人が強い。僕はそういう人を応援したくなります。

視聴者は、想像以上に志願者のことをよく見ています。何となく「やりたい」で終わる人なのか、それとも「必ずやる」と腹をくくっている人なのか。その違いが、応援と炎上を分けているのだと思います。

竹内亢一 たけうち こういち
株式会社Suneight 代表取締役 1981年三重県生まれ。中学卒業後にミュージシャンを目指し、鞄ひとつで上京。バンド活動で訪れた海外で「映像」の可能性の大きさに注目し、2006年より動画制作を独学で始める。
YouTuberやコンテンツマーケティングといった言葉が日本で広まる前からYouTubeに着目し、2013年YouTubeマーケティング会社「Suneight」を設立。『マーケティングは統計学だ!!』を掲げ、創業以来蓄積した膨大な動画データを軸に、独自の方程式で動画マーケティングを展開。多くの企業の売上拡大や成長を支援している。現在は「令和の虎」にも出演中。関わったチャンネルで金の盾3枚、銀の盾29枚獲得し、国内有数の実績を持つ。著者に『知名度の上げ方 1年で10,000人のファンをつくる法則』(クロスメディア・パブリッシング)がある。 この著者の記事一覧はこちら
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