2026年2月にデビューしたブリヂストンの新型スタンダードタイヤ「FINESSA」(フィネッサ)は、雨天走行時の安心感が大きくアップしているという。梅雨の到来に合わせて、濡れた路面で試したフィネッサの性能をお伝えしよう。


びしょ濡れ路面でエコピアと比較

フィネッサ登場時にブリヂストンが“イチオシ”したのがウェット性能だった。ところが、前回の試乗会では一般道のドライ路面だけしか走ることができなかったため、参加したメディアの皆さんから「ぜひウェット性能も試したい!」との要望が殺到。これを受けての開催となったのが、栃木県那須塩原市にある同社テストコースを使用した今回の試乗会だった。

ここ日本では、長い梅雨がまだまだ続く。フィネッサのウェット性能はどうなのか、確認しておこう。

最初の試乗メニューはウェットハンドリング路。ビッタビタに濡れた1周数百メートルのワインディング路を、「フィネッサ HB01」と既存の「エコピアNH200C」で走り比べる。装着車はトヨタ自動車「シエンタ」(タイヤサイズは185/65R15)だ。安心感はどのくらい違うのか。

「スタート時に思いっきりアクセルを踏んで!」という指示のもとにそれぞれで走り出すと、エコピアでは「ズズズーッ」としばらくスリップした後に車体が前に動き始めたのに対して、フィネッサは「ズッ」という短いスリップの後にすぐにトラクションがかかり始めた。

40~50km/hの公道走行でよくある速度でコーナーを通過すると、前者ではなんとなくステアリングに手応えがなくなり不安を感じたのに対して、後者ではしっかりと路面にグリップして走っている感覚が伝わってきて、その差が結構あることに気がついた。アクセルON/OFFでのスピード調整も当然、フィネッサの方がやりやすい。

旋回してわかったフィネッサの懐の深さ

お次は、水を撒いたスキッドパッドを使用した円旋回だ。ここの路面は、例えるならイタリア・ローマの市街地にあるような、表面が丸くすり減った長方形の石を敷き詰めた「ベルジアン路面」という石畳。実際にヨーロッパから持ち帰った石を使っているという。

テストの機材はトヨタ「プリウス」。比較したのは新品の「エコピアNH200C」に対して、2万km走行後を想定し、表面を3mmも(!)削った「フィネッサ HB01」だ。

想定速度は30km/hだったのだが、前者では26km/hあたりから手応えが甘くなり、そこからさらにスピードを上げようとすると、一気にアンダーステア(前輪が外側に大回りしてしまう)が出て、ステアリングを大きく切り込む必要が出てくる。さらに、車体の向きが大きく振れるので、元に戻すのにちょっと苦労する。

一方の後者では、30km/hまではしっかりとグリップを続けてくれ、さらにスピードを上げてアンダーを出してみても、アクセルを緩めると簡単に姿勢を戻すことができた。両者の写真を並べてみると、ステアリングを切る角度に大きな差が出ていることがわかるのだ。

日本一売れているクルマでドライ路面も試す

最後はホンダ「N-BOX」を使用して、ドライの総合路を使ったエコピアとフィネッサの乗り比べを実施。スラローム、突起の乗り越え、荒れた路面、レーンチェンジを40km/hの速度でこなしていくという内容だ。

ここはエコピアでも十分に気持ちよく通過できたのだが、フィネッサはスラロームとレーンチェンジでの舵角の少なさや立て直しの素早さ、通過時の「サーッ」という騒音の低さが感じられた。
突起通過時の衝撃の少なさや荒れた路面での「ゴーッ」という音圧の小ささについても、後者の方が優れている。勝負あった、という感じだ。

フィネッサHB-01が採用している技術としては、タイヤの設置面がより均一で高いブレーキ性能や対摩耗性を実現した「3D-M字サイプⅡ」、ラグ溝の幅を接地端に向けて広くして排水性を向上した「スプラッシュラグ」(横溝)、底の広い主溝を採用することで摩耗しても排水量が減らない「スクエアグルーブ」(太い縦溝)、主溝とラグ溝をつないでパターンノイズを低減する「スリットサイレンサー」などが挙げられる。これらの効果がはっきりと現れたのが、今回の試乗会での各メニューだったのだ。

ブリヂストンによると、雨天時の事故は晴天時の約6倍におよび、また、雨が降る頻度と量に関しては、1980年ごろに比べて概ね2倍に増加しているという。「タイヤは命を乗せている」というのは同社の有名なキャッチコピーだが、今回試したフィネッサはまさにそれに対応した逸品。オススメです。

原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。
RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。 この著者の記事一覧はこちら
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