6月12日に上場予定の米スペースXのIPO株について、日本の証券会社でも申込受付が始まりました。IPO投資というと「当選したら初値で売って利益を狙う」というイメージがありますが、その常識は米国では必ずしも当てはまりません。
実際、米国では上場後に大きく成長する企業も多く、投資家の考え方も日本とは異なります。

スペースXのIPO投資を検討している人向けに、米国IPOの特徴や値動きの傾向、投資期間の考え方について解説します。
○日本からもスペースXのIPO株へ投資ができる!

新規上場株式、いわゆるIPO株への投資は利益が出やすいと言われています。しかし、近年は国内新興市場が低迷しており、IPO株投資の人気は落ちています。それでも、かつてのIPO投資の活況を覚えている方も多いのではないでしょうか? ただし、これまでIPO投資の対象は国内銘柄に限られていました。

その中で、テスラのイーロン・マスク氏が経営するスペースXが6月中にナスダック市場に上場予定で、日本の証券会社からIPO投資が可能です。海外のIPO銘柄に投資できる珍しい機会と言えるでしょう。

しかし、IPOの仕組みや環境は国により大きな違いがあります。スペースXへの投資を検討するなら、米国のIPOの特徴についても知るべきでしょう。

○上場直前まで正式な上場日が確定しない――日本とは異なる米国のIPO

日本のIPOの場合、●月●日に株式が上場予定、との発表が証券取引所などから行われます。しかし米国では、上場日は直前になるまで正式発表がありません。スペースXの上場日は6月12日予定と報じられていますが、報道ベースです。


また国内IPO投資の場合は、IPO株取得後は初値付近での売却がセオリーです。残念ながら、国内IPO銘柄は初値天井の銘柄が多いため、初値付近での売却が期待値の高い投資方法となってしまいます。

日本には上場ゴールという言葉があります。しかし米国では、上場は企業成長のための通過点、という位置付けの銘柄が多いです。このため、IPOで初値が付いた後は時間の経過とともに株価が上昇する、株式投資として理想的な株価推移を見せる銘柄が少なくありません。

過去を振り返ると、テスラも株価が上昇したのは上場後しばらくしてからで(2010年に上場し、2020年から株価上昇が本格化)、時間をかけて株価は上昇しました。よって、米国のIPO投資で利益を出そうとするなら、長期保有が前提となります。

○スペースXの時価総額は約1兆7700億ドル、成長への期待感が背景だが利益は出ていない

利益の出ている上場企業であれば、PERなどである程度、株価の理論値算出が可能です。しかしスペースXは、まだ利益が出ていない会社です。更に今後はAI事業での成長を計画しています。スペースXのIPO時の時価総額は約1兆7700億ドル(約283兆円)と想定されていますが、将来に対する期待感のみと言っても過言ではなく、上場後に株価が崩れるリスクもあります。

状況的にはOpenAIなどのAI企業のIPOが今後控えているため、ナスダック市場もスペースXの上場後の株価推移は鼎の軽重を問われます。
スペースXには、イーロン・マスク、宇宙、AIという将来が期待できるキーワードが揃っているものの、時価総額は成長への期待感を背景に相当高くなっている点は忘れてはいけません。
○投資資金をホッタラカシにする余裕が必要なスペースXへのIPO投資

スペースXの公開価格は1株135ドルと見込まれており、日本円で約21,000円です。米国株はほとんどの銘柄が数万円で投資できますが、スペースXも同様です。ただしスペースXの株価はバイオ銘柄同様、理論的には算出困難です。投資判断は最終的に、イーロン・マスク氏に賭けられるかどうか?、という部分に帰結します。

米国のIPO銘柄は長期投資が前提と考えると、投資した資金を忘れられる余裕があるなら投資できますが、国内IPO投資のように短期で利益を出そうとするなら、冷静に立ち止まって考えるべきです。

スペースXへのIPO投資は、スペースXという会社に対する理解に留まらず、米国と日本のIPOの制度・環境などの違いを理解した上での検討が必要となるのではないでしょうか。
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