●『華麗なる宝塚歌劇の世界』にゲスト出演
「諸先輩方が作ってきたものを受け継いでいくこと、“継承”が宝塚の魅力だと感じます」。宝塚歌劇団元宙組トップスターの真風涼帆はそう語る。
2023年6月に同劇団を退団。改めて外から見えてきた宝塚歌劇の姿とは……。

そんな真風が出演した日本物レビュー『白鷺の城』(18年宙組 宝塚大劇場)が、時代劇専門チャンネルの人気番組『華麗なる宝塚歌劇の世界~Season8~』に登場。20日(22:00~)に放送される。

番組にゲスト出演した真風は、MCの中井美穂とともに自身の公演を久しぶりに振り返り、当時のエピソードを披露すると、作品にちなんで用意された錫杖(しゃくじょう)を手にする一幕も。収録を終えた直後の真風に話を聞いた。

○久しぶりに見た『白鷺の城』“ファン目線”で楽しんだ収録

――収録の模様を拝見していました。とても楽しそうでしたね。

はい。すごく楽しかったです。中井さんはとても安心感がありますし、2人で当時の映像を拝見して、ちょっとファンのような感覚になるコーナーもあったりして、楽しく収録させていただきました。

――普段、ご自身の出演作を見返す機会はあるのでしょうか。


基本的に自分の映像を見るのは苦手なので、このような機会がない限りはなかなか見ることはありませんね。改めて自分の、そして『白鷺の城』という作品をゆっくり見る良い機会をいただけて、とても楽しませてもらいました。

――当時のエピソードにまつわるクイズも出されていました。

結構前の作品なので、遠い記憶を探しながら、出てきたのがあのエピソードでした(笑)。きっとまた、当時の宙組のメンバーと会って話すと、あれもあったこれもあったと、もっと出てくるのかなと思います。今の私にとってこん身の1問を出題させていただきました。

○トップ就任から1年…初めて尽くしだった日本物

――本作は2018年の公演です。トップスター就任から1年ほどの時期でしたが、改めて振り返ってみていかがですか。

『白鷺の城』は、時代が次々と変わるので、お衣装の早変わりのシーンが多くて。公演が始まっても着替えているし、みんなでとにかく急げ!と(笑)。タイミングとしてはトップになって1年ぐらい経って、慣れてくるはずの時期なのですが、いい意味で慣れることなく、新鮮な気持ちで取り組めていたと思います。

――早変わりのお話が出ましたが、本作は作・演出の大野拓史先生が「こんな真風さんを見たい」というものを詰め込んだ作品だとか。
真風さんとしても喜びでしたか?

喜びというよりも、とにかく日本物の経験が少なかったので……。「素敵だな」「かっこいいな」と、どのシーンも思ってもらえるように演じられるかなという不安のほうが最初は大きかったです。着流しは着せてもらったことがあったのですが、日本物も初めてでしたし、青天(あおてん=日本物の男役のかつら)も、烏帽子(えぼし)も初めてだったのかな。とにかく初めて尽くしで。

所作や着物の着方一つ、かつらのかぶり方一つ、その一つをやるだけでも大変なのに、こんな数の衣装を着こなさなきゃいけないんだと。スタッフの方々や先生方にお力を借りながら、どうにかこうにか頑張りました。

●舞台を作るという思いに性別は関係ない
――退団されてちょうど3年です。改めて、宝塚歌劇の魅力はどんなところだと感じますか。

作り上げてきたものや美学を惜しみなく下級生に教えてくださる先輩がいて、それを必死に下級生は学び、また自分が体現していく。諸先輩方が作ってきたものを受け継いでいくこと、“継承”が、やはり宝塚の魅力の一つだと感じます。

「受け継ぐ」と、口で言うのは簡単ですが、伝統や芸術は目に見えるものではないので、やはり簡単ではないことだったんだなと、卒業してなお感じます。そして宝塚で培ったものは、私の舞台人としての基盤になっているので、今もすべてに息づいているのかなと感じています。


――最初に宝塚歌劇以外の公演に出演されたときは率直にいかがでしたか? 当然、男性の共演者もいらしたわけですが。

最初に感じたのは、舞台を作ろうという大きな思いに、性別は関係ないんだということでした。声量や音域とか、ちょっとしたリフトとか、幅はもちろん違いますけど、何か新しいものを作ろうという思いは、男性だろうと女性だろうと一緒。もっと何か違いを感じるのかと思ったらそうじゃなくて、芸術を作りたいという人間としての思い、そうした人の思いが集結して作られていくのだなと感じました。

――なるほど。感じたのはむしろ違いではなくて、同じ思いだったと。

違いとして新鮮だったのは、公演ごとにメンバーが変わるということでした。宝塚ではある程度固定されたカンパニーで動きますが、作品が変わるたびにメンバーも変わり、頑張って一緒に作り上げても、再演がない限りまたいつ会うのかわからない。そこが随分違う感覚だなと思いました。

○母として表現者として…せめぎ合いながら舞台に立ち続ける理由

――結婚・ご出産を経て、今年は舞台が続いています。お忙しいのでは。

やはり聞くのとやるのとでは大違いで、世のお母様方すべてに敬意を払って今生きております。
子育てという分野に直面して、自分一人では手が回らない、仕事なんて無理だろうという感覚になった時期もありましたが、家族に支えてもらいながらバランスを取って、やりたいと思えるものは挑戦していきたいと思っています。

ありがたくもこうしてお話をいただくので、待ってくれているファンの方がいてくださる限りは、応えていけたらと思っています。正直、今年はちょっと入れすぎたんじゃないかという説はありますが(笑)

――両立は大変でも、舞台にはやはりそれだけの魅力がありますか?

せめぎ合いです。「はい」とかっこよく言い切りたいのですが、嘘はつけない性分なので(笑)。ただ舞台に立つと、誰かのお母さんではない自分を表現していける場所があるとは感じます。OGの先輩方、瀬奈じゅんさんからも「お母さんが笑顔でいることが一番だから」というお言葉をいただいて、すごく心に響きました。

――そうなんですね。

卒業してもなお、先輩方の大きな言葉に救われる瞬間があります。結婚・出産を経た私だからこそ表現できるものや感じられることが、確実に以前とは違うなという感覚は芽生えてきているので、そうやって表現していく喜びは続けていけたらと思っています。

母である自分と表現者である自分を、うまく共存させていけたらと。今は歌があるようなミュージカルの作品などに呼んでいただくことが多いのですが、お芝居だけの作品、朗読劇や映像にも挑戦してみたいですね。

――最後に、番組をご覧になる視聴者の方、ファンの方へメッセージをお願いします。


今回こうした機会をいただいて、私自身も改めてこの作品を久しぶりに見る貴重な時間を過ごし、とても楽しかったです。ご覧になる皆様にも楽しんでいただける番組になっていると思いますので、ぜひ最後まで楽しんで見てください。

●真風涼帆熊本県出身。2006年、宝塚歌劇団に92期生として入団。星組を経て宙組に組替え後、17年に宙組8代目トップスターに就任。23年6月の退団後、同年11月からミュージカル『LUPIN~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』の舞台を踏む。結婚・出産を経て、26年は舞台『AmberS -アンバース-』、ミュージカル『空白の響き Blanked Sound』、『古川雄大 The Greatest Concert vol.3 -Man of the Stage』、湖月わたる宝塚歌劇団退団20th Anniversary『TUMBLEWEED』と出演作が続く。

望月ふみ 70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビュー取材が中心で月に20本ほど担当。もちろんコラム系も書きます。
愛猫との時間が癒しで、家全体の猫部屋化が加速中。 この著者の記事一覧はこちら
編集部おすすめ