2023年7月、明治安田生命J1リーグに所属するセレッソ大阪の攻撃陣が大きく入れ替わった。

24日現在、C大阪からの移籍が発表されたのは、FW加藤陸次樹(サンフレッチェ広島へ完全移籍)、MF中原輝(J2東京ヴェルディへ期限付き移籍)、MF岡澤昂星(J3FC琉球へ期限付き移籍)、MF原川力(FC東京へ期限付き移籍)の4名だ。

一方、同月に、MF新井晴樹(JFLティアモ枚方からが期限付きで加入)、FW渡邉りょう(J2藤枝MYFCから完全移籍で加入)の2名が加入した。

J1第21節(7月15日)終了時点で5位につけるC大阪にとって、短期間での大幅入れ替えはどのように作用するだろうか。上述選手の記録から戦力収支を考察してみよう。

吉か凶か!C大阪FW・MF大幅入替の動向に注目【J1リーグ2023】

C大阪から移籍した4選手

FW加藤陸次樹(サンフレッチェ広島)

7月21日にサンフレッチェ広島への完全移籍が発表されたFW加藤陸次樹は、今シーズンC大阪で17試合に出場して3得点3アシスト。数字だけを見るとほどほどの成績に見えるが、その影響力は数字以上のものがあった。ゴール前でフリーになる動きが巧みで味方を活かす意識も高い。

スタメン出場は8試合に留まり出場時間は764分。

90分で換算すると0.7点以上(得点またはアシスト)に関わってきた計算となり、チームのトップスコアラーFWレオ・セアラ(出場時間1,618分)の記録9得点2アシストをも上回っている。

シュートの決定率も21.4%を記録。これはツエーゲン金沢に在籍していた2020シーズンにJ2で13得点を挙げた際の記録(12%)を大きく上回っており、加藤のキャリア最高値である。J1第18節(6月24日)の北海道コンサドーレ札幌戦からは4試合連続スタメン出場しており、後半戦に向けて期待が高まっていた。

現在、C大阪のFW登録選手ではカピシャーバと北野颯太が今シーズンそれぞれ1得点しか挙げられておらず、加藤とレオ以外、目立った活躍ができていないのが現状だ。

吉か凶か!C大阪FW・MF大幅入替の動向に注目【J1リーグ2023】

MF中原輝(東京ヴェルディ)

7月21日にJ2東京ヴェルディへの期限付き移籍が発表されたMF中原輝は、今シーズンC大阪ですべて途中出場ながらも16試合に出場し(328分)1得点と、一定の活躍を見せていた。

東京Vでは移籍直後の23日(第27節)にベガルタ仙台戦で早速スタメン出場すると、1得点2アシストを記録。

4-3での勝利に多大な貢献をしてみせた。J1昇格を争うなか、7月6日にMFバスケス・バイロンが町田ゼルビアへと完全移籍した東京Vにおいて、中原はその穴を補って余りある活躍をみせてくれそうだ。

MF岡澤昂星(FC琉球)、MF原川力(FC東京)

昨2022シーズン、ブラジルへの武者修行を経験したMF岡澤昂星は、C大阪では出場機会を得られないままの移籍となった(21日、FC琉球へ期限付き移籍)。

また、今季の出場機会が限られていたとはいえ、計算できるボランチMF原川力の移籍(FC東京へ期限付き移籍)は、C大阪にとって戦力減少に繋がるだろう。FW同様、このポジションにも素早い補強があるかもしれない。

吉か凶か!C大阪FW・MF大幅入替の動向に注目【J1リーグ2023】

C大阪に加わった2選手

FW渡邉りょう

FW加藤の移籍もあり、7月23日に藤枝MYFCからC大阪へ加わったFW渡邉りょうにかかる期待は大きい。プロ入り後5シーズンをJ3(アスルクラロ沼津、藤枝MYFC)で過ごしたストライカーであり、J2初挑戦となった今季、第27節終了時点で13得点を挙げた。これは、FWフアンマ・デルガド(V・ファーレン長崎)とFWエリキ(町田ゼルビア)の得点ランキングトップ記録(14得点)に次ぐJ3で3位の記録である。

なお、11得点で4位に続くのはFWピーター・ウタカ(ヴァンフォーレ甲府)とMFチアゴ・アウベス(モンテディオ山形)である。得点ランキング上位5人中4人が外国籍選手であることからも、渡邉の記録がいかに凄いかが分かる。

渡邉は第27節(7月22日)終了のここまで26試合(出場時間2,092分)に出場しており、シュート数(74本)、シュート成功率(17.6%)、得点数と合わせてシーズン半ばにして、いずれもキャリアハイを更新していた。武器はゴール前での冷静さと、強烈な右足でのシュート。動き出しの質も高まっており、それが得点の量産に繋がっていた。

吉か凶か!C大阪FW・MF大幅入替の動向に注目【J1リーグ2023】

MF新井晴樹

7月7日にJFLのティアモ枚方からC大阪に加わったMF新井晴樹は、異色の経歴の持ち主だ。2021年に国士舘大学から枚方へ加入し、その年の7月にC大阪へ期限付きで移籍している。

翌2022年6月にクロアチア1部のHNKシベニクへ期限付き移籍し、2022/23シーズンは主力選手として35試合に出場し2得点の数字を残した。

そして、再びC大阪へ期限付きで加入。2回目となる枚方からのこの移籍は、枚方はもちろん各クラブからの期待の表れと言えるだろう。枚方では、抜群のスピードを持つ左サイドハーフとして活躍。シベニクでは左右のウイングバックや右サイドバックなど、様々なポジションで起用された。

C大阪では現在、左サイドハーフのレギュラーだったMF為田大貴が左膝外側半月板損傷で手術予定。

過去にも大阪に所属していた新井がチームに馴染む時間は不要と見られ、すぐにもFWカピシャーバらとのポジション争いに挑むこととなるだろう。

戦力収支の結果はいかに?

出場さえすれば安定して得点に絡んでいたFW加藤の移籍は、C大阪にとって間違いなく痛手だろう。また、MF中原の喪失もMF層の薄さに繋がりそうだ。

一方でFW渡邉の獲得は得点力を補う的確な補強だといえる。ただし、J1での経験は0であり、加藤の穴を埋められるだけの活躍を見せられるかは未知数だ。

新井の再獲得を含めた手当てが最適であったか、今後のC大阪の順位変動に注目したい。