FRBが6月15-16日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)での見解は、市場の予想を超えるタカ派寄りの内容となりました。メンバー18人による経済予測で2023年末までの利上げがありうるとした委員は、前回3月時点の7人から13人に増えました。そのうちの11人は少なくとも2回の実施を想定しています。さらに7人は早ければ22年中の利上げを見込むなど、わずか3カ月間でかなり強気に傾いた印象です。
これを受け、他の主要中銀の政策スタンスも注目されます。
また、欧州中銀(ECB)や英中銀でも緩和スタンスが修正される方向となれば、ドルへの下押し要因となります。英中銀は現時点で慎重ながら、イギリスでの7月の制限解除で正常化の加速が期待されそうです。一方、ECBはパンデミック特別支援プログラム(PEPP)の縮小を主張する当局者が増え、次回7月22日開催の理事会に向け強気な発言がユーロを押し上げる材料になるかもしれません。
「2021年はドル安」--というのが、半年前の市場のほぼ一致した見方でした。
しかし、フタを開けてみれば金利相場となり、長期金利に振らされる展開に。ドル・円は年明けの102円半ばから3月末には110円後半に強含み、その後は伸び悩みました。5月下旬からは小じっかりとなり、6月FOMC以降は111円台に浮上。ドルは安全通貨としての買いが後退しても金利先高観から売りづらく、断続的な利益確定売りをこなしながらなお底堅い値動きが続きそうです。
円相場も注視されます。トヨタ自動車は2022年3月期の想定為替レートを105円とし、為替差益による増益を見込んだ同社株の買いが強まる場面もありました。それにより輸出銘柄の買いが続けば、日本株高を好感した円売りに振れ、ドル高の支援材料となるでしょう。もっとも、日銀の緩和長期化が背景にあるのは言うまでもありません。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。