レビュー

あなたの話が伝わらない原因はズバリ、脳にある――そう語るのは、脳内科医として1万人以上の脳を診断・治療してきた著者、加藤俊徳氏だ。本書は、脳全体をバランスよく活用した、言いたいことが「伝わる」コミュニケーションを教えてくれる一冊である。


本書のキーワードは「脳番地」だ。著者は、脳を地図に見立てて、機能別に8つの区画に分けた。人それぞれの個性によって、脳番地の発達度合いは異なる。運動系脳番地が発達している人もいれば、感情系脳番地が発達している人もいる。視覚系脳番地は未発達だが、聴覚系脳番地は発達している人もいる――といった具合だ。眠っている神経細胞を刺激して育てていくことで、これまで苦手だと思っていた分野を克服できる可能性もあるそうだ。

本書を読めば、コミュニケーションがうまくいかない理由は、言葉だけを使っているからだとわかるだろう。あなたの「コミュ力」アップのカギは、話し方や聞き方のノウハウを学ぶことではなく、脳番地のしくみを理解し、未発達の脳番地を発達させたり、相手の脳番地を刺激したりすることにあるかもしれない。「伝わる人」のまねをする、食べる順番を変える、大事な話はいつもと違う場所でする、一日のテーマを決めて行動する、前日までに手みやげを用意するなど、本書で紹介される習慣を試してみてはいかがだろうか。

本書の要点

・脳では、似た機能をもつ神経細胞同士が集まって「基地」のようなものを形成している。著者はそれを「脳番地」と呼んでいる。
・脳番地を役割別に分けると、「伝達系」「理解系」「聴覚系」「視覚系」「思考系」「運動系」「感情系」「記憶系」の8つがある。


・脳番地を活用して「伝わる人」になるには、(1)自分の脳番地を使いこなす、(2)自分と相手の脳番地をシンクロさせる、(3)相手の脳番地を刺激する、の3つのステップが有効だ。



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