レビュー

「AIは人間の知性を超えるのではないか」。こうした議論が当たり前のように語られる時代になった。

一方で、急速な進化に戸惑い、いわば「AI疲れ」を感じる人も少なくない。では、AIと共に生きる社会を、私たちはどのようにデザインしていけばよいのだろうか。その問いに真正面から向き合うための確かな拠り所を与えてくれる一冊が登場した。
本書は京都大学の講義「人工知能と人間社会」の指定教科書として編まれている。技術、心の哲学、社会それぞれの観点でAIの本質に迫り続ける精鋭の研究者3名がタッグを組んだ、知的興奮に満ちた書である。
構成はこうだ。まずはAI研究の歴史を振り返り、「技術としてのAI」の重要概念を体系的に整理する。さらにロボティクスを題材に、AIが言語や身体を通して世界と関わる仕組みを解説する。生成AIがどのような技術の積み重ねの上に成立しているのかが俯瞰でき、AIの現在地がスッと頭に入ってくる。
つづいて、心の哲学や認知科学の観点から、AIは意識や感情を持てるのか、人間になれるのかという問いを探求していく。さらには、社会の中のAIの観点から、AI倫理、AIガバナンス、社会制度や価値観に与える影響を考察する。
AIの可能性と限界について理解をアップデートさせながら、どのように生き、どんな社会を築きたいのかという根源的な問いを投げかけてくれるのが本書の魅力だ。
読み終える頃には、前向きな気持ちになり、新たな地平が拓かれることだろう。

本書の要点

・AIは「技術・哲学・社会」の3つの視点から理解する必要がある。生成AIの進展に対し、市民や開発者、政策立案者が対話しながらAI時代のリテラシーを身につけることが重要となる。
・Transformerの登場により、大規模言語モデルが生まれ、AIの能力は飛躍的に高まった。
・AIは人間観や社会制度の再考を促す。意識や自由意志の問題、責任や倫理のあり方が問い直され、人とAIが関係性の中で知性を発揮する社会が模索されている。



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