レビュー

今という時代は積み重なった歴史の上にある。中東は数々の思惑を交錯させながら、私たちの生活に強烈なインパクトを与えてきた。

特に2026年3月時点でのイラン情勢については、アメリカとイスラエルによる同国への攻撃が、連日ニュースで伝えられてきた。米トランプ政権が国際秩序を大きく揺るがすような行動に出たことの影響はもちろん大きいが、イランの対応いかんによっては私たちの生活にも大きな影響が出るというのも、その理由の1つだ。イラン南部のホムルズ海峡経由でやってくる原油に、我が国の経済活動が少なからず依存しているからである。
しかし、ここで大きな問題が生じる。中東情勢に対する理解のハードルの高さである。よくウェブでは、イギリスの「三枚舌外交」などのわかりやすい言説が流布するが、実際の中東は、そのような1つのレンズで見通せるほど単純ではない。多数の民族や宗派、国の思惑が入り乱れ、しかもそれが歴史という層として積み重なっている。
本書の優れている点は、こうした複雑怪奇な中東情勢について、イラン、アメリカ、イスラエルに焦点を当て、2023年10月のガザを含む、戦争へと至る道筋をわかりやすく、ていねいに描き出しているところだ。極めて多くの情報を扱っているが、そのどれもが、今の中東情勢を理解するのに知っておくべきことばかりである。中東の歩んできた道を丹念にたどることで、報じられている出来事を見る目は必ず変わるだろう。

本書の要点

・ガザを巡る紛争をきっかけに、中東情勢におけるパワーバランスは変わった。イスラエルにとっては周辺の危機が低下し、一方でイランは孤立化を進める形となった。


・イランはイギリスとロシアの圧力にさらされていたが、アメリカの助力で近代化を進める。しかし、そのアメリカによってクーデターが起き、イラン人はアメリカへの怒りを募らせることになる。
・イランはホメイニの指導のもと、革命を成功させた。革命後アメリカはイランに接近を試みるが、アメリカの行動を不審に思った人々がアメリカ大使館を占拠した。



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