レビュー

フェミニズムという言葉に対して、どこか身構えてしまう人は少なくない。差別や不平等は解消されなければならない。

しかし、そのために現状の社会を“強い言葉”で否定するようにも見えるあり方に、反感を抱いてしまう。男女平等はすでに常識だからこれ以上強く主張する必要があるのかと疑問を持たれたり、男性が批難されているというようにだけ受け止められたりすることさえある。
本書を読むと、現代の私たちが当たり前のものとして受け入れている男性と女性のあり方が、決して不変の固定的なものではなく、時代ごとの政治と経済の変化によって、社会と人々の考え方を変えることで成り立ってきたものだと理解できる。近代社会が成立する中で、いかにして男性優位の社会構造が確立されていき、それに対して女性たちがどのように問題提起して、闘って、権利を勝ち取ってきたのかが、歴史の順を追って解説されているからだ。
それぞれの時代のそれぞれの社会において、多くの人々が共有する規範は「当たり前」のものとして存在し、それを疑うのは「どこか変」なこととされた。しかし、その疑問があったからこそ、多くの女性たちの生き方は改善してきた。今の社会では「どこか変」に響く主張をする人たちの声によく耳を傾けて、一緒になって「当たり前」を疑う。それにより、見えなかった苦しみ、気づかれなかった抑圧をなくしていけるようになるだろう。

本書の要点

・フェミニズムとは、社会の多くの人が「当たり前」に受け入れている規範の中に、女性に対する差別と抑圧があることを問題として、「男女平等」「女性の社会的地位の向上」「女性解放」を目指す思想や社会運動のことである。
・近代市民革命で、理性を持つ全ての人間は平等だとされたにも関わらず、「女性は理性的ではなく感情的だ」といった理由から、女性は「人間」から除外されて権利が制限された。フェミニズムはこの境遇に対する疑問から生まれた。
・参政権と経済活動への参加としての「公的領域」への参加を求めたのが第一波フェミニズム、家庭内での男女の役割固定など、「私的領域」の境遇改善を求めたのが第二波フェミニズムである。



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