当初は北千住すら通過

 国鉄・JRの「特別快速」は、ライバル路線に対抗するために設定されたものがほとんどでした。首都圏を走るJR中央線の特別快速は京王電鉄の特急に対抗するため、というようにです。

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 2005(平成17)年のつくばエクスプレス(TX)開業時も、JRは対抗のために最高130km/hのE531系電車を投入し、特別快速の運行を始めました。

 当時は上野~土浦間の設定で、このうち上野~取手間の停車駅は日暮里・松戸・柏だけ。10~15時に毎時1本設定されていました。2015(平成27)年に上野東京ラインが開業し、特別快速が品川発着になるまでは北千住すら通過する特別な快速でした。

 しかし、2022年から減便されています。下りは15時台と16時台、上りは9時台と10時台に2本ずつだけという大幅減便でした。近年、JR東日本は各駅の乗車機会を重視し、快速列車の普通列車化を進めていますが、特別快速もそのようになったわけです。

 では、残された特別快速はどのように利用されているでしょうか。土浦9時発の上り特別快速品川行きに乗車してみました。

 通勤ラッシュが一段落した時間帯です。土浦8時39分発の、品川行き特急「ひたち4号」を見ると、土浦から61人が乗車していました。

 土浦~上野・東京・品川間の特急料金(普通車指定席)は1020円、同区間の普通列車グリーン車の料金は1000円で同水準です。

 土浦→品川間の所要時間も、特急が69分、特別快速が75分と大差ありません。9時20分発の特急「ときわ60号」は63分、10時発の特別快速は73分でやや差があるものの、9時台の特別快速は20分後の特急から逃げ切る俊足を持ちます。停車駅が11駅も多いことを考えるなら、特別快速の名に恥じない走りっぷりです。

 筆者(安藤昌季:乗りものライター)は、5号車グリーン車の2階に乗車しました。自分を含めて6人が乗車しています。

 5分走って荒川沖駅。ホームでは50人以上が列車を待っており、グリーン車2階に3人が乗車しました。9時7分のひたち野うしくでも50人以上がホームにおり、グリーン車に2人乗車。9時11分の牛久は100人以上がホームにおり、グリーン車2階に6人が乗車しました。

北千住からもグリーン車利用が

 9時15分の龍ケ崎市はホームに100人程度がおり、グリーン車2階に5人が乗車。ちなみにこの駅から上野までは50kmを切り、グリーン料金が750円になります。9時19分の藤代はホームに80人以上がおり、グリーン車2階に3人が乗車しました。

 特別快速といいつつも、取手まで各駅に停車するのは、どの駅もまんべんなく需要を集めているからなのでしょう。藤代を出ると交流電化が直流電化に変わるため、いったん冷房が止まり、静かになりました。

 9時24分取手着。品川から50.0kmで、750円区間としては一番長い距離のためか、ここでもグリーン車周囲に4人ほどおり、2階にも1人乗車します。車内販売が来たのでコーヒーを購入します。取手から通過駅が出てきますが、大半の区間で100km/h程度、最高122km/hで、特別快速は130km/h運転はしていない様子でした。この列車以外の特別快速は所要時間が2分短いので、この列車だけわずかにゆっくりなのかもしれません。

 9時32分の柏でも、グリーン車2階に4人が乗ってきました。親子が空席を探しているそぶりでしたから、大半の席が埋まっているのでしょう。2階は満席です。上野まで25分、品川までだと43分、なかなか贅沢な使い方です。

 ここまでグリーン車の利用客は増える一方でしたが、9時48分の北千住で初めて3人が下車します。

乗降者数が多い駅ですが、特急は通過するので納得です。そんな中、なんと2人が乗車。品川まで乗っても27分ですが、東海道本線や横須賀線のグリーン車に乗り換えるのかもしれません。

 9時56分の上野では4分停車します。2階の乗客はあまり減りませんが、グリーン車付近からは12人の降車が見えました。入れ替わりで1人が乗車します。

 10時4分の東京でもグリーン車2階から降りたのは5人だけ。グリーン車全体からは30人ほど降りた感じでした。10時9分の新橋で2人下車。10時15分の品川まで2階グリーン席を乗り通したのは8人でした。

 全体として、乗車率は高いように見え、人気がないから廃止されたようには見えませんでした。特に常磐線は取手からは快速も運転されているため、特別快速が別途あっても全体の乗車機会は減らないと思いますが、恐らくは設定を増やすと特別快速が普通列車を追い抜くダイヤが増え、不満が出やすいのでしょう。

 土浦9時発の上り特別快速は途中で普通列車を追い抜きませんが、10時発の特別快速は追い抜きます。なお、夕方の下り特別快速も追い抜きをしないので、10時発だけがレアといえます。

 グリーン車については、特急が通過する駅から特急代わりのような利用をされている印象を受け、運行開始前に「需要があるのか」と心配されていた常磐線グリーン車が定着している印象を受けました。

【写真】特別快速「グリーン車」の車内を見る

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