蜂蜜は、ナタネの開花によりこれから国産蜜の採蜜シーズンを迎える。だが、今シーズンは未曽有のミツバチ不足により国産蜜の生産が危ぶまれている。
ミツバチ不足は通常、巣箱に発生するダニによるものが多いが、今年はミツバチが巣から突然消失する現象が国内の全国で発生している。ミツバチは農業分野でも果実、野菜などの花粉交配(ポリネーション)に不可欠な存在。だが、「農家から依頼があっても貸せない」(養蜂家)状況となっている。

 ミツバチが巣から姿を消す現象は、約20年前に蜂群崩壊症候群(CCD)として欧米や日本で報告されており、現在も原因の特定がされていない。藤井養蜂場、杉養蜂園など国内大手の養蜂グループはもちろん、中規模の養蜂家でも蜂群が半減していると日本養蜂協会に報告されており、「新たな蜂群を育成しても花によっては採蜜が間に合わない」(同)可能性がある。後継者不足や蜜源の減少等により国産蜜は絶対量が少なく高値となって久しいが、希少性がさらに増すことになりそうだ。

 国産蜜がミツバチ消失によってピンチの一方で、輸入蜜については業界が課題解決に動き始めている。課題の筆頭は廉売製品に関するものだ。輸入のテーブルハネーは近年、中国など原産地の工場で充填された最終製品が輸入され、国内のドラッグ、SM店頭で1㎏600円前後のプライスゾーンで販売されている。圧倒的な値ごろ感により現在は年間1万t以上輸入され、NBの存在を脅かすようになった。

 業界関係者が「原料価格、包材、為替、輸送、検査などのコストを積算するとありえない納価」(パッカー大手)と首を捻る中で、生じる解は苦い記憶だ。蜂蜜に異性化糖を混ぜ、純粋蜂蜜として販売する偽和問題は約20年前にもあり、一部のインポーターの不法行為により蜜業界全体の信頼性が傷つけられた。


 以後、全国はちみつ公正取引協議会、全日本はちみつ協同組合、日本はちみつ輸入商社協議会など業界団体が連携。日中蜂産品会議でも中国行政および関係者への取り締まり強化を要請してきた。他方、国内でも偽和製品を輸入販売する業者への警告や偽和物を判断する決定的な検査法の開発を関係各所とともに進めてきた。
 
 その結果、昨年新検査法「外来アミラーゼ検査法」により、100%の純粋蜂蜜として販売されている現地充填製品10数アイテムが偽和物との結果を得て、消費者庁へ景品表示法違反として、国税庁には関税法違反として情報提供している。関係行政は現在、確認作業を進めている模様だ。

 なお検査結果で偽和が指摘されている製品はすべて、業界団体に非加入の企業。行政指導により風評被害が生じる可能性も懸念される。商品選択の基準に安さが求められるのはもちろんだが、輸入企業のモラルと同時に、そうした製品を販売する小売業のモラルも問われることになりそうだ。悪貨が良貨を駆逐するのではなく、良貨が悪貨を駆逐しなくてはならない。

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