国賓訪米の手厚いもてなしに浮かれる岸田首相だが、内閣支持率はまた下落した。時事通信が5~8日に実施した世論調査で前月比1.4ポイント減の16.6%となり、政権発足以来最低を更新したのだ。

自民党の支持率も前月比2.4ポイント減の15.3%に沈んだ。


 ところが、である。こんな低すぎる支持率では普通はあり得ない「解散風」が、永田町にまた吹き始めている。6月の国会会期末解散、7月総選挙だ。理由は岸田首相の言動が読めないこと。「首相は何を考えているのかさっぱり分からない」が、与野党ともに最近の合言葉みたいになっている。


 窮地に追い込まれると誰も想定しないサプライズを繰り出すのが岸田首相の常套手段。最近では、裏金問題をめぐる派閥解散宣言も政治倫理審査会出席もそうだった。


 裏金議員39人の党内処分を決めた今月4日、自らの処分を見送った理由を問われた岸田首相が「最終的には国民の判断」と答えたことで、永田町はますます「解散風」に浮足立つ。


 自民党内は6月解散について「ある」「ない」の両論が半々で飛び交う。


「いま解散総選挙なんてやったら、自民党の議席減は昨年言われていたような最悪60程度では済まない。選挙なんてやれるわけないでしょう。

今月28日投開票の衆院補選も3戦全敗が濃厚です。そうなったら『岸田降ろし』が始まってもおかしくない。菅前首相ら非主流派は手ぐすね引いている。裏金問題で大量処分された安倍派も首相に恨み骨髄です」(中堅議員)



公明党は早期解散を絶対阻止

 だが、補選全敗が逆に「破れかぶれ解散」を誘発するとの説も根強い。


「岸田首相が総裁再選戦略を描いているなら、秋の総裁選で降ろされる前に解散総選挙に踏み切って勝負するしかない。勝敗ラインを『自公過半数維持』に低くすれば十分クリアできる」(ベテラン議員)


 野党も「信を問うのは当然だ」(立憲民主党・泉代表)などと早期解散機運に沸くが、そこには野党なりの事情がある。


「情勢調査の数字がすこぶる良く、政権交代並みだった。こちらとしては岸田首相のままで選挙をしたい。早期に解散してほしい」(立憲関係者)


 一方、早期解散を絶対阻止したいのは公明党。自民と一蓮托生で大幅議席減が避けられない。


「ここまで自民党が乱れてしまったら、国民の審判を受けるのが憲政の常道。早く解散して信を問うべきです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)


 破れかぶれ解散、大歓迎である。