「政権交代もあり得る」──。不穏な予測を立てたのは、自民党の岸田文雄前首相だ。
横に並んだ自民候補にすれば縁起でもない話だが、岸田氏は衆院で少数与党となっている現状にも触れ、「参院の過半数を確保した上で、野党とどう連携するのか。連立も考え直さなければならないのではないか」と言及。連立の枠組み拡大の必要性に踏み込んだ発言には「だから次はオレがやるしかない、と言いたげ」(官邸事情通)との見方がある。
先の都議選で岸田氏は積極的に自民候補の応援を引き受け、投開票2日前の20日には1日4カ所でマイクを握った。その様子を自身のXで発信していたが、応援した7候補の当落は3勝4敗と負け越し。今月は複数のメディアのインタビュー取材に応じ、以前よりも露出を増やしている。
最近は、周囲に昨年の総裁選に出馬した高市早苗前経済安保相や小林鷹之元経済安保相を評し、「高市やコバホークは右寄り過ぎだよな。昔はもうちょい普通だったはず」などと話していたという。明らかに「ポスト石破」を狙う2人を意識しており、うわさ通り「再登板」に向け、やる気マンマンにしか見えないのだ。
派閥の領袖として率いた宏池会はすでに解散したが、今でも所属した議員の結束は固い。
「頻繁に会って情報のやりとりをしています。参院選公約の『2万円給付』も、岸田さんや木原(誠二選対委員長)さんら宏池会メンバーが中心となり、嫌がる石破総理を説き伏せた。“目玉公約”を欲しがっていた参院の改選組に恩を売った格好です」(自民党関係者)
ただ、岸田氏の隠し切れない意欲に「都議選大敗でもハッキリしたが、今や『自民』の看板だけで強烈に批判される。裏金問題をうまく処理できないまま、政権を放り出し、この惨状をつくったのは岸田さんだ。『ふざけんな』と思っている人は多い」(別の自民党関係者)と不満も漏れる。
国民だって「増税メガネ再び」はご免だ。
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