「このままでは過去最低の36議席まで落ち込むこともあるか……」


 自民党関係者が肩を落とす。36というのは1989年の参院選での自民党獲得議席。

女性スキャンダルなどが原因で大惨敗した宇野内閣は、直後に退陣に追い込まれた。


 自民党に大逆風の今回の参院選(20日投開票)も似た光景になってきたが、最終盤のテコ入れもうまく機能していない。石破首相ら自民党執行部は、14日夜に党本部で選挙情勢の分析と重点区選びを行ったが、劣勢の選挙区が多すぎて混乱しているようだ。


「これほどの苦戦は、派閥を解体したことが裏目に出ている。選挙で仲間を応援することは派閥の重要な役割だった」(前出の自民党関係者)


■岸田前首相に恨み節


 裏金事件を受け、昨年1月、当時の岸田首相が唐突に「岸田派解散」を宣言。他派閥も次々解散に追い込まれ、現在残るのは麻生派だけだ。


「『一致結束、箱弁当』が派閥の代名詞。議員の教育機関でもあり、助け合い機関でもあった。選挙では『秘書軍団』を派遣するなどして、仲間の議員や当選後の取り込みを狙う新人を派閥丸抱えで支援してきた。その派閥がなくなったわけですから、選挙での戦闘力も活力も弱くなったということでしょう」(政治評論家・野上忠興氏)


 都議選大敗の原因に裏金問題があったと解説されたこともあり、麻生派は組織的な秘書派遣を抑えているという。


 旧岸田派も、6月中旬に開いた参院選向けの激励会で岸田が「昔の仲間を応援しよう」と檄を飛ばしたというが、公示後は秘書軍団を撤収し、目立たないようにしているという。


「派閥解散は岸田さんの政権維持のための保身だった。

結局、不記載問題の対応を含め、自民党が弱体化したのは岸田さんのせいじゃないか」(前出の自民党関係者)


 派閥なき自民党。打つ手なしだ。


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 参院選「1人区」では、自民の牙城が崩壊危機だ。関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。


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