【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】
社長の相次ぐ暴言とパワハラで社員が3割くらい辞めているらしいですよね、青森テレビ。困ったものですよね。
そして今、地方局の経営はどこもかなり良くありません。そこそこの大きさがある「地域の中核の局」、たとえば、札幌、仙台、名古屋、そして準キー局の大阪、岡山·香川、広島、福岡あたりではまだまだ新規ビジネスや番組開発でなんとか頑張っていますけど、それより小さな局ではかなり深刻な状況になっている場合も多いんです。もちろん、結構面白い地元密着の低予算の番組をやってて、いい味を出している放送局もあるんですけれど、なんだか「もう限界です」みたいな感じで、話す機会があっても愚痴しか出てこない…みたいなところもありますね。
■テレ朝系列「平成新局」と開局からの歴史も浅い
ちなみに結構歴史の浅い会社も多くて、僕がテレ朝に入社した1992年に総務部で最初にやった仕事は「開局したばかりだったり、これから開局する放送局の名前の商標登録をすること」でした。特にテレ朝系列は「平成新局」と呼ばれる新しい局が多いんです。青森朝日放送、秋田朝日放送、岩手朝日テレビ、北陸朝日放送、長野朝日放送、山口朝日放送、愛媛朝日テレビ、長崎文化放送、熊本朝日放送、大分朝日放送、琉球朝日放送…このあたりがだいたい僕と「同期か少し先輩後輩」くらいですね。
みんな規模が小さくて、中には地元の同業他社に「放送部」とかあだ名をつけられているようなところもあって、どこもなかなか経営的には大変です。でも、結構みんな工夫して面白い番組を制作してますよ。地元のニュースの密着取材を頑張って、いいドキュメンタリーを作っているところもあります。僕は、「自分が局名の商標登録のお手伝いをした」というのもあって、小さい地方局のこと結構好きなんですよね。
地方局の問題って、地方都市の問題にそのまま重なる気がするんですよね。いかに「独自色を出して振り切れるか」とか「金がなくてもゲリラ戦で自由度の高い戦いができているかどうか」とかが勝敗のカギだと思います。いろいろしがらみも多くて、大変だとは思うんですが、地方が元気にならないと日本は絶対元気にならない。
それにここのところ地方局関係者から「業績が少し好転している」という話もたまに耳に入るようになりました。だから「頑張ろうぜ同期たち!」と思います。パワハラジジイとかさっさと追い出して、地方にしか作れない面白い番組を作って、生き残ってほしい!と心から願ってます。
(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)
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