【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#290


 野々村友紀子さん


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 30年ぶりに会ったのは東京NSCの講師室でした。講師をしているという話は聞いていましたが、タイミングが合わずようやく再会しました。


 叱る時は大阪弁でまくしたてるというので「鬼の野々村らしいやん?」とふると「言う時は言わんとね。でも“鬼の本多”ほどじゃないですよ!」「昔はな。でもホンマに言わなあかん時は言ってやるのが愛情やと思うよ。スイッチ入れるのはくたびれるけどな。けど今は仏の本多やで」と大笑いしました。


 野々村さんは1992年NSC大阪の11期生で、同期だった中川家が「すごかった!」と話していた実力派。私の感覚ですが“売れる”と思う子は30秒以内、“残れる、頑張り次第で売れる”という子は1分以内にわかります。これは35年間、ほぼ間違っていたことはありません。彼女のコンビ「高僧・野々村」も独特の間合いがあって「間違いなく生き残れる」と感じました。


 何がどう違うのかと聞かれても、かもしだす雰囲気、感じるオーラが違うとしか言いようがありません。吉本の若手担当に「オモロい女の子のコンビがやっと来たで! 絶対いける!」と喜んで伝えるほど、私には確信がありました。


 野々村さんは今と変わらず、テンションは低め安定、目鼻立ちがハッキリして、目力が強く、微妙な目くばり、表情だけで感情を表すことに長けていました。

それでいて鋭いワードのツッコミを絶妙のタイミングで入れてくるから、ボディーブローがきいてくる。


 授業のネタ見せ後、生徒に感想を聞くのですが、最近の生徒は「〇〇の部分を反省しています」と免罪符のように「反省」という言葉を使います。しかし、野々村さんからは「反省」という後ろ向きの言葉を聞いた記憶がありません。常に「もっとこうしたいです」「次回までに考えてみたいと思います」とポジティブな言葉が返ってきました。感想を聞いても特に緊張や高ぶった様子もなく(そう見えただけかもしれませんが)淡々として、どこか冷めたような冷静沈着な雰囲気がかえって“大物感”に映りました。


 卒業後はコンビで活躍され、解散。彼女も12期の2丁拳銃の川谷修士君と結婚、子育てに入り、あの才能を眠らせておくのはもったいないとずっと思っていたら、バラエティー番組でご主人の相方・小堀君を罵倒する姿に「野々村復活!」とうれしくなりました。才能のある人はブランクがあってもその時代の空気感と出会いのタイミングが合えば必ず戻ってくるもの、時代が放っておかないのだと思います。


 ワイドショーのコメンテーターや講演活動など仕事の幅が広がったのも、子育ても一段落し、経験を積み重ねてきたからこそ。野々村さんは今こそが旬! 今後の活躍に注目したいと思います。


(本多正識/漫才作家)


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