【再発見 ちょうど10年前のテレビ】#6
現在、嵐のコンサートツアーが行われている。最終日の5月31日、東京ドームでの公演をもって、グループとしての活動を正式に終了する予定だ。
10年前の2016年5月、嵐というグループも個々のメンバーも元気だった。同じタイミングで連ドラの座長を務めたのが松本潤と大野智だ。
日曜劇場「99.9─刑事専門弁護士─」(TBS系)の主役は松本潤。飄々としていながら、とことん事件を追究する弁護士、深山大翔に扮した。どんなに逆転するのが難しそうな案件であっても、「事実が知りたいんです」と言って、まったくひるまない。同僚弁護士の榮倉奈々(お得な役柄)、パラリーガルのマギー(出てくるだけで和む)や片桐仁(怪演に拍手!)などの力を借りつつ真相に迫っていく。
さらに深山が所属する刑事専門ルームの室長・佐田を演じたのが香川照之だ。元検事で、かなりの野心家。超マイペースで暴走気味の深山にブレーキをかけたり、時には手柄を横取りしたりする。腹に一物も二物もあるこの男を、香川は緩急自在の芝居で造形していた。
やがて18年前の事件の再審請求にからんで、佐田の過去が浮かび上がってくる。宇田学のオリジナル脚本は、毎回しっかりした伏線とその回収が見事で、ドラマが進むにつれてますます冴えていく。松本と香川の演技勝負も見どころだった。
一方、大野智が可愛げのある“とっちゃん坊や”ぶりを発揮していたのが「世界一難しい恋」(日本テレビ系)だ。
大野は、ホテルチェーンの御曹司にして社長。仕事の上では冷酷な判断も平気なヤリ手だが、短気で、わがままで、ジコチューな子供っぽい性格が災いし、恋愛に関しては成就したことがない。そんな若社長が新入社員の波瑠に恋をした。ホテルの仕事に夢と意欲を持つ彼女。実は大野が最も好きな「正義感の塊で世話好きな学級委員みたいなタイプ」なのだ。波瑠は大野の気持ちに戸惑うが、その素顔に少しずつひかれていく。
このドラマのスパイスとなっているのが、大野に対する“恋愛指南”だ。指南役の一人が社長秘書の小池栄子。
そんなアドバイスに翻弄されながら、すねたり、ふてくされたりする大野がおかしい。波瑠との距離感や関係の微妙な変化も丁寧に描かれ、良質なラブコメになっていた。
この2本のドラマの放送から7年後、表面化したのが「ジャニー喜多川性加害問題」だ。松本たちは所属事務所の「解体・廃業」を目の当たりにした。そして今月末、ついに嵐も去っていく。
(碓井広義/メディア文化評論家)

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