【スージー鈴木のゼロからぜんぶ聴くビートルズ】#58
アルバム『パスト・マスターズvol.1』(1988年3月7日発売)⑦
◇ ◇ ◇
■『シーズ・ア・ウーマン』
「彼女は女」──当たり前やないか。しかし歌詞を見れば「彼女はええ女」という意味だった。
「♪ン・チャッ・ン・チャッ」と、漫画『Drスランプ』のアラレちゃんの口癖のように、後拍(2拍.4拍)で鳴り続けるギターが印象的な曲。
日本公演の記念すべき2曲目。アルバム『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』には、そのときの演奏が収録されている。おそらくは異様な雰囲気の中にもかかわらず、ポールがよく頑張っている。んちゃ!
■『アイ・コール・ユア・ネーム』
リードボーカルはジョン。『シーズ・ア・ウーマン』同様、「♪ン・チャッ・ンチャ・ンチャ」という、こちらもアラレちゃん的後拍がギターで強調されている曲。
間奏のところで「♪ンチャ・ンチャ」と、レゲエというかスカというか、いよいよアラレちゃん的リズムになるのが面白い。
まぁ、でも聴き応えを比べれば7対3で『シーズ・ア・ウーマン』の勝ちかな。んちゃ!
■『バッド・ボーイ』
これはいい曲。大好きな曲である。
アルバム『ヘルプ!』のラストを飾った『ディジー・ミス・リジー』と同じく、ラリー・ウィリアムズという人の作品で、かつ何と『ディジー』と同じ日に録音されている。
でも迫力では8対2で『バッド・ボーイ』の勝ち。何で『ヘルプ!』にこっちを選ばなかったのだろう。
この後「ロックンロール度」をどんどん下げていくジョン。なので、この曲は、ジョンによるロックンロールの総括にして到達点と言っていい。
■『マッチボックス』
リンゴがリードボーカル。何となくかっこいい語感のタイトルだが、意味は「マッチ箱」。そんまんまやん。
『みんないい娘』『ハニー・ドント』同様、アメリカのロカビリーシンガー、カール・パーキンスの作品。レコーディングには、カール本人が見学に来たというから楽しいではないか。
「お手並み拝見」という感じの見学だったかもしれないが、その後、お手並みを拝見された4人の若者たちが、腰が抜けるほど法外な印税をもたらしてくれるとは、思ってもみなかったことだろう。
▽スージー鈴木(音楽評論家) 1966年、大阪府東大阪市生まれ。昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広いジャンルの楽曲を、社会的な視点からも読み解く。主な著者に「中森明菜の音楽1982-1991」「大人のブルーハーツ」「日本ポップス史 1966‐2023」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」、最新刊「日本の新しい音楽1975~」は大好評。ラジオDJとしても活躍。

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