韓国の為替市場で1米ドルが1500ウォン前後で推移するという「危機の境界線」を突破する深刻なウォン安が続いている。市場関係者の間では、今回の事態は単なる一時的な外部要因ではなく、これまでの国策としての選択が裏目に出た結果であるとの見方が強い。
韓国経済を窮地に追い込んだ要因とされる10の失策を追う。

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 最大の要因として指摘されるのが、2024年12月の非常戒厳令布告に伴う政治的空白だ。この事態は韓国市場の統治能力に対する国際的な信頼を根底から揺るがし、外国人投資家の離散を加速させる決定打となった。金融政策においても、米国との金利差逆転を放置したことが資本流出を招いた。韓国銀行は国内の爆発的な家計債務への影響を恐れて機動的な利上げに踏み切れず、結果としてより高い利回りを求めるドルへの流出を食い止められなかった。

 不動産分野では、低金利時代に膨らんだプロジェクトファイナンス(PF)の管理失敗が露呈している。不良債権化した融資が建設業界の連鎖倒産リスクを抱え、通貨の信認を削る火種となっている。これに拍車をかけるのが、出生率0.7人を割り込む未曾有の少子高齢化への対策不足だ。将来の労働力不足と経済縮小への懸念は、長期的なウォン安圧力を生み出している。また、歴代政権が不動産バブルを容認してローン規制を緩和し続けた結果、対GDP比で世界最高水準に達した家計債務が、通貨防衛のための金利操作を不可能にしている。

 エネルギー政策の迷走も影を落とす。依然として高い輸入依存度が、原油価格が1バレル92ドルを超える局面で貿易収支を直撃している。
市場の構造的課題としては、不透明な経営が続く「コリア・ディスカウント」の解消に失敗したことや、最大の輸出先である中国が競争相手に変貌する中で輸出市場の転換が遅れたことが挙げられる。さらに、AIなどの先端技術への投資環境が整わず、国内資本が米国市場へ逃避する事態も深刻化している。こうした状況下で、選挙を意識したポピュリズム的な財政出動が繰り返され、国家債務の急増とインフレの助長という悪循環を招いた。

 韓国銀行は為替介入の準備を進めるが、原油高とドル高という強烈な外圧を前に、自力での解決は極めて困難な局面にある。1500ウォンという水準は1997年の通貨危機を彷彿とさせるパニックラインであり、韓国経済は今、最大の正念場を迎えている。
【編集:af】
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