フィリピン南部の静かな住宅街に、バイクの軽快なエンジン音とともに香ばしいパンの匂いが漂う。緑色の屋根を載せた三輪バイクは、地元で親しまれる伝統的なパン「パンデサル」を届ける移動販売車だ。
中でも、栄養価の高い植物「マロンガイ(日本名・モリンガ)」とチーズを練り込んだ「マロンガイ・パンデサル」が、健康志向の高まりを背景に人気を集めている。

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 販売員は毎朝、自らの手でパンを焼き上げ、住宅地をくまなく回る。価格は1個5ペソ(約13円)。手頃さと栄養価の高さから、10個単位でまとめ買いする客も多い。車体には特製のガスオーブンが備え付けられており、焼きたての温もりをそのまま届けられるのが最大の魅力だ。

 営業は約5時間。用意したパンが完売すれば売上は7,500ペソ(約2万円)に達する。ただし、原材料費やプロパンガス代、ガソリン代、車両のメンテナンス費などを差し引くと、純利益は約1,000ペソ(約2,600円)。それでもフィリピンの平均的な日給を上回る収入となる。

 この安定した収益は、早朝からの仕込みと地域密着の努力の積み重ねによるものだ。マロンガイ入りのパンは、スーパーフードとして知られる栄養価の高さに加え、庶民の味として親しまれている。焼きたての香りと健康を届ける緑のバイクは、今日も住宅街に小さな活気を運んでいる。

【編集:eula】
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