【その他の写真:イメージ】
フィリピンでは一般層にまで読書習慣が広く根付いているとは言い難く、日本のように街角に大型書店や独立系書店が点在する風景はほとんどない。出版物の流通量も限られ、平均的な所得水準からすれば書籍は決して安価な娯楽ではない。そのため、冷房の効いたモールでこうした大規模な割引セールが行われると、潜在的な読書需要が一気に表面化し、多くの客が集まる。平積みされているのは古い小説や児童書が中心だが、人々が本を手に取り、未知の物語や知識との出会いを楽しむ光景は万国共通の熱気を帯びている。
一方、かつて世界有数の出版大国として豊かな活字文化を誇った日本でも、深刻な「本離れ」が進行している。全国出版協会・出版科学研究所の調査によると、2025年の紙の出版物(書籍・雑誌)の推定販売金額は、半世紀ぶりに1兆円の大台を割り込んで9647億円(前年比4.1%減)となり、ピークだった1996年の2兆6563億円と比べると6割以上の減少となった。また、日本出版インフラセンターのデータでは、2025年度末の全国登録書店数が9993店とついに1万店の大台を割り込み(売り場を持つリアル店舗数としては7270店規模)、最盛期から1万4000店以上が消滅した。スマートフォン普及による電子媒体への移行も相まって、地方都市だけでなく首都圏でも「書店ゼロ自治体」が社会問題化している。
もともと書店インフラが乏しく、モールの催事として本に触れる機会を楽しむフィリピンの人々と、かつて生活圏の至る所にあった書店を次々と失いつつある日本人。背景や出発点は異なるものの、「日常の風景から紙の本が遠ざかっている」という点では奇妙な共通項が浮かび上がる。
【編集:Eula】








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