【その他の写真:エアアジア・フィリピン】
利用者が同社を敬遠する最大の要因は、目に見える機材の劣化である。同じフィリピン拠点のLCC最大手セブ・パシフィック航空が最新鋭機を一括購入し清潔感を維持しているのに対し、エアアジア・フィリピンに割り当てられるのは、グループ内で長年使い古された「お下がり」の従来型機(エアバスA320-200型機など)が中心だ。機内に足を踏み入れると、クッションが完全にへたり骨組みが身体に当たる座席、擦り切れて破れかけたシートカバー、黄ばみや傷が目立つプラスチック内装が日常的に目に入る。飛行安全に直結するエンジンやシステムは国際基準に沿って整備されているものの、乗客にとって「目に見えるボロさ」は「墜落への恐怖心」に直結する。搭乗時の精神的恐怖や不快感こそが顧客離れの主因となっている。
格安運賃維持には徹底したコスト削減が不可欠だが、同社の場合、そのしわ寄せが客室メンテナンスに露骨に現れている。安全運航に必要な重整備には費用を投じる一方、座席修繕や内装更新といった快適性関連の支出は後回しにされてきた。その結果「航空力学的には安全だが、客室はボロボロ」という極端な二面性が放置されている。さらに定時運航率の低さによる遅延常態化、有人窓口や電話対応の極端な削減も利用者の不満を増幅させる。遅延や欠航時のサポートはAIチャットボットが主流だが、「全く話が通じない」「手続きが進まない」と批判され、ブランド不信を決定的にしている。
サービス面の課題に加え、経営破綻懸念すら漂う財務問題が表面化している。中東情勢の緊迫化による燃料価格高騰がLCC経営を直撃し、同社は2026年6月1日から9月30日まで成田―マニラ便の全便を運休せざるを得なかった。急激なコスト増への対応だが、問題はそれだけにとどまらない。フィリピン民間航空局(CAAP)への空港使用料や管制料などの滞納が累積し、未払い額は約2億7194万ペソ(約7億2000万円)に達している。事態を重く見た当局は、未払いが解消されなければCAAP管轄の国内44空港へのアクセス禁止や運航停止措置を講じると警告した。
支払い期限は2026年6月6日に設定され、交渉による和解が模索されているものの、週明け以降の運航に重大な影響が出る可能性は否定できない。「国への支払いすら滞っている」という異常事態の露呈は、利用者に「整備費まで削っているのでは」との疑念を抱かせる。安全基準を満たしているとしても、安心感を提供できず運航停止リスクまで伴う現状では、数千ペソの差額を払ってでも信頼性の高いフィリピン航空やセブ・パシフィック航空を選ぶ消費者の判断は極めて妥当だ。安さの裏に潜む歪みを放置してきたエアアジア・フィリピンは、いまや市場だけでなく国家当局からも退場を迫られる瀬戸際に立たされている。
【編集:af】








![[音声DL版]TRY! 日本語能力試験 N3 改訂版](https://m.media-amazon.com/images/I/41mXWATUVjL._SL500_.jpg)
![【Amazon.co.jp限定】ダリオ・アルジェント PANICO (ビジュアルシート2枚セット付) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/41fRCrYhFTL._SL500_.jpg)

![BELIEVE 日本バスケを諦めなかった男たち 豪華版 [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Daz1hpRML._SL500_.jpg)