HOMINISオリジナル企画「花澤香菜をつくる6つのピース」。2つ目のテーマは「歌・アーティスト活動」。

キャラクターソングをきっかけに歌う楽しさを知り、2012年にアーティストデビューしてから、自分自身の声で音楽を届け続けてきた花澤香菜。最初は声優としての活動の延長線上にあった歌は、レコーディングやライブを重ねる中で、花澤にとって欠かせない表現の場になっていった。

レコーディングで感じるものづくりの面白さ、ライブでファンに思いを直接届けられる喜び、そしてアーティスト活動を通して見えてきた自分自身のこと。花澤にとって歌は、今では声優業と並んで欠かせない表現のひとつになっている。その歩みと、歌うことの魅力について語ってもらった。

花澤香菜、歌うことは「なくてはならないもの」 声優業にも通ずるアーティスト活動の現在地【花澤香菜をつくる6つのピース】

――2つ目のテーマは「歌・アーティスト活動」です。2012年からアーティスト活動をスタートされていますが、花澤さんにとって歌うことの魅力はどんなところにあるのでしょうか?

「もともと歌うこと自体はすごく好きだったんです。でも、自分では歌が上手いとは全然思っていなくて。だから、声優の仕事を始めてから、こんなに歌う機会があるんだってまず驚きました。私が入った頃って、ちょうどキャラクターソングがすごく盛んな時期で、いろんな作品にキャラソンがあったんですよ。ドラマCDにも付いていたりして、本当に週1でレコーディングしているような感覚でした。歌手活動をしていなかった頃から、その中でやっぱり歌うのは楽しいなと思っていましたし、もしずっと続けられるなら、いつか歌手活動もやってみたいなという気持ちはありました」

――実際にアーティスト活動を始めた頃は、どんな感覚で向き合っていたのでしょうか?

「最初は声優としての活動の延長線上にあるもの、という感覚が強かったです。

自分の声を生かした楽曲を作っていく、というのが一つのテーマでもあったので、最初は声優としての表現の1つだと思っていました。でも、やっていくうちに、これはこれでまったく別の楽しさがあるなと感じるようになっていきました。レコーディングも、サウンドプロデューサーの北川(勝利)さんと一緒にどういう歌にしていくかを、自分の意思も入れながら作っていけるのが面白いですし、曲を作っている方たちって本当に個性的で面白いんですよ。レコーディングの場で、表現についてすごく面白いことを言われたり、いろんなことを試させてもらったりして、創作ってこうやって進んでいくんだなと体感できた時に、すごく面白いなと思いました」

花澤香菜、歌うことは「なくてはならないもの」 声優業にも通ずるアーティスト活動の現在地【花澤香菜をつくる6つのピース】

――初めてのライブは覚えていますか?

「最初は、本当に味方しかいないはずなのに、なんでこんなに緊張するんだろうっていうぐらい震えていました(笑)。自分に自信もなかったですし、キャラクターを背負わずに舞台に立つ経験がそれまでほとんどなかったので、何をしゃべったらいいんだろうとか、初めてのことだらけで、とにかく緊張していました。でも、ライブってやっぱり生ものなんですよね。毎回違いますし、ありがたいことにバンドメンバーの皆さんと一緒にやらせてもらっているので、その場で一緒に波を作っていける感じがすごく楽しいんです。ファンの皆さんに、今の自分が考えていることや感謝を直接伝えられるのもライブの場なので、今では声優のお仕事と同じくらい、なくてはならないものになっています」

――声優は役を通して表現するお仕事ですが、アーティスト活動は花澤さん自身の言葉や感情で立つ場でもありますよね。両方をやってきたからこそ、互いに影響し合っている部分もあるのでしょうか?

「あります。レコーディングの時に、細かくディレクションをいただくことがあるんですけど、それを一度言われると、次もわりと再現できるんですよね。北川さんには、それがちょっと特殊能力みたいに言われたことがあって(笑)。でも、それってたぶん声優の仕事でも同じなんです。

アフレコ現場でも、一度こうと言われたことはちゃんとロックして、そこから流れを作っていくので。そういうところに、声優として積み重ねてきたものが出ているのかなと思います。あと、周りの人の芝居を聞くことが大事なのと同じように、周りの楽器の音をちゃんと聞くこともすごく大事なんだなとわかりました。独りよがりに歌ってしまうと、全然良くないんです。レコーディングで後から聴くと、それがすごくわかったりして。何回か歌ってみる中で、音楽に身を委ねて、感覚で歌っていたほうがいいことのほうが多いんだな、と感じることもあります。そこは不思議だけど、すごく面白いですね」

花澤香菜、歌うことは「なくてはならないもの」 声優業にも通ずるアーティスト活動の現在地【花澤香菜をつくる6つのピース】

――たしかに今のお話を聞いていると通じる部分もたくさんあるんでしょうね

「あると思います。ただ、歌手の方によって捉え方は全然違うと思うんですけど、私の場合は、ものすごく歌い上げるタイプでもないですし、ずっと強い感情を前に出して歌う感じでもないので、そういう意味では、自分のアーティスト活動のあり方が声優の仕事と近いところにあるのかなとは思います。逆に、アーティスト活動が声優の仕事に返ってきているなと思うのは、やっぱり度胸がつくことですね。いろんな舞台に立たせてもらえるので。歌って、本当に繊細なんですよ。場所が違う、お客さんが違う、ちょっとした条件が違うだけで、こんなに緊張の仕方が変わるんだって毎回感じます」

――自分と向き合う、という意味では、作詞も大きいですよね

「そうですね。

そういう中で、自分と向き合う時間が圧倒的に増えました。普段だったらあまり深く考えないような感覚までちゃんと見にいく、ということが増えたんです。すごく楽しい時も、すごく落ち込んでいる時も、その感覚を覚えておくというか。アーティスト活動ではそれを歌詞にできたり、歌う時の表現にできたりしますし、声優の仕事では、それがいろんなキャラクターにフィットする助けにもなっている気がします」

花澤香菜、歌うことは「なくてはならないもの」 声優業にも通ずるアーティスト活動の現在地【花澤香菜をつくる6つのピース】

――作詞はもともと、ご自身でもやってみたい気持ちがあったんですか?

「文学部出身ということもあって、書くこと自体はずっと身近ではありました。最初にどういう流れでやることになったのかははっきり覚えていないんですけど、たしかアルバムの中に1曲ぐらい花澤さんが書いた詞があってもいいんじゃないかと提案していただいたのがきっかけだったと思います。それで実際に書くようになって、すごく大きかったのが、岩里祐穂さんに見ていただいたことでした。何曲か自分で歌詞を書くことになった時に、食事をしながらいろいろお話をして、自分のことを伝えて一緒に見つけていただいて。途中まで書いたものを見せて、またアドバイスをいただいて、というやりとりをさせてもらったのが、とても大きかったです」

――ちなみに、作詞はこれからまたやってみたいという気持ちもありますか?

「実は今ちょうど書いているんです(笑)。これから発表できると思うので楽しみにしていてほしいです」

――それは楽しみです! では最後に、これから音楽的に挑戦してみたいことがあれば教えてください

「まだまだあります。まず、アコースティックライブはもっと突き詰めていきたいですね。これまでも何度かやらせてもらっているんですけど、そのたびに手応えが違うんです。こういうふうにも歌えるんだと気づくことが毎回あって。

最近だとBillboard Liveでかなりアコースティック寄りの構成でやったんですけど、その経験を経て、次はもっとエモーショナルな曲も入れてみようかとか、掘り下げていける感じがしていて。そこはもっとやっていきたいなと思っています。あとは、オーケストラコンサートもやってみたいです。以前、BS-TBSの番組で一度そういう形で歌わせてもらったことがあったんですけど、それがすごく楽しくて。もちろん、人もたくさん必要ですし、簡単ではないこともわかっているんですけど、いつか機会があれば挑戦してみたいなと思っています」

取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI

オフィシャルサイト「hanazawa-kana.com」

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