スクウェア・エニックスが2007年7月にリリースした『すばらしきこのせかい』は、ニンテンドーDSの特徴を活かしたゲーム性に加え、野村哲也氏が描くキャラクターデザインや高く評価された音楽面などの魅力も相まって、非常に満足度の高い一作として知られました。

その一方で、『すばらしきこのせかい』(通称『すばせか』)の魅力は口コミで広まった面もあり、本作の評判は少しずつ高まっていったため、後から気になったユーザーが「新品がもう売っていない」「中古の在庫もなかなか見つからない」といった事態に直面することも。
後にiOS/Android版がリリースされてようやく手軽に遊べるようになりましたが、遊ぶタイミングを逃してしまった方もいることでしょう。

そんな方々にとって、2018年9月27日に発売されるニンテンドースイッチソフト『すばらしきこのせかい -Final Remix-』は、改めて本作を楽しむ絶好の機会。本作のタイトルには、『-Final Remix-』の一文が追加されており、その名に相応しい新要素も数多く盛り込まれています。

まず目を惹くのが、魅力的な登場人物やその世界観を視覚的に表現するグラフィック。本作では、キャラクターや背景などを一新し、より美しい描写でユーザーの没入感を促します。タッチ操作だけでなく、大画面で楽しめるJoy-Con操作にも対応しており、新たなストーリーなどの新要素も搭載。
未プレイの方だけでなく、当時遊んだユーザーにとっても気になる一作です。

『すばらしきこのせかい -Final Remix-』の発売まで残り一ヶ月を切り、発売日が着実に迫っていますが、徹底したタッチ操作中心のプレイ感覚がスイッチ版でどのように変化したのか、新たな要素などにも着目したプレイレポートをお届けします。2画面だったDS版とはどのような違いがあるのか、本記事でチェックしてみてください。

◆渋谷を舞台に展開する、7日間の“生き残りゲーム”! まずはストーリーをご紹介

『すばらしきこのせかい -Final Remix-』の舞台はシブヤ。109ならぬ104がそびえ立つなど、実際の世界とは若干の違いもありますが、モヤイ像やハチ公の像もあり、多くの人が行き交う巨大な交差点も存在。人で溢れかえる雑踏も、現実の渋谷を彷彿とさせます。


しかし、現実と大きく異なるのは、この街を訪れた主人公「ネク」が“死神のゲーム”に巻き込まれてしまったという点です。ネクは突然、周りの人間の思考が頭の中に流れ込んでくるという現象に襲われますが、異変はそれだけではありません。ミッションをクリアしないと“消滅”するという怪しいメールが届くと共に、手のひらには制限時間を示すカウントダウンの数字が。こうして、恐るべきゲームに強制参加させられてしまいます。

置かれた状況は謎めいたまま、周囲の人間には見えない敵=“ノイズ”から攻撃を受けるネク。戦いから逃げ出すものの、事態は好転しません。
それどころか、このノイズが人々を消し去る現場を目撃してしまい、“死神のゲーム”が嘘や冗談ではないことを思い知らされます。

そんなネクの現状を打破してくれたのは、同じく“死神のゲーム”に参加させられた「シキ」。彼女は、7日間に渡って行われるこのゲームを生き残るため、ネクと契約し、共に戦おうと提案します。このシキとの契約により、ノイズと戦う手段を手に入れるネク。しかしネクは、シキに対して頑なな態度を見せ、歯車の噛み合わない関係のまま物語が進みます。

ネタバレになってしまうため、物語の詳細については伏せますが、その後もぎこちないながらネクとシキは二人三脚で試練へと挑みます。
そんな二人の前に姿を見せたのは、“死神”を名乗る女性。つかみ所がない彼女の言動からは真意が読み取れませんが、意外にも“死神のゲーム”から開放するチャンスを提案します。ですがその提案は、ネクとシキの関係を物理的にも精神的にも引き裂く、非常に惨い内容でした。

果たして死神は、ネクにどのような難問を突きつけたのか。そしてネクは、如何なる答えを出すのか。物語が急転を迎えたところで、ひとつ目のチャプターが終了。
この段階でもまだ序盤に過ぎず、この後も更に濃密な物語が紡がれていきます。ネクの決断やこの先が気になる方は、実際にゲームをプレイして確かめてください。

ですが、『すばらしきこのせかい -Final Remix-』の魅力は物語だけではありません。続いては、本作のもうひとつの柱と言える「バトル」や、2種類から選択できる「操作方法」などについて迫ります。

DS版との大きな違いは? 気になる新要素についてもチェック

◆DS版とは大きく異なるバトル! 2人同時の「おすそわけプレイ」にも対応

本作の操作には、2種類の方法が用意されています。ひとつは、携帯モードの時に選択できる「タッチ操作」。
もうひとつは、TVモードやテーブルモード時に行える「Joy-Con操作」です。

「タッチ操作」は、指一本でキャラの操作や技の発動などを全てこなすことができます。DS版は、十字キーなども併用したものの、攻撃などはタッチ操作がメインだったので、オリジナルに近い操作方法とも言えるでしょう。

タッチ操作では、ネクをドラッグ(=タッチし続けて移動させる)することで、ネク自身を移動させることが可能。これは、フィールドだけでなく、バトル中も同様です。また、攻撃手段である「サイキック」は、その内容に応じて様々なコマンドで発動可能。例えば、炎を生み出す「パイロキネシス」は、空間をドラッグすることで発動し、ノイズを焼き尽くします。

サイキックはそれぞれ、対応しているバッジを身に付けることで使用できます。また各サイキックはエネルギーが切れるとクールタイムが発生し、そのバトル中は一定時間使えなくなります。クールタイムが終われば再び使えるようになるので、その間回避に徹したり、別のサイキックで応戦するなどの戦略で臨みましょう。

もうひとつの「Joy-Con操作」は、傾けると画面上で動くポインターを目印に、攻撃の照準や移動先などの指定を行うモードです。Rボタン(もしくはLボタン)を押しっぱなしにしてポインタを動かすと、その位置にネクが移動。何も押さずに動かすとポインターだけが移動するので、ボタンを組み合わせることでドラッグやタップを行い、任意の位置にサイキックを繰り出します。

さらに、Xボタンを押すとスキャンを実行し、周囲の人間の思考を読み取ることが可能。本作では、情報収集するのにいちいち話しかける必要はなく、スキャンして一方的に読み取ることができます。

それぞれで説明した操作は、もちろんもうひとつの操作でも実行可能です。タッチ操作の場合は、戦闘は基本的に全てタッチだけで可能。メニュー画面などの呼びだしなども、対応するアイコンが画面内にあるので、そこを押すだけです。Joy-Con操作は、ポインターとボタンの組み合わせでバトルを行います。また、ボタンが機能に直結しており、例えばメニュー画面を終わらせる時に、いちいちBACKアイコンにカーソルを合わせずとも、Bボタンでダイレクトに終了させることができます。

このように、タッチ操作とJoy-Con操作にはそれぞれの特徴があり、プレイするモードに合わせて用意されています。どちらがよりしっくり来るかはプレイヤーとの相性になるので、実際に触ってみて確認するのがオススメです。

また、オリジナル曲の高音質化やアレンジ曲、そして新曲の追加により、バトルや物語が音楽面から更に盛り上がること間違いなし。収録曲は、スマホ版よりも増えて全92曲。オリジナル曲とアレンジ曲の切り替え可能なので、懐かしい雰囲気で楽しむもよし、新たな刺激に浸かるもまたよしです。

そして、操作方法についてもうひとつ押さえておきたいのが、ネクと共に戦うパートナーについてです。パートナーを連れていると、画面上にパートナー専用のバッジが表示され、戦闘をサポートしてくれます。例えばシキの場合は、敵をタップすることでバトル画面にシキが登場し、ノイズに攻撃を繰り出します。

ちなみにDS版のバトルは、上下2画面を駆使し、それぞれの画面でシキとパートナーが戦闘を行うというものでした。プレイヤーひとりで2つの画面をチェックし、それぞれを操作する戦闘は、慣れれば非常に刺激的で楽しめます。ですが、慣れる前はなかなか厳しく、手こずる方も少なくありませんでした。

そんなDS版とは大きく変わり、スマホ版と同様にバトルはひとつの画面に集約。そのため、バトルの感覚は少々変わりましたが、分かりやすさは本作の方が断然上です。また、ネクとパートナーの攻撃が噛み合うとコンボとなり、より大きなダメージを与えられるので、操作を極める楽しさは健在です。

さらに、本作ならではの見逃せない点は、「おすそわけプレイ」による2人同時プレイが可能なこと。フィールド時やADV形式の会話画面ではひとり分の操作しか受け付けませんが、バトル中は2人で遊ぶことが可能。ひとりはネクを、もうひとりはパートナーを操作してノイズに立ち向かいます。

おすそわけプレイ中のパートナーは体力などがなく、いわゆる無敵状態。パートナーでノイズを足止めしつつ、ネクが大技を繰り出す・・・というコンビネーションも、おすそわけプレイならではかもしれません。

ちなみに、おすそわけプレイといっても、必ずしも2人でプレイする必要はありません。右手と左手にそれぞれJoy-Conを持ち、左右でそれぞれのキャラを操作することもできます。とはいえ、このスタイルでプレイするのは、慣れ以上に脳の柔軟さが求められそうです。もちろん、習熟すればかなり有用な戦い方だと思いますし、何よりスイッチ版ならではの遊びとも言えるので、自信がある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

◆新要素もたっぷり収録! 新ストーリー「A NEW DAY」は、本編終了後を描く“ハードモード”な物語!?

新バッジなどの嬉しい追加もありますが、やはり気になるのは、『-Final Remix-』ならではの新規シナリオ。「A NEW DAY」と名付けられたこの新たな物語は、本編が終了した後のネク達を描きます。

「A NEW DAY」では、“死神のゲーム”が再び展開。しかも今回は、“ハードモード”と銘打たれており、出現するノイズもひと味違う強さを備えています。そのため、「A NEW DAY」のプレイは本編クリア後がオススメ。シナリオの解放条件を満たすことが出来るタイミングも「本編の終盤」とのことなので、本編を進めつつしっかりと育成をしてから、「A NEW DAY」に挑むのが良さそうです。

主人公は、本編に引き続きネクが担当。そして、ビイトとパートナーを組む形に。また、「A NEW DAY」開始直後に“かわいすぎる死神”を名乗る「ココ」が登場し、2人に同行します。“ハードモード”な死神ゲームの幕開け、ネクの脳裏を過ぎる謎の映像、その映像に表れる少女、姿が見えないシキとライム……不可解な状況に直面するネクたちが、ここから如何なる物語を辿っていくのか。「A NEW DAY」も、プレイヤーを引き込む展開で幕を開け、その先の物語への期待感が高まる作りになっています。実際にどのようなストーリーに発展するのかは、直接プレイして確かめてみましょう!

より洗練されたグラフィックと豊かな音楽、更に数多くの新要素で彩られた『すばらしきこのせかい -Final Remix-』。本作で初めて『すばせか』に触れる方だけでなく、当時遊んだ方にとっても見逃せない一作となりそうです。興味が湧いた方は、発売日に向けて公開される新情報などをしっかりチェックし、リリースに備えましょう。