荒木飛呂彦先生の大人気マンガを原作とした格闘ゲームとして、今でも熱狂的な人気を誇る『ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産』。プロゲーマー・どぐらさんのYouTubeチャンネルにて、当時の開発スタッフが同作の“裏話”を明かし、大きな話題を呼んでいます。


格ゲー史に名を残した「ペット・ショップ」の誕生秘話
そのやりとりが見られるのは、5月18日に投稿された「【クソキャラ列伝番外編】ペットショップ編を見た "元開発" の尾畑さんが語るジョジョ3部ゲー制作秘話!」という動画。「株式会社バイキング」代表取締役であり、当時の開発スタッフでもある尾畑心一朗さんが、どぐらさんと対談を行いました。

そこで何より盛り上がったのが、『未来への遺産』に登場するキャラクター「ペット・ショップ」についての話題。格闘ゲーム好きの間ではもはや常識ですが、ペット・ショップは“ぶっ壊れ”と言われるほどの強キャラとしてお馴染み。動画の中では、なぜそうした性能に至ったのか、詳しい経緯が説明されています。

尾畑さん曰く、元々ペット・ショップはアーケード版ではなく、家庭で遊ぶPS版のために作っていたキャラクターだったため、操作感を重視していたそう。対戦ゲームとしてのバランスには、そこまでこだわっていませんでした。

ただ、続編の『ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産』を出す際にとある問題が生じることに。なんと他のキャラクターが強すぎるため、PS版のペット・ショップでは太刀打ちできない状態だったようです。

そこで格闘ゲームの一員としてバランスをとるために、さまざまな調整が加わったのですが、「やれることをガンガンやった」結果、強すぎるキャラクターが爆誕。尾畑さんは「一言でいうと、やりすぎたんです」と振り返り、どぐらさんの爆笑を誘っていました。

ひしひしと伝わってくる原作愛
動画内では、他にもさまざまな裏話が語られていますが、注目すべきは“凄み”すら感じる原作愛です。
たとえば、屋外の対戦ステージに昼ver.と夜ver.が用意されていたのは、吸血鬼が日光に弱く、日中は屋外で戦えないという原作の設定を再現するためだったそう。

途中から開発に参加した尾畑さんは、周囲のこだわりに触れ、「そこまでするの!?」と驚いたそうですが、スタッフ間では「それが当然」という雰囲気だったといいます。

その一方で、開発スタッフは同作を格闘ゲームとして成立させることも忘れてはいませんでした。原作には「スタンドはスタンドでしか倒せない」という設定が存在しますが、格闘ゲームとしての遊びやすさを優先し、スタンドにも本体の攻撃が当たるようにしたとのこと。

今になって明かされた開発秘話の数々に、同作のファンたちも感銘を受けたよう。ネット上では、「ペットショップが何故あんなに強かったのか、理由がわかってスッキリした」「当時の製作陣に話聞けるとか、これジョジョファンにとって最高の動画でしょ」「一流の原作ゲーム化がどうやって成されたか、制作陣のこだわりに触れて感動した」と大きな反響が上がっています。

原作をリスペクトした上で、後世に残るほどの名作ゲームを生んだスタッフたち。その誇り高き精神は、やはり「ジョジョの奇妙な冒険」から学んだものなのでしょうか…。
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