HoYoverseの代表作である『崩壊シリーズ』『原神』に続く新たなタイトルとして期待され、2024年7月4日にサービスを開始すると、先行して大ヒットしていた2作品に負けず劣らず人気を集めています。
文明を飲み込む空間「ホロウ」が存在する近未来都市・新エリー都を舞台に、主人公である兄妹のアキラとリン、そして個性的なエージェントたちを操作し、さまざまな事件や事故、トラブルを解決していくのがゲームの根幹です。
先日、新キャラのシーシィアと合わせてアウトロ・ストーリーが公開されたことで、2025年6月から始まっていたシーズン2が終了しました。シーズン3がどのような内容になるのか、多くのファンが注目しています。
『ゼンゼロ』では、街などのフィールドでプレイヤーが歩いて探索する形でゲームが進行します。途中、キャラ同士の会話がノベル形式で表現され、メインストーリーやサブクエスト、サブストーリーが展開され、各話や各章ごとにタイトルが付けられています。
キャラクター同士の会話、各章のタイトル、探索中に見つかるさまざまなギミックの中には、ゲームやマンガ、アニメ、映画が好きな人あれば「おっ!?」と思えるネタが混じっています。これは多くのインタビューで語られているように、HoYoverseのクリエイターや運営スタッフが日本のアニメ・ゲーム・マンガを愛好しているためです。
本作にはどのようなオマージュやパロディが小ネタとして差し込まれているのか。今回はゲーム内ではなく、公式サイトやYouTubeチャンネルを中心に有名かつわかりやすいネタを紹介します。ぜひお楽しみください。
この記事は小ネタの解説が主な内容です。ゼンゼロの内容や関係作品の内容に深く関わる記述がありますので、あらかじめご了承の上、お読みください。
アストラ・ヤオ:キャラクター造形やプレイ内容も含めたオマージュ
さっそく、ゼンゼロのキャラクター造形、プレイスタイル、担当声優を見てみましょう。すでにこの時点で一つ「仕掛け」があります。
メインストーリー第1部第5章から本格的に登場するアストラ・ヤオは、新エリー都で大人気の女性歌手・女優として活躍しています。歌手・女優としてはクールな一面を見せていますが、プレイヤーの前では生来の明るさや奔放さを発揮し、周囲のスタッフを困らせています。
彼女の歌声には独特の周波数が宿っており、特注のステージマイクを使うことで敵にダメージを与えたり、味方に大きなバフを与えたりする描写があります。プレイアブルキャラクターとしてはサポート役として立ち回ることが多く、終結スキル(いわゆる大技・必殺技)「幻想のソナタ」は歌声でエネルギー波を起こし、敵にダメージを与えつつ味方のHPを回復する、サポート役ならではの大技です。
作品世界随一の歌姫で、クールな一面を見せつつ明るさと無邪気さで周囲を引っ張るキャラクター。劇中では攻撃役の後ろから一歩引いて歌声でサポートします。しかも声を演じるのは遠藤綾さん。まさに『マクロスF』のシェリル・ノームをオマージュしたキャラクターだといえます。
アストラ・ヤオの登場後に公開されたキャラクターMV「楽園夢遊記(Rearrange ver.)」を歌ったのは、シェリル・ノームの歌唱役として人気を集めたMay'nさん。オマージュをそっと入れるのではなく、世界観に合わせたキャラクター造形やプレイスタイルまでしっかりと構築した点は見事。
シーシィア:「容疑者X」からオマージュ 新エージェントの”らしさ”を表現
次に、公式YouTubeから小ネタを紹介します。
最新キャラクターであるシーシィア。彼女は新エリー都の警察組織「新エリー都治安局」の都市秩序部に所属し、治安維持を目的に活動するチームの一員です。
金髪のロングヘアーにサイドポニー、一人称は「あーし」、濃いめのメイクとネイルを施した、いわゆる直球のギャルキャラです。シーシィア以前にも「新エリー都治安局」のキャラクターが登場していましたが、同じ組織とは思えないほどの雰囲気の違いが劇中でも指摘されています。
メインキャラクターであるアキラとリンには尊大な態度を見せがちですが、上司や一部のキャラクターの前では異様に臆する姿が描かれています。
彼女のエキシビションムービーのタイトルは「容疑者Xの失策」です。この動画では、容疑者Xことシーシィアが、治安局のお菓子を食べあさり、深夜に襲ってきた盗人を黙って撃退した姿が描かれ、上司である朱鳶からお咎めを受けます。
この動画タイトルは、東野圭吾による小説『容疑者Xの献身』から取られているようにみえます。元ネタの小説では、ある人物を事件から庇ったことを「献身」と表現していますが、ここでは治安局に入り込んだ盗人を撃退する「献身」はみせつつ、実際にはお菓子をこっそり食べていたという「失策」もみせています。
そんな彼女の報われなさが、コミカルな笑いを誘います。
「11号」&アンビー:『エヴァ』を巧みに引っ掛けるセンス
YouTubeチャンネルからもう一つ紹介します。オボルス小隊に所属する「11号」のキャラクターエピソード「『残酷な』防衛軍のテーゼ」、そして邪兎屋のメンバー・アンビーの別の顔ともいえる「0号・アンビー」のキャラクターエピソード「死と新生」。これらはいずれもアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』からのオマージュと考えられます。
新エリー都防衛軍の小隊の一つであるオボルス小隊に所属する「11号」は、軍に強い忠誠を誓っています。金属製のナタを振り回し、火炎を伴いながら敵を次々となぎ倒します。また、彼女の名前はコードネームとして秘匿されており、普段は「11号」と呼ばれています。
アンビーは、新エリー都で裏稼業を営む邪兎屋のメンバーであり、ゲームを開始してすぐにプレイヤーが扱えるエージェントの一人です。ゲームアイコンにも使われているため、今作の「顔役」ともいえるキャラクターです。
そんな2人ですが、両者ともに感情表現が希薄で口調も淡々としており、ゲーム開始時に両者のビジュアルが公開された際、見た目の類似性が話題になりました。さらに、アンビーと「11号」を編成してプレイすると固有の掛け合いが確認できたことから、多くのファンの間で「何か関係性があるのではないか」と噂されるようになりました。
第2章で、2人の関係性が明らかになります。じつは、2人は同じ素体を基に製造されたクローン兵士で、同じ小隊で共闘していた間柄です。
『エヴァ』ネタの動画タイトルから考えてみると、同作品の主要人物・綾波レイが2人にすこし重なって見えてきます。髪の毛の色が薄めで、感情表現が普通の人よりも希薄という点が、綾波とアンビー&「11号」の共通項として挙げられます。また、綾波レイはクローン人間であり、死んでも別の「綾波レイ」が登場することで有名です。明確にオマージュだとは言い切れないものの、改めて考えると類似点は多いです。
重要なのは、クローンであることをオマージュにした点ではなく、彼女ら2人が関わる動画に『エヴァ』のタイトルを引っかけてきたセンスです。あまりに鋭く、思わず唸ってしまう巧みさ。「言われてみると……」と感じて、今回のように解釈を広げるキッカケを与えてくれます。
まだ公式サイトとYouTubeチャンネルからのみなのに、面白いネタがこうも見つかるのが『ゼンゼロ』。次の記事では、ゲーム世界のなかからさまざまなネタを見つけてみたいと思います。


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