台湾旅行の楽しみといえば、やはり食べ歩きです。夜市定番の小籠包や魯肉飯、牛肉麺はもちろんですが、それらと並んで欠かせないのが台湾ビールです。
そのなかでも今回とくにおすすめしたいのが「18日ビール」です。
賞味期限わずか18日のビール
台湾のコンビニやレストランの冷蔵ケースをのぞくと、「ONLY 18 DAYS」の文字だけが書かれた緑色のボトルが目に入ることがあります。これが台湾煙酒公司(TTL)が製造する「18天台灣生啤酒(18日ビール)」です。製造からたった18日間しか賞味期限が設定されていないという、世界的にも異例のコンセプトを持つビールです。
100年以上の歴史を持つ「台湾ビール」というブランドと18日ビールの誕生
台湾ビールの起源は日本統治時代にあります。1919年、日本芳醸社長だった安部幸之助らの主導で「高砂麦酒株式会社」が発足し、1920年に台北工場が稼働、「高砂ビール」として発売されたのが台湾ビール製造の第一歩とされています。1933年に台湾総督府専売局の専売品となり、戦後の1945年に中華民国へ接収されると社名は「台湾啤酒」に変わりました。長年専売事業として運営された後、2002年の民営化を経て現在の台湾煙酒公司(TTL)体制に至っています。1977年には国際的なビール品評会で受賞歴もあり、現在も台湾国内のビール市場で8割以上のシェアを握る、押しも押されもせぬ台湾最大手ブランドです。
こうした長い歴史を持つブランドの中で、18日ビールが登場したのは2003年のことです。
加熱処理なしの「本物の生ビール」
市販のビールの多くは、常温での長期保存に耐えられるよう加熱による低温殺菌を行うか、フィルターで酵母を除去して仕上げられます。「18日ビール」はこうした加熱処理を一切行わない、酵母が生きたままの正真正銘の生ビールです。そのぶん製造から輸送、店頭に並ぶまでの全工程で0~7℃の冷蔵管理が徹底され、この鮮度を保てる限界の期間が「18日間」というわけです。
原料には大麦麦芽、ヨーロッパ産のホップ、台湾産の蓬萊米(ポンライ米)、ドイツ産ラガー酵母などが使われ、アルコール度数は台湾ビールの定番商品と同じ5%に設定されています。販売は瓶・缶の両タイプが存在しますが、流通コストの高さゆえに取り扱う店舗は限られており、日本人観光客としてはスーパーやコンビニで見つけられたら運がいいと言えます。
台湾ビール全体のラインナップで見ると、日本統治時代の高砂ビールの味を受け継ぐ「経典(クラシック)」、市場シェアの中核である「金牌」、そして生ビールの「18日ビール」が主要な3系統とされ、これにマンゴーやパイナップル、ライチなどを使ったフルーツビールシリーズが加わります。
まろやかでフルーティーな味わい
「18日ビール」は通常の台湾ビールと比べても、「すっきり感」と「フレッシュさ」が際立ちます。一般的なラガー特有の強い苦みや酸味がほとんどなく、なめらかでのどごしの良い口当たりです。加熱処理を行わないぶん、麦芽本来のみずみずしい甘みとフルーティーで華やかな香りがしっかり残っているのがその理由です。味付けの濃い台湾料理や、屋台や熱炒(居酒屋)の油を多く使った料理との相性も良く、蒸し暑い台湾の気候の中で水のようにゴクゴク飲める爽快さが支持を集めています。
ただし酵母が生きたまま流通しているため、常温で置いておくと発酵が進み、酸味が強く出てしまい本来の風味が損なわれやすい点には注意が必要です。
台湾でしか味わえない一杯
「18日ビール」は100年以上の歴史を持つ台湾ビールが、工場でしか飲めなかった生ビールの味わいを、徹底した冷蔵管理によって一般消費者に届けようとした挑戦の産物です。日本にはほとんど流通せず、台湾国内でも入手できる場所が限られる希少性もあり、台湾を訪れるビール好きにとってはぜひ試したい一杯です。台湾旅行の際はこの生ビールをぜひグルメ巡りのお供に加えてみてください。
撮影:乃木章


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