■大坂の遊女の特徴って?
親しみやすい接客のひみつは、遊女のトーク技術の高さにありました。大坂という町なだけに、遊女もおしゃべり上手であることが必須でしたが、面白い会話ができるだけではなかったのです。大阪新町の遊女たちは、身分を隠してくる人も多かった遊郭のお客の言葉遣いや立ち居振る舞いから、その人の職業やステイタスを見抜いたのです。
遊女たちは、お客の羽振りによってアプローチを変えていました。金持ちでない人には、嫌味を込めて話すのがポイント。「ほかの女のところにいってしまったのかと思ったけど来てくださったのね」と嫌味たっぷりにいったほうが喜ばれるのです。お金がないから来られなかった、と思われたくないお客にとっては、憎まれ口を叩かれてプライドを傷つけられるどころか、むしろいい気持ちにさせてくれるリップサービス。
といっても、この方法はお金持ちには通用しません。お金持ちの男性は嫌味が嫌いだし、一途さをアピールされてもひくだけ。貧しいか資産家かを見抜いてからの接客だから、お客を満足させることができたのですね。そして、いかに濃厚なひとときが過ごせるかもポイントでした。
「清書七伊露八(も)もちつき」「夕霧」「伊左衛門」
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■濃厚なひとときを過ごすために
まず、遊女がわざとお客を怒らせます。しつこく嫉妬したりすねることで、だんだんお客もイライラしてきてケンカに発展。でも、これこそが遊女の望んでいた展開なのです。そして、頃合いを見計らい絶妙のタイミングで、「ごめんね」としおらしく謝ります。仲直りした後の本番は、いつもより盛り上がるそう。なるほど、ツンデレの原点ここにあり。
短時間でも激しく濃密なひとときを過ごせたら、お客もぐっすり寝てくれてその横で遊女も休むことができるのです。といっても、遊女は上客にせっせと手紙を書いたりしなければいけないので、そう休んでばかりもいられないのですが。
ちなみに、吉原遊女はプライドの高さが売りなので、大坂新町の遊女のように簡単には謝りません。また、京都・島原の遊女はお嬢様風が売りなので、お客さまとケンカするなんてもってのほか。ケンカはじまりからの懇ろ、の流れは、コミュニケーション上手でフレンドリーな大坂新町の遊女ならではのものでした。達者な芸事や床上手だけでなく、接客技術の高さが顧客満足度の高さに繋がったのですね。
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