転職市場が、変化している。転職となれば、「勝手がわかる」「親しみがある」などの理由から、同業種間、同職種間での移動が一般的だ。
年齢が上がるほど、異業種転職が増加する傾向にある。
同じ業種での転職は3割にとどまるリクルートキャリアは、転職エージェントサービス「リクルートエージェント」の転職者を分析(2009~18年度)。それをまとめた「転職市場の動向データ」を、2020年1月23日に発表した。調査によると、この10年間で最も注目すべき中途採用市場の動向は、業種や職種の壁を越えて転職する「越境転職」のスタンダード化であることがわかった。
また転職先が「異業種」で、職種が転職前とは異なる「異職種」という「異業種・異職種」への転職は、34.0%と最多となり、3人に1人の割合。「異業種・同職種」は33.4%だった。リクルートキャリアでは、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX=デジタル技術によってビジネスに変革をもたらすという考え方)の加速などを背景に、「業種や職種の壁は融解」してきており、こうした「越境採用」が一般的になってきているとみている。
経験年数の短い20代では、業種や職種にこだわらず新たな成長機会を求めることが多く、成長産業へ身を置くなど「異業種×異職種」の「越境転職」していく傾向が強くみられる。それが50代後半以降になると、就いていた仕事から得た、さまざまな経験を生かしながら社会に貢献していきたい考え、新たな業種や職種に挑戦していくケースがみられる。55~59歳で37.3%、60~64歳では42.9%だった。
その一方で、30代、40代は現在持っている専門性をより深めたり、スキルの活用や向上を志向したりして経験の幅を広げる傾向にあることから、同じ職種で異業種にチャレンジする「越境転職」を求める傾向がみられる=下表参照。
リクルートキャリアは、「こうした越境する個人と企業の新たな出会いは、今後も加速していく」と予測。そのうえで、「その時に問われるのは、企業の『越境採用力』です。旧来の同業種×同職種採用時代の手慣れた採用慣行を見直し、再構築することが求められます」としている。

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