あなたの周りにもいませんか? 良かれと思って行動しているつもりでも、場を支配してしまう人物が……。

今回は、そんな義父の暴走BBQに立ち向かった女性のエピソードをご紹介しましょう。


到着早々、義父の「俺様BBQ」が開幕

三枝美保子さん(仮名・33歳)と夫は、休日に義父を誘って近所のバーベキュー施設へ出かけました。

「なぜか義父は到着するなり仕切りモード全開で『肉の下処理はそうじゃない』『野菜は俺が切るから触るな』とうるさくて。夫が手伝おうとすると『素人は黙って見ていろ』と睨んでくるし、気づけば私たち夫婦は見ているだけの状態でしたね」

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義父は、まるで鬼教官のように細かい我流のこだわりをブツブツ呟きながら、少しでも自分のやり方と違うと露骨に不機嫌になったそう。

「お肉を焼きだした義父は『まだだ』『今じゃない』と、なかなか食べさせてくれませんでした。空腹のまま待たされ、場の空気はどんどん重くなっていき、まるで楽しくないまま時間ばかりが過ぎていって」

美保子さん夫婦が空腹で黙り込んでいても、義父だけは満足そうに網を見つめ続けていました。

「それでも義父は気づかず『こうやるのが一番うまいんだ』と自信満々でしたね」

周囲では、他の家族連れや友人グループが笑いながら食事を楽しんでいました。しかし美保子さんたちのテーブルだけは異様な緊張感に包まれていたそう。

夫のひと言で、義父がまさかの逆上

そしてなんとか空気を変えようと、美保子さんの夫が動きました。

「夫が『ソーセージならすぐ焼けるんじゃない?』とトングで網に乗せようとすると、義父が『だから違うって言っているだろ』とトングを強引に奪ってきたんですよね」

「素人は黙って見てろ」BBQを偉そうに仕切る義父。我慢の限界でブチ切れた“意外な人物”とは?
画像はイメージです(以下同)
まるで小馬鹿にしたようなその態度に、ついに夫も限界を迎え「親父、それもうやめてくれ」と吐き捨てるように言ったそう。

しかし義父は反省するどころか、さらに逆上しました。

「注意された義父は、顔をしかめて『せっかく俺が教えてやっているのに、その態度は何だ! お前らが美味しく食べられるようにわざわざやってやってんのが分からんのか?』と声を荒げ始め、周りのお客さんたちもチラチラこちらを見ているし、本当に地獄のような空気になってしまって」

義父の「教えてやっている」「やってやっている」という恩着せがましい言い方にも、美保子さんは以前から強いストレスを感じていたそう。

「じゃあ、帰ってもらっていいですか?」

義父は、義母を亡くしてから一人暮らしになったため、美保子さん夫婦は気を遣って食事やレジャーに誘うことも少なくありませんでした。ですが、その度に待っているのは感謝ではなく、命令口調と支配的な振る舞いでした。

「ですが家族ですし、可哀想に感じる時もあるので今まで我慢してきたのですが……」

そしてついに、美保子さんは静かに立ち上がると義父に「じゃあ、帰ってもらっていいですか?」と言いました。もう我慢の限界だったのです。


「素人は黙って見てろ」BBQを偉そうに仕切る義父。我慢の限界でブチ切れた“意外な人物”とは?
注意する 指をさす 非難する 女性
一瞬で場が静まり返り、義父は目を見開き「は?」と固まったそう。

なぜ不愉快な思いをしないといけないのか

「『私たち夫婦は貴重な休みを、お義父さんと楽しむためにここに来たんです。なのに怒鳴られて、指示されて、気を遣って……なんでこんな不愉快な思いをしないといけないのか意味が分かりません』と、普段の鬱憤も込めて言い放ってしまいました」

そこまで言われ、義父は反論しようと口を開きかけましたが何も言い返せず、しばらくの沈黙の末、突然トングを芝生へ叩きつけ、そのまま無言で立ち去っていきました。

家族だからこそ我慢をやめた、夫婦の結論

「すると夫が深く息をつき『やっと普通にできるな』とつぶやいたことで、場がふっと緩み、そこからやっと各自好きに焼いて、好きに食べて、笑い合う時間を過ごすことができたんです」

帰り道、夫はぽつりと「言ってくれてありがとう」と呟き、それに対し美保子さんは「ずっと我慢する方が嫌だったから」と苦笑しながら答えたそう。

「そこから2人で初めて、今まで義父の横柄な態度を当たり前に我慢してきたことについて話し合うことができたんですよね」

その結果、夫婦はある結論にたどり着きました。

「いくら家族でも、超えてはいけないラインはある。相手が身内だからこそ、我慢し続けるのではなく、きちんと線を引くことが必要なのではないか? と。今回のことは良いきっかけになったと思っています」

それ以来、義父とは自然と距離ができたので、無理にレジャーに誘ったりすることはやめて、つかず離れずの付き合いを続けているそうです。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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