27年ぶりにグラビアに復帰。51歳にして自身初となるデジタル写真集を2冊同時にリリースした井上晴美さん。
今年芸能生活35周年を迎えました。

51歳・井上晴美、27年ぶりグラビア復帰。地元・熊本では子ど...の画像はこちら >>
 スタイリッシュに大人の色香を表現した『Le Rouge et le Noir』と、伊豆の旅館を舞台に素の表情を切り取った『或る女』。異なる世界観で魅せる2作品は、キャリアを凝縮した“ラストグラビア”とも言えそうです。

 1991年に「桜っ子クラブさくら組」でアイドルデビュー後、ドラマや映画、グラビアなどで活躍。2005年に結婚、3児の母に。出産を機に熊本県へ移住して子育てをしながら、東京でも芸能活動中。2026年から熊本県でこども食堂を不定期で開催している井上さんに、現在の心境を聞きました。

※本記事の取材は2026年6月に実施しました

芸能生活35周年、27年ぶりのグラビア復帰

51歳・井上晴美、27年ぶりグラビア復帰。地元・熊本では子ども食堂の活動も「母親を助けたい」
『Le Rouge et le Noir』(講談社)
──芸能生活で言うと、今年で35年になるそうですね。

井上晴美(以下、井上):びっくりですよね。月日が経つのが早い。怖いなあ(苦笑)。まったく数えてもなく、そんな気にもしていなかったので、こういうときに言われてびっくりしている感じです。そんなに経っちゃった、みたいな感じなんです。


──今回の写真集は、その記念みたいな意味合いも?

井上:そうですね。記念品ということで、贈呈できないけれど買ってください(笑)。いや、結果的にそうなっているだけで、たまたまなんです。きっかけは去年ABEMAの『ダマってられない女たち』にオファーをいただいて「グラビアをやりませんか?」と。最初はお断りしたのですが、女性のための、女性の目線のグラビアだったので、どうしようかと。

──それが評判になり、今回につながったわけですね。テーマなど、どのように撮影を進められたのですか?

井上:ワンシーンごとにアイデアを出し合うような、ひとつひとつ場所を変えて撮影するのではなく、今のわたしのありのままから紡ぎ出されるストーリーみたいな感じで進めました。それが心地よかったですね。わたしはちょっと受け身なところがあって、自分が主導権を取るのではなく、人のため誰かのためのマインドがあるので、そういう性格も関係しているのかもしれない。

「ちょっとぽっちゃりしていてもいい」51歳で思う自分らしさ

51歳・井上晴美、27年ぶりグラビア復帰。地元・熊本では子ども食堂の活動も「母親を助けたい」
井上晴美さん
──改めて完成した写真集の感想は?

井上:グラビアなんてお久しぶりもお久しぶりだったので(笑)、大丈夫かなと思いましたが、何年振りかわからないけれど「私、頑張るぞ!」という出来事が自分の中でなかったから、いいきっかけにはなったかなと。自分のために時間を使うとか一切していなかったから、美容もまったくしていなくて。母としての毎日に追われ、女性らしさを後回しにしがちだった自分にとって、とても良い機会をいただいたと感じています。

──ということは準備なども特には?

井上:なるべく準備もしようと思ったけれど、美味しいものを我慢できないし、ストイックになることはできないですね。
自由でいたいから、ちょっとぽっちゃりしていてもいいでしょうと。グラビアにはいろいろなタイプもありますし、どんなカタチであれ自分らしさも大事かなと。自分らしく生きるって、簡単なようで難しい。こうじゃなきゃダメってことはないのに。

──なるほど。それが伝えたいことでもありましたか?

井上:そうですね。自分らしくいていいよということは伝えたかったことかもしれない。実際はいろいろなしがらみあり、男女関係なく難しいことではあると思います。わたしはお母さんだから、お母さんでいなきゃみたいな勝手な思い込みがあった。何10年も。それが最近、じわじわとふっ切れてきた。

「お母さんでいなきゃ」という思い込みがふっ切れた

──ちょっと渡りに船じゃないけれど、そこに写真集の話が来たわけですね。ふっ切れた背景は、何かきっかけがあったのですか?

井上:子育てをしながら心理学を学んでいく中で、感じるものがあったように思います。
心理学は子育てや、子どもたちに対しての声かけに役立てていました。子どもたちも生きにくい時代になっていて、学校の立ち位置であったり、世の中が変わっていく中で、学校はこうでなくちゃいけないというルールを押し付けられた場所ではありますよね。

でもそうじゃないんだよと。あなたらしく生きなさいと。学校出てすぐ自分らしく生きなさいと言われたところで、それを押し潰される教育を受けているわけだから。「あなたのよさは何ですか?」と、たとえば大学、社会で聞かれたところで答えられないでしょう。みんなと一緒に生きてきたら、自分のよさにいきなり気づくことは難しいんです。自己アピールなんてできない。

──確かにそうですよね。落差が激しいと誰もが感じ、思うところです。

井上:それはすごく怖いかなと思って。家の中では、あなたがやりたいことが人と違えば、それは個性だと認める。
絶対に否定はしない。それがあなたしか持っていないよさで、他の子にはない、あなたしかない、宝物だって。法律や道徳以外、こうじゃなきゃダメは、そもそも存在しないと。

3人の子どもたちには「自然の中で生活する」という教育方針

51歳・井上晴美、27年ぶりグラビア復帰。地元・熊本では子ども食堂の活動も「母親を助けたい」
井上晴美さん
──それにしても、年頃のお子さんですと、お母さんみたいに東京出てみたいと言うのではないですか?

井上:上の子は男の子なのですが、都会に特別あこがれはないみたいです。長女・次女、女の子のほうがキラキラしたところ、ギャルがいるところへ行ってみたいと、渋谷のスクランブル交差点行ってみたいと言いますかね。「ママ歩いたことある?」「歩いていたよ」とか言いながら(笑)。

──もしかすると、グラドル当時のことなど、あんまりご存知ないのでしょうか?

井上:そうですね。東京にいたこととかは知っていますが、テレビを置かない子育てをしていて、自分から昔のことを話すこともないので、子どもたちはまったくメディアのことは知らないですね。自然の中で生活するという教育方針で、たまに東京にこうして来ているので、芸能活動をしていることはわかっています。

──ちなみにお子さんたちの前回のグラビアの感想は?

井上:けっこうきれいだなって。ただ、別人格というか、お母さんじゃない別の人と見ている感じで、「なんでそうなっちゃうの?」「これがママがやりたかったの?」と言われたりして(笑)。化粧も普段しないので、なんでそんなことしてるのって。

熊本で子ども食堂を始めた理由「お母さんを助けたい」

51歳・井上晴美、27年ぶりグラビア復帰。地元・熊本では子ども食堂の活動も「母親を助けたい」
『或る女』(講談社)
──そして熊本では、子ども食堂をやられているそうですね。

井上:そうですね。
現代の闇とでも言うのか、隠れネグレクトみたいなものがあり、放っておけないと、ずっと思っていたんです。

──行動力がすごいですよね。かなり大変なことだと理解しています。

井上:気になること、やりたいことは、思っているだけじゃなく、行動しようと決めたんです。なんでもやろうかなと、それがどんな結果になろうとも。そんなことをやっても自己満でしょと言う人もいますが、その人たちにどう思われても構わないので、わたしはただひとりでも救えればと思っています。小さな力だけど、人生に正解はないし、なんでもいいからやる。誰かのアドバイスどおりやり、100%失敗しないかと言ったら、そんなことないじゃないですか。

──始めてみて気づいたようなことは?

井上:わたしも育児が大変だったから、お母さんを助けたいと思います。SNSを見ると育児ノイローゼになっている人がいて、唯一吐き出せるところがネットですみたいな。そういう人たちにたどり着いてほしい。うちに子どもを預けてリフレッシュしてほしいみたいな、そういう気持ちなんですよ。
わたし預かるから、その間友達と会うとか、とにかく悩まないでと。

──なるほど、子どもたちだけでなく、お母さんたちにも手を差し伸べたいと。

井上:母親業って本当に地味で、誰からも感謝されないし、お母さんたちすごいんですよって、わたし思っちゃう。

だから子ども食堂も子どもたちだけじゃなく、お母さんたちも一日夕飯、ランチなくしていいから、子どもたち預けてどこか食べておいでというような場所になればいいかなと。1食作りたくないから、その間寝かせてでもいい。お母さんたちも休めればいいと思っています。

子育てを経て「これからは私の時間」

51歳・井上晴美、27年ぶりグラビア復帰。地元・熊本では子ども食堂の活動も「母親を助けたい」
井上晴美さん
──どのような50代を過ごしたいですか?

井上:とにかく楽しむ、やりたいことをやる。子育てでわたしの時間は止まっていたから、自分のために使う時間はゼロで来たから。

でも、中・高と今度大学になるけど、子どもを育ててよかったなと思うし、いろいろ大変なことはあったけれど、今から「わたしはわたしで生きるからね」と子どもたちにも言っています。

──今後、やりたいことはありますか?

井上:子ども産む前は旅ばかりしていたから、彼らが大学生、社会人になったら旅には行きたいなと思いますね。ただ、子どもたち大丈夫かなという不安、寂しさもあるけれど、これからはわたしの時間なんですよね。

だから、彼らを信じるしかないし、あまり過干渉になってもよくない。ある程度放置で彼らを信じるスタンスがすごく大事だと、最近つくづく思っているところです。

<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>

【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
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