【卓球】石川佳純が語る「打倒・中国」への思いと「今日こそは」...の画像はこちら >>

 卓球元日本代表の石川佳純さんは、9月16日からTBS系列にて独占生放送される『アジア大会 愛知・名古屋』で「TBSスペシャルアスリートアンバサダー(以下、SPアスリートアンバサダー)」を務める。現役時代は3大会連続で五輪メダルを獲得し、アジア大会にも出場してメダルを手にした石川さん。

今大会では、元選手ならではの視点からスポーツの魅力を発信する。

 男女ともに有力選手をそろえ、アジア大会でも中国との金メダル争いが期待される卓球日本代表。現役を退いてからは2度の五輪キャスターを経験するなど、「伝える側」としてのキャリアも築く石川さんには、現在の日本代表はどのように映るのか――。アジア大会を前に、「打倒・中国」への考えや後輩選手たちへの思いを聞いた。

――石川さんは、今大会に挑む男女の卓球日本代表のメンバーをご覧になって、どんな印象を持たれましたか?

 実力のある選手がそろっていますし、日本代表はもちろん、中国をはじめ海外からも世界トップの選手が出場するので、すごくレベルの高い大会になると思います。

 卓球は大会数も多く、オフシーズンもほとんどありませんが、アジア大会は位置づけの高い大会です。選手もしっかり調整してくると思います。

 日本選手全員に、いいプレー、納得のいくプレーをしてほしいなと思っています。

――今大会の日本代表では、男子は張本智和選手や松島輝空選手、女子は張本美和選手や早田ひな選手らが選出されています。チームの構成をどのように見ていますか?

 男子は、張本智和選手がエースで、松島選手も力をつけています。経験のある張本選手と若い松島選手が刺激し合って、いいチームになっていくんじゃないかなと楽しみにしています。

 (5月の)世界選手権では久しぶりに団体でメダル(男子が10年ぶりに決勝進出を果たして準優勝)を獲りましたし、アジア大会では「打倒・中国」がすごく大きなテーマになってくると思います。

切磋琢磨して、中国に挑戦していく姿を見たいですね。

 女子は張本美和選手と早田選手が中心になるかなと思います。安定して毎回結果を出してきているふたりなので、団体も個人戦もすごく安心感があります。

 女子の場合も中国選手が壁になってきますし、孫穎莎(スン・インシャ)、王曼昱(ワン・マンユ)という中国のトップ2は、アジア大会に向けてほかの試合を少し調整しながら、かなり絞って出場してくると思います。本気の中国と試合ができる、自分たちの力試しができるという意味では、今回のアジア大会はもちろん、2年後のオリンピックに向けてもすごく大きな大会になると思っています。

――石川さんが思う、日本が中国に勝つうえでのポイントを教えていただけますか?

 私が選手だった時から、中国選手は一番大きな壁であり、勝ちたい相手でした。

 カギになるところは......なかなか難しいですけど、私が思うのは、9回、10回負けていても、11回目はわからない。それが今日かもしれない、という思いで常に準備することが大事かなと思っています。

 私自身も、10回連続で負けた相手に11回目で勝てた時、「今日こそは」という"勝つ勇気"を持つことが大事だと、自分の経験から感じました。

 技術的な差はまだありますが、そこまで大きくないと思うんですね。中国選手のほうが「負けられない」というプレッシャーも必ず大きいので、差を広げさせずに食らいついていくこと。そして最後、9オール(9-9)、10オール(10-10)で勝負をかけることができれば、勝利には近づいていけると思います。

 あとは研究もされているので、相手の思いどおりにばかりならない展開を意識することですね。

――石川さんが現役時代に対戦経験もある孫穎莎選手、王曼昱選手の強さをどのように見ていますか?

 ひたすらに強いです(笑)試合を見てもらってもわかると思います。特に孫穎莎選手ですね。本当にひたすらに強いです。

 プレッシャーは私たちよりも全然感じているはずなのに、その場面でこそさらに強い。それが孫選手の強さかなと思います。世界選手権の団体でも、本当に信じられないような強さを出してきましたよね。

 その壁にどうやったら勝てるかを、すぐに言うのは正直難しいです。でも私は、十分にチャンスはあると思っています。

 今回は名古屋でのホーム開催だからこそチャンスは大きいと思いますし、応援というのはすごく力になります。私自身も、日本での世界選手権などでは、すごくいいプレーができたことが多いので、その声援をパワーに変えてチャレンジしてほしいですね。

――張本美和選手とはTリーグ・木下アビエル神奈川のチームメイトとしてプレーし、若い頃から成長を見守ってきたと思います。

幼い頃から現在までの成長を、どのようにご覧になっていますか?

 見るたびに竹のようにぐんぐん成長しているのを感じますし、今が本当に伸び盛りだと思うんですね。

 初めて一緒に練習したり、試合に出たりした頃は、まだ小学4年生か5年生ぐらいだったと思います。その時から才能のある選手でしたが、想像以上に早く成長して、今はもう日本のエースになっています。

 18歳ですけど、心技体のバランスがすごくいいというか、ベテランのような落ち着きがありますし、試合巧者です。まだまだ伸びると思いますけど、すごくバランスのいい、本当に強い選手だなと感じています。

――張本選手は取材での受け答えを聞いていても、すごく賢く、自分のことを細かく言語化できる選手だと感じます。そのあたりはいかがですか?

 選手としてはすごくクレバーで、取りこぼしが少ない理由はそこにあると思います。

 しっかり相手の弱いところを突く。自分の強みを出しながら、相手の苦手なところを試合の最初から突いていけますし、うまくいかない時は臨機応変にすぐ作戦を変えていける。そのクレバーさが、今の安定感につながっていると思います。

 でも、普段はすごく可愛らしくて、プレーでは大人っぽい一面がありますけど、私にとっては妹のような存在でもあるので、魅力的な選手だと思っています。

――石川さん自身は引退後、選手に話を聞く立場にもなり、今回のアジア大会ではSPアスリートアンバサダーを務めます。

現役時代と比べて、スポーツを見る視点に変化はありましたか?

 現役時代はやっぱり結果がすべてなので、どうしても勝つことに100%フォーカスしてしまいがちでした。でも今は、選手それぞれのストーリーや取り組みを知ることが、すごく新しい学びになっています。

 現役時代はいろいろな競技を見る機会があまりなかったんです。でも、引退してからはスポーツ観戦が本当に趣味になって、今はいろいろなスポーツを現地で見るのがすごく楽しいです。

――お好きなスポーツや、引退されてから実際に会場へ足を運んだ競技はありますか?

 いっぱいありますよ!メジャーリーグや陸上、バスケットボールも見ましたし、競泳も好きです。今回のアジア大会では、まだ生で見たことがないやり投も楽しみです。北口榛花選手にも注目していますし、中島佑気ジョセフ選手の400メートルも楽しみですね。

――ロサンゼルス五輪まで2年を切りました。今回のアジア大会の意義をあらためて教えてください。

 アジア大会は4年に一度の大きな大会ですし、自分がプレーして感じたのは、緊張感や会場の雰囲気がすごくオリンピックに似ていることです。選手村に入ることもそうですし、試合会場にもオリンピックのような雰囲気があります。そこで自分の力を知れるのは、オリンピックに向けても大きな意義があると思います。

 パリからの2年間で自分が成長したことと、これからの2年間で何をしなければいけないか。それがしっかりわかる大会になるかなと思います。

 今回は日本での大会ですので、日本でこれだけ大きな大会が開催されることも、選手にとってすごく貴重だと思います。

――今回のアジア大会を通じて、ご自身は卓球の魅力をどのように伝えて、選手たちにはどのような活躍を期待していますか?

 今回、SPアスリートアンバサダーとしていろいろなスポーツの中継を携わらせていただくなかで、卓球は私がやってきた競技なので、みなさんに少しでもわかりやすく、「楽しく見たい」「さらに見たい」と思ってもらえるような伝え方をしていきたいです。

 卓球だけに限らず、すべてのスポーツを私自身ワクワクしながら楽しみにしていますし、その熱い戦いを一緒に届けられることがうれしいです。

 卓球選手のみなさんに期待しているのは、なるべく長く選手生活を送ってほしいということです。すごくハードですけど、悔いのないように長い卓球選手生活を送ることで、それを目指す子どもたちや、テレビで見ている子どもたちが、何かをきっかけに「始めてみよう」と思ってくれたりする。

 やっぱり選手が活躍することが一番の宣伝というか、競技が広がっていくことにつながると思うので、今がんばっている選手たちには長く活躍してほしいと思っています。

井本佳孝●取材・文 text by Yoshitaka Imoto

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