(台北中央社)台北市信義区の松山文創園区に、蔦屋書店の海外初の直営店が16日にオープンする。台湾で蔦屋書店を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の台湾法人、台湾蔦屋の大塚一馬董事長(会長)は14日までに中央社の単独インタビューに応じ、新店舗の「松煙店」について、同所ではビジネスをするのではなく、「台湾と日本の文化の架け橋になりたい」と思いを語った。


松山文創園区は日本統治時代建設の旧たばこ工場を再利用した文化基地。「松煙」の通称で親しまれ、毎年1100万人以上が訪れる。蔦屋書店松煙店は、かつてたばこ製造工場として使われていた建物に入居する。松煙店の延べ床面積は約100坪で、在庫冊数は従来の店舗の10分の1程度だ。台湾蔦屋の本部オフィスやシェアラウンジ、展示スペースも入る。記者会見が14日、現地で開かれた。

台湾蔦屋は2017年、信義区の「統一時代百貨台北店」内に書店1号店を開業。松煙店は13店舗目となるが、松煙店以外は全て、フランチャイズ形式で運営している。今回、直営形式を採用したことについて、大塚氏は「自分で運営すれば、より自由に日台の文化交流を推進でき、クリエーターとの交流や交流イベントの重要な拠点になることもできる」と意欲を示した。

大塚氏は、直営でもフランチャイズでも、CCCの中核は「ライフスタイルの提案」だと強調する。日本のコンテンツを台湾に持ち込むだけでなく、台湾のアイデアや優秀なクリエーター、ブランドを海外に輸出することを目指す。過去には台湾のウイスキーブランド「カバラン」を日本の店舗で紹介した。
「松煙店は実験的拠点のようなもの。良い反響があれば、今後はその他の加盟店でも同様に展開し、日本でも取り入れたい」と意気込む。

▽ 誠品書店と直接対決? 松煙店の狙いは「競争や大規模な商売ではない」

松山文創園区内には、24時間営業を行う「誠品書店」もある。蔦屋書店松煙店は誠品書店が入居する商業施設「誠品生活松煙」の真向かいに位置する。そのため、一部では「蔦屋と誠品の直接対決」とする見方もある。

大塚氏はこれについて「松煙店に置かれる書棚や雑貨は多くない。主な狙いは競争や大規模な商売ではなく、日台交流の促進だ」と語る。松煙への出店の誘いを受けた際も「ここでビジネスをするのではなく、台湾と日本の文化の架け橋になりたいと考えた」と明かした。

また、誠品が台湾の書店最大手として長年、読書や文化の普及を図っていることに敬意を示し、将来的に誠品と連携し、読書産業の力を拡大させたい考えを示した。

▽ 年内に宜蘭に出店 東台湾に初進出へ

今年10月以降には、北部・新北市板橋や中部・台中市、北東部・宜蘭県に新たに3店舗を出店する予定だ。宜蘭店は初の東台湾エリア出店となる。

当初は台湾で50店舗の展開を目標としていたが、現在では30~40店舗に下方修正した。
大塚氏は「規模は最も重要なものではない。誠品は現在、50店舗余りを出店している。蔦屋は必ずしもその数字を追いかけるわけではない。各店舗の中身を良くすることが優先だ」と述べた。

(江明晏/編集:名切千絵)
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