
老化プロセスを逆転させる技術 /iStock
不老長寿。それは人間が追い求めている永遠の課題だ。老化を止めることができれば健康的に活動できる期間も長くなる。
だが、人間の体の中にある細胞が分裂をするたびに、命のタイムリミッターは少しずつカウントされていく。染色体の先端にあるキャップ「テロメア」が短くなっていくのだ。
これまで誰も止めることができたかったこの老化プロセスだが、最新の研究によると、それを逆転させることができるかもしれないという。高圧酸素療法を使用することで、テロメアを伸ばし老化細胞の減少に成功したのだ。
【テロメアは命のタイムリミッター】
テロメアとは、繰り返されるDNA配列とタンパク質でなる「染色体」末端の構造で、靴ヒモの先端に付けられているほつれ防止のキャップと似たような役割をはたしている。
細胞が分裂するとき、染色体のほかの部分と同じく、テロメアもまた複製される。だがほかの部分と違うのは、テロメアの一番先端の部分が複製されず、複製される前よりもほんの少しだけ短くなることだ。
そのために繰り返し細胞分裂が起きるうちにテロメアは徐々に短くなり、やがてはなくなってしまう。するとキャップが外れた靴ヒモのように、染色体は不安定になり、それ以上細胞は分裂できなくなってしまう。
つまり、それは私たちの寿命が尽きたということだ。
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【高圧酸素療法でテロメアを伸ばすことに成功】